IT &新興ブランドの隆盛、フランクフルト・モーターショー2017を振り返る

写真

 9月12日から24日まで開催された第67回フランクフルト・モーターショーにおいて、開催前から関係者の話題となったのは、著名ブランドの不参加である。日産、三菱、FCA(フィアット・クライスラー)プジョー、DS(シトロエンの高級車ブランド)、ロールス・ロイスそしてアストン・マーティンなどが出展を見合わせた。

 ボルボが2014年12月に打ち出した参加ショーの選別が、ついに欧州最大のショーであるフランクフルトにも及んだかたちだ。次世代環境車にフォーカシングしたフランクフルトで、ショー前の9月6日に日本で電気自動車の2代目リーフを発表したばかりの日産が欠席したのは、とくに象徴的だった。

 一方で今回は、主催者が率先してムードづくりをしたきらいはあるものの、IT系企業の出展が話題を呼んだ。フェイスブックは傘下企業オキュラス社によるVRメガネを用いたアウディのバーチャルショールームなどを、グーグルは提携先であるドイツのSAP社とともに、スマートフォンと家をクラウドで繋ぐシステムをアピールした。

 また新興ブランド、とくに中国系の精力的な出展も、地元ドイツを含むヨーロッパ主要メディアの間で大きく採り上げられた。長城汽車のプレミアムブランド「ウェイ」は、コンセプトカー「XEV」を持ち込んだ。奇瑞汽車(チェリー)も新型SUVを発表。前回に続き参加した福田汽車をバックにもつドイツの「ボルクヴァルト」もコンセプトカー「イザべラ」を公開した。ネーミングは、ブランド名の起源である旧西ドイツ時代のボルクヴァルトにあやかっている。日本から初参加した人材派遣会社によるEVコンセプト「アスパークowl」も、一部関係者の注目を浴びていた。

 いずれの新興ブランドも世界市場に照準を定め、欧州メーカーから幹部の人材をスカウトし、同じく欧州のデザイン拠点やデザイナーを活用しているのが特徴だ。

 21世紀におけるモーターショーのあるべき姿が、メーカー、オーガナイザー双方で模索し続けられていることをひしひしと感じさせるショーとなった。

(文 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA/写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA、大矢麻里 Mari OYA)
EV化が主流に、フランクフルト自動車ショー2017を振り返る

写真をクリックすると、大きな画像が表示されます。環境によっては表示に時間がかかる場合があります。

    PROFILE

    大矢アキオ(おおや・あきお) Akio Lorenzo OYA

    コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。東京生まれ、国立音大卒(ヴァイオリン専攻)。二玄社『SUPER CAR GRAPHIC』編集記者を経て独立。イタリア・シエナに渡る。雑誌、webに連載多数。日本のさまざまなラジオ番組でコメンテーターとしても活躍中。イタリア在住20年ならではの国際的視点によるライフスタイル、クルマ、デザインに関する語り口には、根強いファンがいる。『Hotするイタリア―イタリアでは30万円で別荘が持てるって?』(二玄社)、『イタリア式クルマ生活術』『カンティーナを巡る冒険旅行』(いずれも光人社)、『イタリア発シアワセの秘密 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)など数々の著書・訳書あり

    大矢麻里

    大矢麻里(おおや・まり) Mari OYA

    イタリアコラムニスト。東京生まれ。短大卒業後、幼稚園教諭、大手総合商社勤務などを経て、1996年にイタリア・トスカーナの古都シエナに移り住む。 国立シエナ外国人大学で学び、現地の料理学校で通訳・アシスタントを務めるかたわら執筆活動を開始。NHKラジオテキスト『まいにちイタリア語』をはじめ、イタリア文化や生活関連の連載・執筆多数。 NHK『マイあさラジオ』など、ラジオ番組でもリポーターとして活躍中。著書に『イタリアの小さな工房めぐり』(新潮社)がある。

    [PR]