“坊主頭に白ブリーフ”摩訶不思議な内面の世界、岡部東京

写真

 「以前から、大人数を演出して撮りたいという願望があって。頭の中で思い描く世界を写真にしたかった。だけど、共感してくれたのがヨッシだけだったんです」。岡部東京さんが作品「ヨッシワールド」の撮影をはじめたのは23歳のとき。勤めていた映像の会社をやめたタイミングで、3カ月ほど自宅にこもって制作を続けた。

 坊主頭に白ブリーフ、中学時代からの親友ヨッシを撮影したプリントを一枚一枚ハサミで切り抜く。背景も一つひとつのパーツをプリントアウトしたり、資材を買ってきて組み立てたりして、それらをようじで立ててジオラマを作り、もう一度撮影する手法で10点ほどの作品を仕上げた。

 撮影前には、カメラを通してやりたいことをノートにまとめて、ラフを描いた。ヨッシと即興で撮った写真をジオラマにはめてみると、予想もしない方向に転がるのが楽しかった。

 出来上がったプリントを新人写真家を対象としたコンテスト「写真新世紀」に応募すると、見事に優秀賞を受賞。その後、さらに撮りためた写真をまとめ、写真集を出版した。

 もともと話すのが苦手で寡黙なタイプ、と自分自身を語る岡部さん。仕事ではファッションやライフスタイル系の雑誌など、個人作品からは想像できない、洗練された写真を撮るプロフォトグラファーとして活躍している。当初、周囲の友達を笑わせるためだけにつくりはじめた作品が、やがて本格的に写真を続けるための原動力になっていった。

 「最近は、美男子の絵を描いて、その絵を撮影するという手法で作品を作っています。あまりうまくない絵なんですけど(笑)、『エデンの園』のようなはじまりの世界をイメージしています」

 趣味は、自宅の花壇に植えた多肉植物を眺めること。ファンキーな作品から受ける印象とは正反対の岡部さんが生み出した「ヨッシワールド」は、「写真で何かを表現したい」という熱意と、イマジネーションを爆発させて生み出した自分だけの箱庭だ。「勢い」に任せて振り切ったからこそ表出した、言葉では表現できない摩訶不思議(まかふしぎ)な内面の世界がそこには広がっている。

(文・山田敦士)

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    PROFILE

    岡部東京(おかべとうきょう)

    1984年群馬県生まれ。2008年にキヤノン写真新世紀優秀賞(選考:アートディレクター 榎本了壱) 、2011年8月にGallery TANTO TEMPOにて写真展「ヨッシワールド」を開催。
    2012年、うたかた堂より同写真集発売。
    https://www.okabetokyo.com/

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