海外も注目する「キモかわいい」うつゆみこの世界観

写真

 「写真を撮りはじめたのは17歳ぐらいのとき。ちょうどガーリーフォトブームで、最初は“写ルンです”を使ってスナップ写真を撮っていました。本格的に撮影をはじめたのは大学に入ってからで、おじいちゃんから一眼レフをもらったことがきっかけです」と語ってくれた、うつゆみこさん。

 それまでに撮りためた写真をアルバム100冊にまとめた作品で、2006年に写真コンテスト、第26回写真「ひとつぼ展」(現1_WALL)で見事グランプリを受賞。翌年、ガーディアン・ガーデンで行ったグランプリ受賞者の個展では、1000枚のプリントを展示するなど、作品のインパクトに加えて圧倒的な作品数も度肝を抜いた。

 毒々しく、カラフルな作品の数々は海外でも評価が高く、ハンガリーやイギリス、イタリア、中国など、多くの国で展覧会を開催している。

 「キモかわいい」と評される作風は父親の影響だとか。「幼い頃から、お父さんがいろんな生き物を拾ってきて、家で飼っていたんです。虫や動物たちがつねに身の回りにいる環境でした」カエルやヘビを見つめていると、生き物たちのDNAに刻まれた「造形美」に引き込まれてしまうという。

 09年に出版した写真集「はこぶねのそと」は、フランス・パリで2年に一度開催される国際的なアートフォト展示会、パリフォト出展時に制作された。

 「写真を通して、生きものと遊んでいる感じなんです。私の場合、野菜や魚、昆虫など、“撮りたいと感じた被写体”を絵本や布の上に置いて試行錯誤しながら作品をつくっています」

 現在は、ふたりの子を育てながら、隅田川と荒川にはさまれた場所にある昔ながらのアパートをアトリエとして借り、制作活動を行っている。子どもが生まれてからは地球環境にも興味が湧くようになり、里山を追われる動物たちに思いをはせているという。偶然の積み重ねや環境によって進化を重ねた生きものと、写真を通して心を通わせていく。幼い頃の原風景をなぞるスケッチがそこにある。

(文・山田敦士)

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    PROFILE

    うつゆみこ

    東京都荒川区生まれ。早稲田大学第一文学部中退、東京写真学園/写真の学校卒業。2005年、第25回写真「ひとつぼ展」入選。06年、第26回写真「ひとつぼ展」グランプリ、第29回「写真新世紀」佳作。写真集「はこぶねのそと」「うつつのゆめ」出版、国内外にて作品を発表。
    https://www.instagram.com/utsuyumiko/

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