「ハードな顔の男たち」が満載!築地魚河岸写真集

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 仲卸の仕事をしている友人に、築地を案内してもらったことがきっかけで、築地市場で写真を撮り始めた沼田学さん。

 「最初は、いわゆる築地"っぽい”写真、競(せ)りやマグロの解体、建築物などを撮っていました。だけど、そういった写真はどこかで見たことがある。当たり前のように目の前に存在しながら、いままで誰も注目しなかった被写体を撮りたいと思ったんです」
 たどり着いたのは「築地で働く男たち」というテーマだった。2016年5月に撮影を開始してから約1年間、週に3~4回、辻立ちのように同じ場所でカメラを構え、撮影を続けた。

 沼田さんが選んだのは「定点観測」と呼ばれる手法。市場から少し離れた場所から、同じアングルで毎日シャッターを切り続け、そこを通る人を観察し続ける。
 最低でも1年間、撮影を続けようと思った理由は、覚悟が必要だと感じたからだ。築地の男たちは人懐っこい。だけど、自分たちの仕事に誇りがあるから、面と向き合うときは常に真剣勝負。「こいつは確かなヤツだ、と信頼してもらうことが大事だと考えたんです」

 朝8~10時頃、カメラを構える。雨の日もバイクで通い続けた。目が合ったらあいさつを欠かさない。写真を撮らせてくれた人には後日プリントして渡した。半年ほど通うと「懲りずによく来るなぁ」と声を掛けられるようになった。
 撮影時にフラッシュの光を当てているのは、現実世界とは異なる違和感を演出したかったから。「肉眼には見えないものを写し撮る」ことが写真の面白さ。数十年後、いや、数年後にはなくなってしまうものだからこそ、写真としていまの記憶を留めておきたい。とんでもなくカッコいい、築地の男たちの姿を。

 撮りためた写真をまとめて、写真展を開催したところ、大きな反響があった。展示がきっかけで写真集の出版も決まった。「築地には、俺好みの”ハードな顔の男たち”が多いから、撮影に行くたびにいい写真が撮れるのが面白くて。身近なところにカッコいい人がいるんだってことを、感じてほしいですね」
 2018年の年明けにはジャマイカの危険なエリアで、現地に住むお年寄りを撮影するという。人物写真や、風景写真といった特定のジャンルに収まらないものを撮り続けたい。好奇心と反射神経が、その行動力の原点だ。
(文・山田敦士)

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    PROFILE

    沼田学

    北海道出身。物流会社勤務、バンドのツアースタッフ、肉体労働などを経験し、カメラマンとして独立。ライブ、ジャケット写真や舞台写真を手がけるほか、 新宿・歌舞伎町で働くホストクラブの集合写真「指名アリ」、花街を撮影した「赤線」、 白目のポートレート「界面をなぞる」などの作品を制作。
    http://manabunumataphotos.tumblr.com/

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