日本で一世を風靡したあのBMWも ドイツの古典車ショー「テヒノクラシカ2018」

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 世界最大級の古典車ショー「テヒノクラシカ」がドイツ北西部エッセン市で3月22日から25日まで開催された。今回は約1250の企業・団体と200以上の愛好会が参加。約2700台の車両が展示された。

 開会式には、エッセン市の幹部もスピーチに登壇。メッセ会場がエッセン市の管理下であることもあり、自治体ぐるみの盛り上げは、同じ古典車イベントでもパリの「レトロモビル」とは異なる点である。

 メーカーとその公認クラブによるブースも例年どおり華やかに展開された。メルセデス・ベンツはGクラスが今年1月モデルチェンジを果たしたのに合わせ、その歴史を振り返った。アウディは往年の上級モデル「100」の半世紀を祝い、フォルクスワーゲンはプロトタイプのみで生産に移行しなかった幻の歴代カブリオレを特集した。

 いっぽうボルボは、スウェーデンのブランドでありながら、長年テヒノクラシカの常連だ。彼らは今年「007」のジェームズ・ボンド役で知られ、昨年死去した俳優ロジャー・ムーアの元愛車「1800S」を展示した。ボルボはこの車を2年前に入手。車検証に残されたムーアの署名は、1967年1月付けだ。ボルボいわく「ロケを快適に過ごすため」小さな車内用扇風機も装着されている。今回がヨーロッパ初披露だった。

 BMWは「M1」の40周年や往年のクーペ「3.0CSI」などを展開するとともに、一角ではカーポリッシュの実演も行った。埃(ほこり)まみれの車両が次第に美しくなってゆく様子を、多くの来場者が取り囲んでいた。日頃手入れを欠かさない愛好家が集まるイベントだけに、注目を浴びやすいアトラクションだ。

 そのBMWブースには、E30型3シリーズの愛好会もあった。日本で1980年代に“トレンディーな車”として、もてはやされたモデルである。愛好会メンバーのヴェルナー・ミュルダース氏はE30の「325e」を1985年に購入。以来33年間に37万キロを走行した。もはや東京の路上でめったに見かけなくなったが、実はここまで使い込めるモデルであることを、彼の車は静かに物語っていた。ちなみに、ヴェルナー氏が所属するクラブには、先代のE21型オーナーも含め400人の仲間たちがいる。

 クロージング・リポートによると、今年のテヒノクラシカには、41の国と地域から昨年とほぼ同数の約18万8千人が訪れた。たとえスーパースポーツカーでなくても、小さな物語を秘めた車がこの会場にはあふれていた。これこそが30年を迎えても、世界のヒストリックカー・ファンが春先にこのドイツの古い鉱業都市にやってくる理由であろう。
 (文・写真 大矢アキオ Akio Lorenzo OYA/大矢麻里 Mari OYA)

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    PROFILE

    大矢アキオ(おおや・あきお) Akio Lorenzo OYA

    コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。東京生まれ、国立音大卒(ヴァイオリン専攻)。二玄社『SUPER CAR GRAPHIC』編集記者を経て独立。イタリア・シエナに渡る。雑誌、webに連載多数。日本のさまざまなラジオ番組でコメンテーターとしても活躍中。イタリア在住20年ならではの国際的視点によるライフスタイル、クルマ、デザインに関する語り口には、根強いファンがいる。『Hotするイタリア―イタリアでは30万円で別荘が持てるって?』(二玄社)、『イタリア式クルマ生活術』『カンティーナを巡る冒険旅行』(いずれも光人社)、『イタリア発シアワセの秘密 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)など数々の著書・訳書あり。

    大矢麻里

    大矢麻里(おおや・まり) Mari OYA

    イタリアコラムニスト。東京生まれ。短大卒業後、幼稚園教諭、大手総合商社勤務などを経て、1996年にイタリア・トスカーナの古都シエナに移り住む。国立シエナ外国人大学で学び、現地の料理学校で通訳・アシスタントを務めるかたわら執筆活動を開始。NHKラジオテキスト『まいにちイタリア語』をはじめ、イタリア文化や生活関連の連載・執筆多数。NHK『マイあさラジオ』など、ラジオ番組でもリポーターとして活躍中。著書に『イタリアの小さな工房めぐり』(新潮社)がある。

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