名水に恵まれる京都・伏見。酒蔵が軒を連ね、小舟が川面に浮かぶ町は情緒にあふれ、秀吉や龍馬ゆかりの地もある。4月26日から始まる「京都非公開文化財特別公開」(19社寺)では、この伏見から5社寺が参加する。観光スポットとしても人気が高まる「水の町」を歩いた。
桃山時代、豊臣秀吉が伏見城を築いた際に資材を運ぶため開削された「宇治川派流」。ゆったりとしたその流れに十石舟が浮かぶ。江戸時代、京や大阪に材木や米を運んだ全長約8メートルの小舟だ。川幅は約9メートル。両岸に立ち並ぶ115本の桜が、ピンクの花びらに彩られている。4月1日から十石舟の遊覧運航が始まる。
この発着所の目の前にあるのが真言宗の古刹(こさつ)・長建寺。特別公開される社寺の一つで、異国情緒あふれる赤い唐風(からふう)山門がある。訪れた歌手のジュディ・オングさんが「通るだけでも福がくる」と残した言葉「山門迎福」も掲げてある。
近くには茶色の板塀で囲われた酒蔵。京都市伏見区には、20社以上の酒造メーカーがある。数社は、昔ながらの蔵を残しており、町歩きの観光客に人気だ。試飲したり、酒造りの道具を眺めたりできる老舗酒造メーカーの施設もある。
伏見が酒どころとして知られるのは、豊富な水脈のおかげだ。周りの桃山丘陵などに降った雨水がやわらかな地下水となる。
試飲していた女性5人と出会った。大阪府寝屋川市の会社の同僚という。岡本要さん(34)は「ふだんは日本酒を飲まないけど、伏見のお酒はまろやか。もう一杯」と笑った。
幕末の志士、坂本龍馬が襲われた旅館「寺田屋」があるのもこの辺り。そばにある商店街は、その名も「竜馬通り商店街」。水出しコーヒー店やそば店など約20店が並ぶ。1990年代、町おこしのために店主らが名付けた。
「安本茶舗(やすもとちゃほ)」は1871年の創業。茶所・宇治の茶葉を専門に扱い、店内で団子やソフトクリームも味わえる。店を切り盛りする安本正子さん(73)は「伏見の水は酒造りだけでなく、お茶の本来の味を引き出すのにも最適」と話す。
その先に、銀座発祥の地を示す石碑が立つ。徳川家康が日本で初めて銀貨をつくる「銀座」をここに設け、全国各地に広まった。さらに歩くと、朱色の大鳥居がお出迎え。「ごこうぐうさん」と親しまれる御香宮(ごこうのみや)神社だ。
境内には名水百選の一つ「御香水(ごこうすい)」がわく。濾過(ろか)器が取り付けられ、水をくみにくる地元の人たちも多い。甘みのあるまろやかな味は、龍馬をうならせたことだろう。
神社から京阪電車に揺られて伏見稲荷大社へ。朱色の鳥居が連なる「千本鳥居」は目に鮮やかだ。
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【期間】4月26日〜5月6日(百万遍知恩寺のみ4月27日〜)
【時間】午前9時〜午後4時(拝観受付)
【拝観料/1カ所につき】大人800円、中高生400円(東寺のみ高校生700円、中学生以下500円)
【主催】京都古文化保存協会および公開社寺
【後援】京都市
【特別協力】朝日新聞社
【問い合わせ】協会075・561・1795
【協会ホームページ】http://www.kobunka.com/hikoukai2013har.html
【朝日新聞デジタル特設ページ】http://www.asahi.com/koto/
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