〈2013年(平成25年)の、春の京都非公開文化財特別公開は終了しました。新しい情報は「古都 京の文化」ページで、ごらん下さい。【古都 京の文化】〉
古都・京都へと、多くの人を引きつける文化財の数々。その一つひとつにつくった人、守り伝えてきた人の思いがこもっています。26日から19社寺で始まる非公開文化財特別公開で、その思いに触れてみませんか? 今回の特集では、保存や修復にまつわる三つの物語をお届けします。
◆光背の化仏、ホントに3500体?/西方寺 阿弥陀如来坐像
京都市左京区の西方寺は東山二条にひっそりたたずむ小さなお寺だが、本堂に入ると量感豊かな阿弥陀如来坐像(ざぞう)が鎮座している。高さ2.36メートル。平安時代末期の作で、重要文化財だ。
圧巻は、その背後にある円形の大きな光背(こうはい)だ。目を凝らすと、5センチほどの小さな仏、化仏(けぶつ)が隙間なく寄り集まっている。同寺の僧侶、田原敏行さん(61)によると、「3500体あると言われてますが、数えた人はおりません」。
いったい、いくつあるのか。数えてみようと、日本野鳥の会京都支部のみなさんに協力を仰いだ。「いろんなものを数える依頼を受けますが、仏様は初めてです」。苦笑しつつも快諾していただき、まずは精細な写真で数える。9人がかりで2時間以上かけ、正面から見える範囲で1978体が確認された。
あとはお堂で会員の寺田綾乃さん(39)と息子の玲さん(14)が正面から隠れた部分を数えるが「阿弥陀様の後ろは二重に仏様が埋められた部分があって、すごい密度。とても数えきれません」と悲鳴があがった。
結局、化仏が高密度に集中するところは、ほかより5割り増しで推計し、全部で3385体と出た。「3500という数は、あながち間違ってなさそうです」と寺田さん。
なぜこんなに多くの化仏が必要だったのか。田原さんは光背から抜け落ちた仏様を見せてくれた。後ろに墨で書き込みがある。「どうやらこの仏様は、信者さんからの勧進でつくられたようなのです」
光背のつくられた年代は不明だが、寺には宝永5(1708)年の火災の際に寄進を募る紙を刷った版木が残されており、その際に寄せられた化仏が多いとみられる。
「それだけたくさんの人が極楽浄土への願いを込めたのです。そのことに思いをはせてご覧いただければ」という田原さんの言葉に、寺田さんがうなずく。「今はインターネットやツイッターなどつながる手段はいっぱいあるけど、仏像の一つひとつに血の通った人のつながりがあったと思うと、すごいことですよね」
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市バス東山二条停留所からすぐ。地下鉄東西線東山駅から徒歩8分、京阪三条駅から同15分。
◆豪雨で地形がらり/石清水八幡宮・神応寺
山上に石清水八幡宮をいただく京都府八幡市の男山は、豊かな緑に包まれた清浄の地だ。だが昨夏、自然はその穏やかな姿を一変させた。
8月14日未明、八幡宮の寮にいた権禰宜(ごんねぎ)の浄見(きよみ)僚さん(29)は、激しい雨音と雷鳴で目を覚ました。夜が明け、あたりが明るくなるとお宮の惨状が目に飛び込んできた。「参道のいたるところに滝ができていました。山崩れで地形が変わってしまった場所もあります」
土砂崩れは幅数十メートルの大規模なものも含め8カ所あり、ふもとからの裏参道が寸断された。
男山と谷を挟んだ山腹にある神応寺も被害は甚大だった。夏になるとホタルが乱舞する静かな谷川を土石流が襲った。修験者が滝に打たれるお滝場の石垣がえぐられ、参道の一角が大量の土砂で埋まった。
秋のうちにその土砂の片付けやお滝場を修復したが、数百万円を要した。「修行の場なので、なるべく早く復旧したかった」と大木祖浄(おおきそじょう)住職(72)。
石清水八幡宮でも現在、参道の復旧作業を進めている。完成まで約3億円かかる見込みだ。浄見さんは「自然環境も文化財の重要な構成要素。特別公開では、山と一体となった信仰の形を感じとってもらえたら」と話す。
特別公開では、石清水八幡宮は南北朝〜室町時代の美しい女神像などを、神応寺は大分の宇佐から八幡神をこの地へもたらした行教律師(ぎょうきょうりっし)像(重要文化財)などを公開する。
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八幡宮は京阪八幡市駅から男山ケーブルで3分。神応寺は同駅から徒歩10分。
◆極彩色の本殿、19年ぶりの公開/御香宮神社
今回19年ぶりに公開される京都市伏見区の御香宮(ごこうのみや)神社の本殿は、簡素な社殿の多い京都の神社には珍しく極彩色で飾られている。朱塗りの柱に竜が舞い、板壁に麒麟(きりん)が躍る。
徳川家康が1605年に造営。桃山時代の建築様式を伝え、重要文化財に指定されているが、20年ほど前までは傷みが激しく、色がはげ落ちた状態だった。
転機は屋根のふき替えの際に行った彩色の調査だった。1991年1月の夕暮れどき、京都府教育委員会などの技師らが当時最先端の光ファイバーを用いた斜光ライトを正面の横木にあてた。すると、表面に見えていたのとはまったく違う亀甲紋がふわりと浮かびあがった。「びっくりして鳥肌が立ちました」と三木(そうぎ)善則宮司(68)は振り返る。
4年がかりで創建当時の図柄や色の復元に取り組み、94年5月、桃山時代の極彩色がよみがえった。4日間の一般公開で4千人が参拝。今回はそれ以来の公開だ。「独自の文化をもつ伏見の色を見てもらいたい」と三木宮司は話す。
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京阪伏見桃山駅または近鉄桃山御陵前駅から徒歩5分。
◆春の特別公開概要
【期間】4月26日〜5月6日(百万遍知恩寺のみ4月27日〜)
【時間】午前9時〜午後4時(拝観受付)
【拝観料/1カ所につき】大人800円、中高生400円(東寺のみ高校生700円、中学生以下500円)
【主催】京都古文化保存協会および公開社寺
【後援】京都市
【特別協力】朝日新聞社
【問い合わせ】協会075・561・1795
【協会ホームページ】http://www.kobunka.com/hikoukai2013har.html
【朝日新聞デジタル特設ページ】http://www.asahi.com/koto/
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