世界記録をとらえる技術最前線 オメガ計時責任者が語る

  • 2013年11月11日

写真:記録を生む技術に懸ける思いを語るオメガ計時責任者ピーター・フルツラー氏記録を生む技術に懸ける思いを語るオメガ計時責任者ピーター・フルツラー氏

写真:タイムなどの情報はテレビ中継用の画面にも送信されるタイムなどの情報はテレビ中継用の画面にも送信される

写真:「競泳者とともに開発した角度」のスターティングブロック「競泳者とともに開発した角度」のスターティングブロック

写真:フルツラー氏は競泳ワールドカップ東京大会のため来日したフルツラー氏は競泳ワールドカップ東京大会のため来日した

写真:背泳ぎ用のスタート板のサンプルを持って説明するピーター・フルツラー氏。スタートの失敗を減らすことができるという背泳ぎ用のスタート板のサンプルを持って説明するピーター・フルツラー氏。スタートの失敗を減らすことができるという

写真:100万分の1秒の精度を持つタイマー100万分の1秒の精度を持つタイマー

 世界的な腕時計メーカー「オメガ」は、オリンピックなどスポーツの主要な国際大会で計時(タイムキーピング)を担当していることでも知られる。競泳ワールドカップ(W杯)東京大会に計時責任者として来日した同社のピーター・フルツラー氏が、記録を生み出す技術に懸ける思いを語った。

 競技タイムを計る精度をより高め、迅速に結果を伝えるためのシステムは、年々複雑になっている。フルツラー氏は「1969年から計時に携わっていますが、現在とは全く状況が異なります。当時はシステムも、とてもシンプルでした」と振り返る。今では一つのシステムの開発に5年以上かかることもあるという。

 最も大きな変化は、情報を伝える相手が膨大な数に増えたことだ。競技結果を表示・配信するターゲットは主に、アスリート、会場にいる観客、テレビの視聴者に分類される。「水泳の競技場にいる人は多くても6万人ですが、テレビを見る人は今や世界中で数十億人にもなります」。テレビの視聴者に分かりやすく伝える技術は今や必要不可欠のものになっている。

 「競泳の中継をテレビでご覧になると、世界記録のラインが画面に表示される。あれは誰がやっているのかをご存じですか。それはオメガです」。同社の映像システムは、入賞者の名前や国旗を瞬時に表示し、世界記録保持者のペース表示を配信することを可能にした。このワールドレコードラインは、来年のソチ冬季五輪のスピードスケートにも登場する予定だという。フルツラー氏は「私の母親でも楽しめるぐらいに、スポーツ観戦をより面白くしたいと考えた」と話す。

 ただ、エンターテインメント性がどれほど高まろうと、本来の役割は変わらない。

 2008年の北京五輪の競泳、男子バタフライの100メートル決勝。マイケル・フェルプスは0.01秒差でゴールし、大会七つ目の金メダルを獲得した。2位の選手のコーチは抗議したが、判定の写真を見て取り下げた。撮影したのは、オメガのハイスピード・ビデオカメラだった。

 また、2012年のロンドン五輪では、競泳の飛び込み台に傾斜角度の調整が可能なスターティングブロックを導入した。ひざを90度に曲げられることで、理想的なスタートを切ることができるようになったという。

 そして来年、新たな技術が登場する。背泳ぎの選手はスタートの際に蹴り出す足が滑ることがあったが、それを解消するためのスタート板を開発した。「アーロン・ピアソル氏(男子100メートルと200メートルの世界記録保持者)が、飛び込み台は改良されているのに、背泳ぎには何もないのかと私に問いかけてきた。それをきっかけにオメガが動き、国際水泳連盟の公認も得ることができたのです」

 オメガは1932年のロサンゼルス五輪以来、これまで夏冬25回の公式計時を務めてきた。国際オリンピック委員会とは2020年まで契約しており、東京五輪も担当することが決まっている。

 「計時の目的は、アスリートが自信を持って、ベストなスコアを出せる環境を整えることなのです。全ての技術は、アスリートのためにある」。計時という自らの仕事の存在意義を、フルツラー氏はそう語った。

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