ケビン・シュワンツ49歳 灼熱の鈴鹿8耐に忘れ物を取りに戻る

  • 2013年7月11日

ケビン・シュワンツのインタビュー動画はこちら

写真:ケビン・シュワンツ選手。長身ゆえに独特のライディングスタイルをとる=7月4日、午前4時15分。三重県・鈴鹿サーキットにて。小林勝彦撮影。ケビン・シュワンツ選手。長身ゆえに独特のライディングスタイルをとる=7月4日、午前4時15分。三重県・鈴鹿サーキットにて。小林勝彦撮影。

写真:マシンにまたがりポジションをチェックしたのち、マシンから降りるケビン・シュワンツ選手。このような降り方が出来るのも長身のケビン選手ならではかもしれない=7月4日、午前9時43分。三重県・鈴鹿サーキットにて。小林勝彦撮影。マシンにまたがりポジションをチェックしたのち、マシンから降りるケビン・シュワンツ選手。このような降り方が出来るのも長身のケビン選手ならではかもしれない=7月4日、午前9時43分。三重県・鈴鹿サーキットにて。小林勝彦撮影。

写真:走行前に集中力を高めるケビン・シュワンツ選手=7月4日、午後3時58分。三重県・鈴鹿サーキットにて。小林勝彦撮影。走行前に集中力を高めるケビン・シュワンツ選手=7月4日、午後3時58分。三重県・鈴鹿サーキットにて。小林勝彦撮影。

写真:Team KAGAYAMA ケビン・シュワンツ、加賀山就臣、芳賀紀行(左から)=7月4日、午前9時50分。三重県・鈴鹿サーキットにて。小林勝彦撮影。Team KAGAYAMA ケビン・シュワンツ、加賀山就臣、芳賀紀行(左から)=7月4日、午前9時50分。三重県・鈴鹿サーキットにて。小林勝彦撮影。

写真:Team KAGAYAMAのチーム写真撮影に集まるフォトグラファー=7月4日、午前9時50分。三重県・鈴鹿サーキットにて。小林勝彦撮影。Team KAGAYAMAのチーム写真撮影に集まるフォトグラファー=7月4日、午前9時50分。三重県・鈴鹿サーキットにて。小林勝彦撮影。

写真:土砂降りとなった夜間走行のテスト。ヘッドライトの光を頼りに走る=7月3日、午後6時48分。三重県・鈴鹿サーキットにて。小林勝彦撮影。土砂降りとなった夜間走行のテスト。ヘッドライトの光を頼りに走る=7月3日、午後6時48分。三重県・鈴鹿サーキットにて。小林勝彦撮影。

写真:夕暮れのサーキット。夜間走行テストを終えたマシンが戻ってきた=7月3日、午後7時27分。三重県・鈴鹿サーキットにて。小林勝彦撮影。夕暮れのサーキット。夜間走行テストを終えたマシンが戻ってきた=7月3日、午後7時27分。三重県・鈴鹿サーキットにて。小林勝彦撮影。

 「コカ・コーラ ゼロ 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第36回大会」が7月25日〜28日に三重県・鈴鹿サーキットで開催される。7月3日、4日に第二回公式テストが、9日、10日に第三回公式テストが開かれた。「8耐」の愛称で、オートバイ好きに支持され続ける夏を代表するモータースポーツ・イベントとなったこのレースに、ロードレース世界選手権(WGP)でチャンピオンを獲得した経歴を持つ49歳のアメリカ人ライダー、ケビン・シュワンツが21年ぶりに参戦する。しかも、イベントに参加するために鈴鹿サーキットを訪れるのでも、話題作りのために参戦するのでもない、「勝つために」エントリーするという。いまやレジェンドライダーと呼ばれる存在となったケビン・シュワンツが真夏の鈴鹿に忘れ物を取りにやってくる。(デジタル本部・小林勝彦)

鈴鹿8時間耐久ロードレース公開テストのフォトギャラリーはこちら

 ケビン・シュワンツってだれ? オートバイレースが好きな人でも若い人からすれば、もしかしたらそんな言葉がもれているかもしれない。ケビンは、80年代後半から90年代前半にロードレース世界選手権で活躍したライダーで、当時の最高峰WGP500CCクラスで93年にシリーズチャンピオンに輝いている。彼は6度「8耐」に参戦しているが、2位、3位と表彰台を獲得したことはあるものの優勝には届かなかった。どうしても自分のキャリアに「8耐」の優勝を加えたいと強く思い続けていたという。そして今年、加賀山就臣、芳賀紀行という二人の8耐優勝経験者とともに「Team KAGAYAMA」からの出場となる。

 7月3日と4日の公開テストで話を聞く機会を得た。8耐での勝利へのこだわりについて「勝つということは私にとってすべて、といっていい。よいチームで臨めていると思うし、二人の本当によいチームメートにも恵まれた。8時間の間、自分に勝てば勝利がついてきます。私は自分がレースに勝てるだけのパフォーマンスを維持できると思っています」と語った。

 この日、注目のケビン・シュワンツが鈴鹿を走るということもあり、平日にもかかわらずサーキットのパドックには熱心なファンが何人も詰めかけ、ケビンのガレージの裏には小さな人垣が絶えることはなかった。ケビンは気さくにサインに応じ、まるで鈴鹿サーキットに戻ってきたことを楽しんでいるのかのようにも見えた。しかし、もしかしたらもっとも色めき立っていたのは、長年ロードレースの取材を続けていきた記者やフォトグラファーだったのかもしれない。ケビンの周りは時に笑顔であふれ、時に真剣なまなざしで彼の一挙一動を追い続けていた。若手のフォトグラファーには、それは不思議な光景に見えたようで「どうしてみんなニコニコしてるんでしょうね」と首をひねった。彼も21年の時を経たときに、こんなシーンに出会うことがあるかもしれない。

 1978年に第一回大会が開催された真夏の耐久レースは、今年で36回を数える。1980年代から90年代には、世界中で活躍するライダーがたちが参戦、メーカーもライダーも「鈴鹿を征するものは世界を制する」を合言葉にして、勝利を目指し力を注いで参戦していた。また、全国のオートバイに乗るライダーたちにとっては、8耐に出かけることがお伊勢参りと呼ばれ、鈴鹿市内がオートバイで渋滞して身動きがとれなくなった開催年もあった。いつしか「鈴鹿」が参戦ライダー、メーカー、観客から「聖地」と呼ばれるようにまでになっていた。

 では、そもそも「8耐」とはどんなレースなのだろう。簡単に言えば「2人または3人のライダーが一台のオートバイを8時間でどれだけ遠くまで運べるか」という競技。鈴鹿サーキット(二輪用コース・5.821Km)を8時間で何周できるのか。レースにはアクシデントがつきものであり、レース中にセーフティーカーが入ったり、雨が降り路面が濡れてしまうと、平均速度がさがり周回数は伸びない。1982年には台風の影響で6時間に短縮されたこともある。過去最高周回数は2002年の219周(1978年の第1回大会は194周)、今年は、どれだけのドラマが周回数ごとにコースに刻まれるのだろう。

 今年も鈴鹿に暑い夏が訪れるとともに、「8耐」もやってくる。夕暮れに包まれるころには灼熱のアスファルトで繰り広げられた戦いの幕が下り、勝者が美酒に酔うと夜空を花火が彩る。まるで、過酷な戦いなど無かったかのように、そこにいる何万人もの人が空を見上げて余韻に浸ったあと、「また、来年」と言葉を交わしてそれぞれの家路につく。36回目の夏もきっと同じようなシーンが繰り返されるに違いない。「そう言えば、そうだった」と思い出の中で花火を見上げているあなたも、今年は久しぶりに出かけてみませんか「鈴鹿8時間耐久ロードレース」へ。

 ■ケビン・シュワンツ 1964年6月19日生れ、アメリカ・テキサス州出身。1988年スズキのエースライダーとして、最高峰のロードレース世界選手権GP500クラスに参戦。この年の開幕戦、鈴鹿サーキットで行われた日本グランプリでいきなり優勝。Hondaのワイン・ガードナー、マイケル・ドゥーハン、ヤマハのエディ・ローソン、ウェイン・レイニーらと死闘を繰り広げ、93年にはシリーズチャンピオンに輝いた。翌1994年に3度目の日本グランプリ優勝を飾るなど鈴鹿サーキットでは強さを見せた。鈴鹿8時間耐久ロードレースには6大会に出場。1985年、86年にヨシムラ・スズキで3位表彰台を獲得すると、88年にはダグ・ポーレンと組んで2位表彰台に上がった。

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