関口一喜 イチ押し週刊誌

アベノミクスで買い物をやめた「30代」

  • 文 関口一喜
  • 2015年4月22日

写真:「桜を見る会」であいさつする安倍晋三首相 「桜を見る会」であいさつする安倍晋三首相

写真:      週刊ポスト(小学館)2015年4月24日号

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 消費税引き上げから1年以上たつが、個人消費が戻ってこない。なかでも、30代の買い控えが目立つという。「毎月の実収入と消費支出を前年と比較した内閣府のデータでは、30代だけが実収入の落ち込み(0.4%減)以上に消費支出の落ち込み(2.8%減)が際立って大きかった。つまり、30代は収入の減少では説明できないくらい買い物を控えているのだ」と『週刊ポスト』(4月24日号)が<アベノミクスで買い物をやめたのは「30代」だった>で取り上げている。

 昨年10~12月の自動車関連支出を前年同期と比べると、ひと月あたり20代は約6800円増えているのに、30代は約5000円も減っている(「家計調査」の「自動車等関係費」)。これは「車離れ」というより「車から離れざるを得ない状況がうかがえる」という。30代女性は「粉ミルクや乳幼児の食料品まで値上げされた。でも、子育てのために削れない出費なので、自分たちのことは後回しにせざるを得ません」と。ブライダルも「ジミ婚」どころか、挙式や披露宴をしない「ナシ婚」が増えているらしい。

 そんな30代が唯一支出を増やしているのはゲーム機やスマートフォン代だ。しかし、これも消費を手控えている裏返しなのである。「旅行や外出をすればお金がかかるけど、ゲーム代なら何とか捻出できる。出歩かない分、電話やLINEなど友人付き合いにスマホは欠かせません」(不動産販売会社に勤める独身の35歳男性)

 買いたくても買えない状態が長く続き「買う気にならない」というムードが広がりつつあるというわけで、この30代の消費落ち込みは日本経済の行方にも大きな懸念を生む。埼玉学園大学経営学部の相澤幸悦教授はこう見ている。

 「本来なら、不動産や自動車、子どもの教育費などで消費が最も多くなるはずの30代は“借金してでもモノを買う”世代です。この世代の消費が最も落ち込んでいるというのは、世界的に見ても異常事態といえる。給料が上がる時代なら多少借金してでも消費に向かえたが、今は将来への不安から節約し、生活防衛している」

 いまの暮らしを維持するだけで精いっぱいなのだ。安倍首相は18日に主催した「桜を見る会」で「景気回復の暖かい風を全国津々浦々にお届けしていく」とあいさつした。「いったいどこの話だ?」と聞いた30代は少なくないのではないか。

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PROFILE

関口一喜(せきぐち・かずのぶ)

1950年横浜生まれ。週刊誌、月刊誌の記者をへて76年に創刊直後の「日刊ゲンダイ」入社。政治、経済、社会、実用ページを担当し、経済情報編集部長、社会情報編集部長を担当後、統括編集局次長、編集委員などを歴任し2010年に退社。ラジオ番組のコメンテーターも10年つとめる。現在はネットニュースサイト「J-CAST」シニアエディター。コラムニスト。

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