ノジュール

<第26回>今夏開催「大地の芸術祭」、越後妻有の里山アート

  • 文 田村知子(『ノジュール』編集長)
  • 2015年7月31日

「たくさんの失われた窓のために」(内海昭子)。十日町市の桔梗原うるおい公園内

写真:越後妻有里山現代美術館『キナーレ』に展示されている「Rolling Cylinder,2012」(カールステン・ヘラー) 越後妻有里山現代美術館『キナーレ』に展示されている「Rolling Cylinder,2012」(カールステン・ヘラー)

写真:うぶすなの家にある「かまど」(鈴木五郎)。実際にご飯も炊ける作品 うぶすなの家にある「かまど」(鈴木五郎)。実際にご飯も炊ける作品

写真:「棚田」(イリヤ&エミリア・カバコフ) 「棚田」(イリヤ&エミリア・カバコフ)

写真:松代地区の星峠は日本で一番美しい棚田として知られている 松代地区の星峠は日本で一番美しい棚田として知られている

写真:定期購読誌『ノジュール』8月号は発売中。写真は、金沢21世紀美術館の「スイミング・プール」(レアンドロ・エルリッヒ) 定期購読誌『ノジュール』8月号は発売中。写真は、金沢21世紀美術館の「スイミング・プール」(レアンドロ・エルリッヒ)

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 近年、アートと地域を結ぶイベントが各地で行われています。なかでも、2000年から始まり3年に1度開催されている、新潟県・越後妻有の「大地の芸術祭」は里山アートの先駆けであり、いまやその聖地となっています。そして、その3年に1度が今年。7月26日~9月13日の50日間で350組380点のアート作品が、東京23区に匹敵する広大な大地を舞台に展開されます。

 聞きなれない「越後妻有」の地名の由来は「とどのつまり」ともいわれ、過疎が進む日本有数の豪雪地帯です。新潟出身である私も、この芸術祭が始まる以前は、この地を知りませんでした。現在でも、公共交通機関が整備されているわけではなく、作品から作品まで移動するのに車で20~30分かかるのは当たり前。観覧するには大変非効率な場所ですが、この不便さこそが、越後妻有のアート巡礼人気を生み出した理由だともいわれています。時間をかけて移動することによって、土地の食材を味わい、里山の何気ない景色や地元の人たちの笑顔にふれることができます。

 車でないと観覧しづらいのですが、芸術祭の期間中は作品を効率的にまわれる現地発着のツアーバスが運行されます。ガイドによる作品解説もあるので、初めて訪れる人はもちろん、以前にまわりきれなかった人も新たな発見があるかもしれません。

 見どころは多彩ですが、まずはアート巡りの拠点ともなる「越後妻有里山現代美術館『キナーレ』」へ。回廊型の建物の2階に、信濃川、縄文土器、雪、トンネルなど、この地域を特徴づけるテーマのアート作品が展示されており、レストランや日帰り温泉施設も併設しています。次に「うぶすなの家」へ。築90年の茅葺(かやぶ)き民家を改築した家には、陶芸家が作った囲炉裏やかまど、風呂などが置かれ、食事処では地元のお母さんたちが地物の野菜や山菜を使った料理でもてなしてくれます。そこから、ぐっと西へ里山のほうに入っていくと「棚田」や「脱皮する家」に到着します。前者は、棚田に田植えや稲刈りなど一年の作業風景を表現したまさに大地とアートが組み合わさった作品で、後者は家じゅうの柱や床や天井が鑿(のみ)で彫り削られた作品。この「脱皮する家」のほかいくつかの作品では宿泊することもできます。

 いずれも、不思議な感覚に圧倒される作品揃い。ぜひ今夏、足を運んでみてください。

 詳細は『ノジュール』8月号で紹介。このほかにも、今年4月に新設された大分県立美術館など話題の美術館の魅力をたっぷり紹介するほか、大阪の大特集も掲載。1970年の万博を経て、今年新たに進化する万博記念公園をはじめ、歴史や時代を感じる場所やテーマにスポットをあてた「時間散歩」へ案内します。

■ノジュール:鉱物学の専門用語で硬くて丸い石球(団塊)のこと。球の中心にアンモナイトや三葉虫の化石などの“宝物”が入っていることがある。

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PROFILE

田村知子(たむら・ともこ)

1995年JTB出版事業局(現・JTBパブリッシング)入社。旅行ガイドブック『るるぶ』の編集ほか、旅行情報サイト「るるぶ.com」などデジタル媒体の企画制作・統括を担当。『るるぶ編集長』を経て、2015年から定期購読専門誌『ノジュール』編集長。

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