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満足度高める努力で訪日外国人の胃袋つかんだ「大阪の台所」

  • 黒門市場
  • 2015年12月24日
「おもしろくてもっぺん来たくなる、飽きのこない市場づくり」、その実態は?
黒門市場の様子はフォトギャラリーから、どうぞ。

 地下鉄を降りてすぐのアーケード通りに足を踏み入れると、そこかしこから魚介や肉の焼けるいいにおいが漂ってきた。見れば、道行く人の多くがホタテの串焼きや小さなカップに入ったイクラなどを手に持って歩いている。アジア系の外国人旅行者たちだ。

黒門市場

すしや海鮮丼などを店内のイートインスペースで食べられる「黒門三平」

黒門市場

こちらは昔から食べ歩きメニューを用意していたという「ふな定」。ホタテやウナギが中華圏のお客に人気だとか

 神戸ビーフをその場で焼いて食べられる精肉店の前には黒山の人だかり。鮮魚店の店先に並べられたテーブルでは香港から来た20代の女子4人組が焼き魚やエビをほおばり、「この市場のことはネットで知ったの。みんなとってもおいしい!」とうれしそうに笑った。パンパンに膨らんだ買い物袋を両手にぶらさげて歩いていたのはシンガポールから来た3人の女性。中身を見せてもらうと、「スープ用に買った」と大量の昆布が出てきた。「日本の食べ物が大好き。年2回は大阪に来ていて、黒門市場には必ず寄ります。今日はおでんやおすしを食べました」

 江戸時代に起源を持ち、「大阪の台所」として長年人々の胃袋を満たしてきた大阪・ミナミの黒門市場にアジアから個人旅行客が大量に訪れるようになったのはここ3年ほどのこと。今や来場者の半数以上を占めるまでになった背景には、市場側の意欲的な取り組みがあった。「アジアからのお客さんが増えてきたと感じていた矢先、東日本大震災で一時パッタリと姿が消えてしまった。そうした時期を経て、彼らにより満足してもらえるような市場づくりを積極的にしていこうと動き始めたんです」と、黒門市場商店街振興組合事務長の國本晃生さんは振り返る。当時の黒門市場は長引く不況や大型スーパーの進出で、かつては仕入れに多数訪れていたプロの料理人も一般の買い物客も減少。そうした中で姿を見せ始めた外国人観光客に活性化の鍵を見いだした。  

黒門市場

香港から来た女子旅4人組

 市場を訪れる外国人にアンケートを取り、何に満足し、何が不満だったかなどを調査。その結果、多くが香港や台湾からやって来た人々で、質の高い食材をその場で食べられることに魅力を感じているとわかった。そこで、多くの店が食べ歩きできる商品を前面に打ち出す売り方に変えたところ、これが大当たり。「『ええもん、ほんまもん』を扱う黒門市場の伝統が、グルメ志向のアジア圏の人々のニーズにはまったんだと思います」と國本さん。一方で、英語・中国語表記や休憩スペースと公衆トイレの設置、無料Wi-Fiの整備など、観光客を迎える施設としての利便性の向上にも努めた。今年5月からは接客に的を絞った英会話を学ぶ勉強会も立ち上げ、幅広い業種の30人の店主が毎週休まず参加している。「最初は市場の変化に戸惑う店主たちも多かったけれど、こうして活気が戻ってきたことを目の当たりにして考え方が変わってきた。商いには伝統を守ると同時に柔軟性も大事なんです」と、商店街の副理事長でカレー店「ニューダルニー」店主の吉田清純さんは話す。

 食べ歩きの楽しさにひかれて、それまでの客層になかった国内の若い観光客もやって来るようになった。「おもしろくてもっぺん来たくなる、飽きのこない市場づくり」。常にお客の次のニーズを探る努力が、老舗(しにせ)の市場に新しいにぎわいを生んでいる。

 

(文・写真 谷口絵美)


場所名:黒門市場
住所:大阪市中央区日本橋1、2丁目
アクセス:大阪市営地下鉄日本橋駅からすぐ
電話:06・6631・0007(黒門市場商店街振興組合)
ホームページ:http://www.kuromon.com
メモ:東西300メートル、南北80メートルのアーケード街に鮮魚や青果、肉、各種食品を扱う店や飲食店など約150軒が集まる。営業時間や定休日は店舗により異なるのでホームページで確認を

マウスホイールのスクロールでも見ることができます
(Windows IE6以降・Mac Safari3以降推奨)
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