キャンピングカーで行こう!

日本に合ったキャンピングカーを! 注目の新興ビルダーを訪ねて

  • 文 渡部竜生
  • 2016年1月6日

完成したばかりの新型SAKURA。FRPパネルの継ぎ目などの処理が非常にきれいなのが同社の特徴だ

  • 完成したばかりの新型SAKURA。FRPパネルの継ぎ目などの処理が非常にきれいなのが同社の特徴だ

  • バンクベットは車に対して縦に寝るタイプ。大きな天窓は「桜の下に停めて、花を見て目覚めたい」という江田会長の構想からだという

  • リアキッチンモデルの室内。エントランスの上にはバッテリー駆動のクーラー、i-coolが収まる

  • リアキッチン周り。正面の黒い部分が電子レンジ、その下に小さい冷蔵庫。この冷蔵庫が回転して車外からも取り出せるすぐれもの

  • 別タイプの車両のバンク部分。壁や家具、床材の色、カーテン生地、シート生地などは変更できる。色が変われば印象もかなり違う

 あけましておめでとうございます。やけにあたたかい年末年始でしたが、みなさんはどんな休日をお過ごしでしたか? 帰省された方、この機会に旅行された方、冬キャンプやスキーを楽しんだ方……。私も北陸方面へ出かけましたが、高速道路の路上で、SAやPAで、ずいぶんたくさんのキャンピングカーを見かけました。

 さて、今回は年の初めにふさわしく、最近話題の新興ビルダーさんのお話をしようと思います。

ユニークな出自をもつ新興ビルダー

 年の瀬の日曜日。埼玉県越谷市にある日本特種ボディーを訪ねました。会社設立からわずか1年。話題の新興ビルダーです。

 同社の商品はSAKURA。いすゞ びーかむ1.5tをベースにしたキャブコンです。SAKURAは2015年の夏にデビュー。最初のモデルはリアにキッチンを据えたタイプで、次いで二段ベッドモデル、一段ベッドモデルと、半年という短期間に矢継ぎ早に新モデルを展開して注目を集めています。日本特種ボディー自体が創業1年ですから、SAKURAは同社の最初の商品なのです。

 日本特種ボディーの商品が、初めてキャンピングカーショーにお目見えしたのは、昨年11月の、お台場キャンピングカーフェアでした。プライベートショーなどで陳列はしていたものの、大掛かりなショーへの出展はこれが初めて。ブースには終日、人だかりができていました。事前に専門誌などで取り上げられたこともあり、注目度の高さがうかがえます。11月がショーデビューだったにもかかわらず、あっという間に売約済みの札が並び、年末の時点では20台以上のバックオーダーがあるというから驚きです。

 日本特種ボディーは会長である江田俊夫氏の、ある思いから誕生した会社です。江田さんは輸入車、国産車の様々なキャンピングカーを乗り継いだ、まさにヘビーユーザー。キャンピングカー歴は25年にもなるといいますから、それはもう大ベテランです。そのベテランの目から見て、「本当に日本の実情に合ったキャンピングカーがない!」と感じ、「だったら自分で造るしかない」と、同社を設立したのだといいます。

 その独自の考え方はモノづくりにも表れています。2層になったFRP断熱ボディー。床面にエアサイクルシステムを内蔵するなど、他に類をみない構造にも挑戦しています。リアキッチンには、室内・室外両方から使える「回転式冷蔵庫」なんていうユニークな装備まで考えました。一見、常識破りにも見える発想も、元ヘビーユーザーならでは。使う側の視点を忘れることなく、とにかく何でもやってみよう、という姿勢がうかがえます。

隅から隅まで。基本、全てを国内生産

 同社の大きな特徴のひとつが、ほぼ完全に国内生産であることです。製造コストの観点から、多くのビルダーがFRPのシェルや家具を海外で生産していますが、日本特種ボディーでは、ドアや窓などの一部部品を除き、FRPの成形・製造、家具をはじめとする木工など、すべて国内工場で行っています。

 また、ユニークなのは、現時点で自社工場を持っていないこと。同社の強みはユーザー目線に立った「考え方」にあるわけで、製造能力については自社よりも他社の力を借りるのがベスト、という判断です。キャンピングカーは車であると同時に家でもあるので、外装、内装、家具、装備など様々なジャンルの専門家が介在します。それぞれの分野の優秀な工場に外注することで、ベストな品質を確保しようという考え方です。クオリティーコントロールは大変ですが、初期投資を抑えながら、良質な製品を生み出すには有効な手段といえるでしょう。

 「外注先には職人肌の人が多いんですよ。バックオーダーを少しでも解消しようと、納期の短縮をお願いしたら『いい加減な仕事はできませんよ!』って、怒られてしまいました」と同社の蜂谷慎吾社長は笑います。

新興ならではの良さの陰に今後への課題も

 走行性能の高さに定評のある「びーかむ」をベースに、さまざまなアイデアを凝らした快適装備を搭載したSAKURA。それでいて乗り出し価格は900万円以下という設定が人気の秘密です。こう書くといいことずくめのように思われるかもしれませんが、弱点がないわけではありません。

 たとえば、デザインのツメの甘さ。質実剛健、という見方もできますが、機能は満たしていても、見た目が残念、という部分がまだまだあるように思います。最近は国内各社の商品もデザイン性の高いものが増えてきていますので、ここは後発としてがんばらねばならないところでしょう。特に室内のインテリアにこだわる女性の視点は大切にする必要があるでしょう。

 「良さそうなことは、なんでも取り入れます」の姿勢でいきます、という蜂谷社長。こちらが取材に伺ったのに、後半はむしろこちらが質問攻めにあいました。

 いよいよ始まった2016年。年内には一回り大きな、びーかむ2.0tベースのASAKAZEがデビュー予定とのことなので、これからも注目していきたいと思います。

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PROFILE

渡部竜生

渡部竜生(わたなべ・たつお)

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫7匹とヨメさんひとり

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