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[ クラシック音楽 ]

2016年2月10日

片山杜秀、金澤正剛、諸石幸生、矢澤孝樹の4氏が合議で選びました。※タイトルから買い物サイト(一部輸入盤)にリンクします(一部適用外)

ニールセンの旋律、解放したヤルヴィ

 1980年秋、日本でアメリカのテレビ番組が爆発的ブームを呼んだ。科学ドキュメンタリー「コスモス」である。宇宙の神秘を強烈なビジュアルで解明する。NASAの科学者、カール・セーガンが出演した。BGMはクラシック音楽から選曲。中でも強烈な印象を残したのは、ニールセンの交響曲第5番だった。ドンドコドンドンドンという特徴的リズムを際限なく刻む小太鼓。そこから湧き上がる暴力的な行進曲の凄絶(せいぜつ)さ。これぞちっぽけな人間を天の高みからあざ笑って蹂躙(じゅうりん)する音楽か。震撼(しんかん)した。

 ニールセンはデンマークの作曲家。フィンランドのシベリウスと同じ1865年生まれ。だから2015年が生誕150年だった。パーヴォ・ヤルヴィとフランクフルト放送交響楽団の交響曲全集(ソニー)は、それを記念した新録音。

 ニールセンの音楽にはシベリウスに通じる北方的茫洋(ぼうよう)がある。が、マーラーやアイヴズのように雑多な要素を詰め込んで宇宙的に膨張してゆく、怪物的なところもある。ヤルヴィの奔放な棒は後者の方向を徹底する。第4番の大噴火的燃焼、第5番の戦慄(せんりつ)的暴力、第6番の多重人格的混沌(こんとん)。彼の指揮はまるで乗りに乗った書家。躍る筆先から墨汁のほとばしるように、あらゆる音を生動させ、思う存分に爆発させる。これぞニールセンのビッグバンだ!(片)

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