ノジュール

<第34回>旬の桜エビと富士絶景を楽しむ街道歩き

  • 文 田村知子(『ノジュール』編集長)
  • 2016年3月31日

薩た峠の展望台から富士山を望む

写真:なまこ壁が美しい、蒲原宿の佐藤家 なまこ壁が美しい、蒲原宿の佐藤家

写真:桜エビ料理が食べられる、由比の人気店・くらさわや 桜エビ料理が食べられる、由比の人気店・くらさわや

写真:東海道本線が境内を横切る、興津の名刹・清見寺 東海道本線が境内を横切る、興津の名刹・清見寺

写真:定期購読誌『ノジュール』4月号は発売中。写真は、浅草寺と東京スカイツリー(写真 宮地工) 定期購読誌『ノジュール』4月号は発売中。写真は、浅草寺と東京スカイツリー(写真 宮地工)

[PR]

 春を迎え、歩くのが楽しい季節になりました。歴史派にもグルメ派にもおすすめなのが、古くから多くの人が行き交い、歴史や文化の宝庫である旧街道歩きです。なかでも、江戸・日本橋と京都の三条大橋を結ぶ大幹線道路だった「東海道」は、街道の中でも道がよく整備され、標識や道案内も充実。歌川広重の浮世絵にも描かれた、富士の絶景を望む由比を含む東海道随一のルートを、江戸期の旅人に思いをはせながら辿(たど)ります。

 歩行距離で約14kmとなる興津宿までの街道歩きのスタートは、JR東海道本線新蒲原駅。駅から歩いて5分ほどの宿場町・蒲原宿は、江戸時代そのままの道幅を残す旧街道沿いに、なまこ壁が美しい佐藤家や、安政の大地震でも倒壊を免れた上旅籠の和泉屋などが保存されています。次は長さ600mほどの小さな宿場だった由比宿へ。1300坪もの広大な本陣跡という由比本陣公園や、東海道広重美術館などを訪ねたあとは、幕府転覆を企てた由比正雪の生家と伝わる老舗の染物店ものぞいていきましょう。

 由比宿の先からの楽しみが、これから6月初旬までが春の漁期となる桜エビ。桜エビの店が立ち並ぶ「ゆい桜えび通り」では、かき揚げや釜あげなどで桜エビ料理を味わえます。由比駅を過ぎると山側の旧道へ。古い町並みを歩いていくと、街道は徐々に登りとなり、かつて10軒ばかりの休み茶屋があったという西倉沢の集落に入ります。

 その後が、このコースのハイライト薩た峠(さったとうげ)への登りです。峠は、山塊が海に落ち込む地形になっていて、わずかな平地に高速道路と国道、鉄道が弧を描くように走り、海を挟んでその向こうに富士山の雄姿を望みます。これが、広重が描いた有名な「由比薩た嶺」の景観です。車でも行けますが、ここはぜひ江戸の旅人と同じ道中を経て辿りつきたいところです。

 峠を道標に従って下ると、このルートの終着・興津宿へ。この地は、明治~大正期に三保の松原を望む風光明媚な海水浴場として名声を高め、井上馨や西園寺公望ら政界の大物たちが別荘を構えたそうです。

 じっくり歩けば、さまざまな歴史のエピソードに出あえる街道歩き。『ノジュール』4月号では、東海道の伊勢路や、中山道の木曽路・近江路など5コースを紹介するほか、年に一度の東京大特集を掲載しています。

■ノジュール:鉱物学の専門用語で硬くて丸い石球(団塊)のこと。球の中心にアンモナイトや三葉虫の化石などの“宝物”が入っていることがある。

 

定期購読専門誌『ノジュール』最新刊をもっと見る

PROFILE

田村知子(たむら・ともこ)

1995年JTB出版事業局(現・JTBパブリッシング)入社。旅行ガイドブック『るるぶ』の編集ほか、旅行情報サイト「るるぶ.com」などデジタル媒体の企画制作・統括を担当。『るるぶ編集長』を経て、2015年から定期購読専門誌『ノジュール』編集長。

&Mの最新情報をチェック


&Mの最新情報をチェック

Shopping