関口一喜 イチ押し週刊誌

被害が広がっている就活生を狙う「求人詐欺」の手口

  • 文 関口一喜
  • 2016年4月20日

写真:就活生を狙う「求人詐欺」の異常な手口 就活生を狙う「求人詐欺」の異常な手口

写真:週刊プレイボーイ(集英社)2016年4月25日号 週刊プレイボーイ(集英社)2016年4月25日号

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 求人詐欺が横行しているという。低賃金、長時間勤務を隠して、求人票や就職サイトで給与・ボーナスを高く見せたり、残業を短めに設定するなどの好待遇で就活学生らをだますのだ。

 「初任給30万円、ボーナス有」に魅力を感じて中堅不動産会社に入社した男性は、初めて手にした給与明細を見てびっくりした。「求人票では『初任給30万円』としか書かれていなかったのに、給与明細には、その内訳として『基本給15万円、固定割増手当15万円』と記されていたんです」

 固定割増手当とは固定残業代のことで、どれだけ残業してもそれ以上は支給しないという頭打ちだ。ボーナスも「月給の2カ月分」で60万円と期待していたが、基本給15万円の2カ月分で、上司からは「出ない年もあるんだから、ワガママ言うな」と言われてしまう。

 これは『週刊プレイボーイ』(4月25日号)が<就活生を狙う「求人詐欺」の異常な手口>で取り上げているケースで、こうした被害が広がっているという。「慢性的な人手不足を抱える業界を中心に、悪徳な社労士や弁護士の入れ知恵もあり、求人情報を偽ってでも人材を採ろうとする企業が後を絶ちません」と就活支援コンサルタント会社の社長は話す。

 雇用形態の偽装も多い。ある大手エステチェーンは「正社員、ボーナス2回」と求人票に明記していたが、入社してみたら個人事業主(自営業)扱いで、雇用関係のない業務委託契約だから、ボーナスも残業代も一銭も払われず、雇用保険や社会保険も未加入だった。

 「幹部候補」「マネジャー候補」として募集し、残業代を払わないこともある。スーパーのフランチャイズ店舗に配属され「すぐに店長を任されました。毎日7時から22時まで働き、厳しいノルマも課されて、月100時間以上の残業」をこなしたが「店長は管理職なので残業代は一切出ない」ということだった。

 いずれも、待遇面で気になることがあっても、問いただしにくい求職側の弱みにつけこんだことだが、防衛手段はないものか。労働問題に取り組むNPO法人POSSE代表の今野春貴氏はこんな見分け方を教える。「(雑誌の)就職四季報には『3年後の離職率』や『有休消化年平均』といった客観データのほか、求人詐欺問題を意識してか、今年度版から『初任給の内訳』も公開されるようになり、これによって残業代などが“込み”の求人はごまかすことができなくなりました。すると、やましいことでもあるのか、初任給の内訳の欄に『N/A(回答拒否)』となっている企業や、今年度版から掲載を取りやめた企業も出てきた。(略)求人詐欺を疑ってみるべきです」

 また、新卒でも転職サイトに登録しておくと、掲示板などに社名入りでその会社を辞めた理由が投稿されていて、求人票との食い違いをチェックできるようだ。『週刊プレイボーイ』は「就活生たち、求人詐欺に屈してはいけない!」と励ます。そう、泣き寝入りは企業の思うつぼである。

PROFILE

関口一喜(せきぐち・かずのぶ)

1950年横浜生まれ。週刊誌、月刊誌の記者をへて76年に創刊直後の「日刊ゲンダイ」入社。政治、経済、社会、実用ページを担当し、経済情報編集部長、社会情報編集部長を担当後、統括編集局次長、編集委員などを歴任し2010年に退社。ラジオ番組のコメンテーターも10年つとめる。現在はネットニュースサイト「J-CAST」シニアエディター。コラムニスト。

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