ノジュール

<第35回>宮沢賢治の故郷を訪ね、銀河鉄道の旅へ

  • 文 田村知子(『ノジュール』編集長)
  • 2016年5月2日

JR釜石線を力走するSL銀河(写真 宮地工)

写真:林風舎の「注文の多いロールケーキ」セット(写真 宮地工) 林風舎の「注文の多いロールケーキ」セット(写真 宮地工)

写真:花巻中心部を流れる北上川の河畔を賢治が「イギリス海岸」と名付けた(写真 宮地工) 花巻中心部を流れる北上川の河畔を賢治が「イギリス海岸」と名付けた(写真 宮地工)

写真:鉛温泉・藤三旅館の名物風呂、立ち湯の「白猿の湯」(写真 宮地工) 鉛温泉・藤三旅館の名物風呂、立ち湯の「白猿の湯」(写真 宮地工)

写真:定期購読誌『ノジュール』5月号は発売中。写真は、岡山県・倉敷美観地区(写真 清澤謙一) 定期購読誌『ノジュール』5月号は発売中。写真は、岡山県・倉敷美観地区(写真 清澤謙一)

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 『銀河鉄道の夜』や『注文の多い料理店』など独特の世界観をもつ童話作家・宮沢賢治が、岩手県に生まれて今年で120年になります。賢治が思い描いた理想郷“イーハトーブ”の原点を探しに、花巻・盛岡を旅してみませんか。

 まずは、生まれ故郷の花巻市へ。市内には、昨年2月にリニューアルした宮沢賢治記念館や、宮沢賢治イーハトーブ館などがあり、賢治の生涯や人物像を知ることができます。童話にちなんだ「注文の多いロールケーキ」がいただけるカフェや賢治グッズを扱うショップを併設した林風舎や、少し郊外になりますが、賢治が「イギリスあたりの白亜(紀)の海岸を歩いているような」と感じた「イギリス海岸」に立ち寄ってもいいでしょう。

 宿は、花巻駅から車で西に40分ほど行った山間にある鉛温泉の一軒宿、藤三旅館へ。賢治がこの宿の経営者と縁戚関係にあったことから、しばしば訪れたといわれ、童話『なめとこ山の熊』にも登場します。創業は江戸末期に遡(さかのぼ)り、玄関の唐破風屋根や階段の擬法珠装飾など建築としても価値があります。この宿の名物は、湯船の深さが1.25mあり、立って入浴する「立ち湯」。風情ある浴場は男女混浴(女性専用の時間帯あり)ですが、このほか、川の流れを望む男女別の露天風呂もあります。

 そして、盛岡は賢治が学生として学ぶ傍らで、創作活動に励んだ地です。「もりおか啄木・賢治青春館」には、わずか1000冊しか出版されなかった『注文の多い料理店』の初版本が展示されています。また、この作品を刊行したのが「光原舎」。社名も賢治が命名したというその場所は、現在は全国各地の工芸品などを扱う店舗になっていて、多くの賢治ファンが訪れます。

 日程と時間が合えば、4~8月の土・日曜日を中心に運行される「SL銀河」に乗ってみましょう。JR釜石線の花巻~釜石間を走る客車は、盛岡市内の交通公園に保存されてきた「C58 239」型機関車が牽引(けんいん)します。昭和15(1940)年に製造され、山田線などで活躍してきたSLです。客車デザインは、北陸新幹線E7系のデザインでも知られる工業デザイナーの奥山清行氏が手掛け『銀河鉄道の夜』をイメージした青色をベースに、作品中に登場する星座や動物が描かれています。クラシックな造りの車内は、ガス灯を思わせる照明や、カラフルなステンドグラスが愛らしく、作品の世界を体験できる小型プラネタリウムもあります。本を片手に、新緑の岩手で童話の世界にどっぷり浸ってはいかがでしょうか。

 『ノジュール』5月号では、このほか、ひとり旅で行きたい旅先を大特集。倉敷とベンガラ(赤色顔料)の街・吹屋散策や、陶磁器発祥400年を迎える有田、北海道新幹線で沸く函館の新しく懐かしい旅などを紹介しています。

■ノジュール:鉱物学の専門用語で硬くて丸い石球(団塊)のこと。球の中心にアンモナイトや三葉虫の化石などの“宝物”が入っていることがある。

 

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PROFILE

田村知子(たむら・ともこ)

1995年JTB出版事業局(現・JTBパブリッシング)入社。旅行ガイドブック『るるぶ』の編集ほか、旅行情報サイト「るるぶ.com」などデジタル媒体の企画制作・統括を担当。『るるぶ編集長』を経て、2015年から定期購読専門誌『ノジュール』編集長。

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