女子アスリート応援団

心技体をそろえるため、己を磨く 空手家・清水希容さん

  • 2016年5月31日

清水希容(しみず・きよう)さん(フォトギャラリーはこちら

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 真新しい空手着に身を包み、黒い帯をギュッとしめる。大学時代に全日本選手権を3連覇、2014年には世界選手権も制した空手家・清水希容(きよう)さんはこの春、ミキハウスに入社した。9歳から始めた空手のキャリアは長いが、社会人としては1年生。慣れない業務と並行して、新たな環境で稽古(けいこ)に打ち込んでいる。

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 空手には1人で行う「形(かた)」と、実戦形式の「組手(くみて)」があり、清水さんの専門は形。試合は一対一で行い、双方の演武終了後、技のスピードやパワー、バランスなどをかんがみて審査員が判定を下す。全日本選手権の場合、大会1、2回戦は指定形の演武を行うが、3回戦以降は全日本空手道連盟が定めた各流派、86種の中から得意の形を選べる。

鋭い突きや蹴りを次々と

 「糸東(しとう)流」の清水さんにとっての『勝負形』は、スピードと美しさが映える「チャタンヤラ・クーサンクー」。演武は2分半に及び、鋭い突きや蹴(け)りが次々繰り出される。時折入る「えいぃぃぃ!」という気合のかけ声は、あたりの空気をビリビリと震わせるほどの迫力だ。

 演武における優劣の差はどこでつくのか。

 「私自身、中学に上がるまではただ習った動きをなぞっているだけだったんですが、技への理解を深めると動きは見違えるほど変わりました。そういった部分が出来不出来にかかわってくるのだと思います」

 たとえ同じ形を打っても、競技者の長所や体格で見え方は全く異なる。追求に果てがないからこそ、取り組みがいがあるのだ。

 空手は、空手「道」とも呼ばれるように、自身の内面と向き合う精神の強さも求められる。心技体。この三つをそろえるために日々稽古に励んでいるといっても過言ではない。その心技体が初めてそろった日のことは、今も鮮明に覚えている。

 高2の3月、ナショナルチームの選考会でのことだ。「視界も意識もはっきりしていて、思い通りに体が動く。不思議な感覚でした。『こういうこともできるんだ』と知れたことは、大きな自信になりました」。心技体がそろった『ゾーン』の体験が呼び水となり、それまで全国3位止まりだった壁を突破、高3の総体初優勝へとつながっていった。

 空手で形をやっていると人に話すと「瓦割れるの?」と返され、「割らないですね……」と答えることも多かったが、東京五輪の追加種目候補に挙がってからは「あの、ものすごく早く動くやつね!」と分かってくれる人が増えたと頰を緩める。

負けられない重圧

 一方で、世間の関心が高まるにつれ、「負けられない」という重圧は増した。柔道同様、空手も日本発祥の競技だからだ。「形には、空手の伝統が凝縮されています。無駄のない少しの挙動で大きく見せるのが、日本らしい空手。その伝統は大切にしつつ、自分の良さを出していきたい」。10月にある世界選手権での連覇に向けて、毎日の稽古、目の前の試合一つ一つに全力を尽くす。

 「愛される選手になりなさい」。入社式で、会社の先輩にあたる柔道家・野村忠宏さんから贈られた言葉だ。そのためには、「人として成長することが大切」。働くこと、空手以外の競技の選手に接すること、広く世間を知ること。そのすべてが自分の糧になっていく。「何かを吸収しようという意志がないと、競技者としての成長もない。求め続ける姿勢は演武にも表れるので、それは常に意識していきたいです」

(文・渡部麻衣子/写真・南博幸)

    ◇

清水希容(しみず・きよう) 空手家。大阪府出身。1993年12月生まれ。ミキハウス所属

 「自分という器を希望で満たせるように」「一生涯、膨らませた希望を達成していけるように」。名前にはそんな想いが込められている。初任給は家族への贈り物に使った。「祖父母と父にはミキハウスのポロシャツを、母にはピアスをプレゼントしました」。大阪に生まれ、進学先も就職先も大阪府内。「ずっと実家暮らしで、母は食事の面でも支えてくれています。家族の応援があるから、私もがんばれるんです」

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