ノジュール

<第36回>日本のチベット・坂本龍馬も歩いた雲の上の町

  • 文 田村知子(『ノジュール』編集長)
  • 2016年5月31日

檮原へ向かう旧国道197号沿いの布施ヶ坂の茶畑

写真:坂本龍馬ほか維新の志士の偉業を称える群像「維新の門」 坂本龍馬ほか維新の志士の偉業を称える群像「維新の門」

写真:龍馬の衣装を身につけた「脱藩の道」ウォーキングのガイドさん 龍馬の衣装を身につけた「脱藩の道」ウォーキングのガイドさん

写真:茅葺(かやぶき)屋根をイメージした外観のまちの駅ゆすはら 茅葺(かやぶき)屋根をイメージした外観のまちの駅ゆすはら

写真:雲の上のホテルは、レストランや喫茶など一般利用も可 雲の上のホテルは、レストランや喫茶など一般利用も可

写真:定期購読誌『ノジュール』6月号は発売中。写真は奈良県十津川村(写真 中田浩資) 定期購読誌『ノジュール』6月号は発売中。写真は奈良県十津川村(写真 中田浩資)

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 四国・四万十川の源流を辿(たど)り、四国山地の標高220mから北部の1455mまでの傾斜地に位置する「雲の上の町」が檮原町(ゆすはらちょう)です。自然豊かな高原の町は、かつて坂本龍馬が維新回天をめざして、高知から山口県・下関まで約90kmの道のりを歩いた「脱藩の道」があることでも知られています。「日本のチベット」とも呼ばれる秘境を歩きます。

 高知龍馬空港からクルマで約1時間40分、国道197号の新道開通によって以前よりアクセスしやすくなった檮原ですが、往時の雰囲気を味わうなら、勤王志士の脱藩ルートとして使われていた旧道をいきましょう。JR須崎駅から旧道を経由するバスも運行しています(本数が少ないので注意)。急斜面に張り付くように連なる棚田(たなだ)や茶畑の間を縫うように走り、いかに険しい道のりだったかを実感できます。

 脱藩の道を歩くなら、日本の棚田百選にも選ばれている、バス停の神在居(かんざいこ)あたりから。司馬遼太郎が「農業が築き上げた日本のピラミッド」と感嘆したという棚田を、近くの展望所から望みます。その後、龍馬に宿を提供した勤王志士の「那須俊平・信吾の招魂碑」や、旅人たちが茶菓の接待を受けながら社交の場とした茶堂、那須らを含む維新の動乱に身を投じた檮原ゆかりの「六志士の墓」などに立ち寄り、最後は屋根付き木造の御幸橋が架かる三嶋神社へ。境内を進み、杉並木の竹林を抜けて町中に入ると、今回の散策のゴールとなる「維新の門」に到着します。坂本龍馬や、共に脱藩の道を歩んだ沢田惣之丞(さわむら・そうのじょう)と先の六志士の偉業を称(たた)えて1995年に建立されたブロンズ像は、今にも動きだしそうな迫力で並んでいます。

 もっと深く知りたい人には、町内中心部にある龍馬ゆかりの史跡を案内する「脱藩の道ウォーキング」のガイドさんを頼むことができます(1時間30分、3000円)。龍馬の衣装を身につけたガイドさんとの語らいや、現地だからこそ聞ける逸話などもあり興味深い内容です。

 宿泊するなら、新国立競技場も手掛ける隈研吾(くま・けんご)氏設計の「雲の上のホテル」のほか、農家民宿で村の暮らしを体験するのもいいでしょう。雲の上のホテル別館・マルシェ・ユスハラの1階は、農産物や工芸品などを販売する「まちの駅 ゆすはら」。ここでお土産を探したあとは、古くから伝わるとっておきの高級食材・コウライキジを味わえる食事処などに寄り道するのもおすすめです。

 『ノジュール』6月号では、このほか、奈良県十津川村を走る日本一長い路線バスの旅や、かやぶきの里・美山と舟屋が並ぶ伊根をめぐる京都の二つの町を訪ねる旅など、ニッポンの秘境・原風景が残る場所を多数紹介しています。

■ノジュール:鉱物学の専門用語で硬くて丸い石球(団塊)のこと。球の中心にアンモナイトや三葉虫の化石などの“宝物”が入っていることがある。

 

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PROFILE

田村知子(たむら・ともこ)

1995年JTB出版事業局(現・JTBパブリッシング)入社。旅行ガイドブック『るるぶ』の編集ほか、旅行情報サイト「るるぶ.com」などデジタル媒体の企画制作・統括を担当。『るるぶ編集長』を経て、2015年から定期購読専門誌『ノジュール』編集長。

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