私の一枚

試練の時を乗り越え、新たな挑戦の日々 高橋大輔さん

  • 2016年6月27日

岡山県倉敷市のリンクで、8歳からフィギュアスケートを始めた高橋さん。学校が苦手だったので、放課後リンクでスケートの友人と会うのも楽しみだったという

写真:6月30日から初めて 6月30日から初めて"陸"のダンスの舞台に出演する高橋大輔さん(Photo /Seitaro Tanaka)

写真:高橋大輔さんが、出演するダンスショー木下グループPRESENTS『LOVE ON THE FLOOR(ラヴ・オン・ザ・フロア)』。問い合わせは、ディスクガレージ TEL:050-5533-0888
高橋大輔さんが、出演するダンスショー木下グループPRESENTS『LOVE ON THE FLOOR(ラヴ・オン・ザ・フロア)』。問い合わせは、ディスクガレージ TEL:050-5533-0888

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 これは僕が9歳。スケートを始めて1年ぐらいの写真です。スケートを始める前の僕は弱虫だったので、学校でいじめられがちでした。両親は何か運動をさせようとしたのですが、僕が運動が怖かったからかなかなか決まらなくて。あるときアイスホッケーの見学にいったら、同じリンクで練習していたフィギュアに魅(ひ)かれました。やってみたらすごく楽しくて、周囲も喜んでくれたのもうれしくて、昼も夜も氷の上にいるようになりました。

 そこから二十数年、ずっとスケートに情熱を持って打ち込んできましたが、引退後、スケートを続けたいのかがわからず、氷から離れた時期があります。それは昨年4月にニューヨークに語学留学に行ってからの8カ月間。引退して目標を失い、抜け殻になって、それまでのスケート中心の生活からの変化についていけず、何をしたらいいか全くわからない。また現役の最後の2年ぐらいから自分に自信を失い、スケートをしている自分が嫌になってさえいた。そんな気持ちをリセットしたかったのと、ニューヨークでどこまで一人でできるかを試し、何か新たな目標が見つけたかった。結局、現地でも多くの方々にお世話になり、一人では何もできないと自覚したんですけどね(笑)。

 ニューヨークでの日々は楽しかったけど、全力で楽しいわけじゃなくて、「毎日がラク」という感じ。やがて自分はお金ばかり使って何をしているのかという気持ちになってきた。まだスケートを続けたいのかどうかはわからなかったけど、迷っているうちに時間がたち、いざやりたいと思ったときに体が動かなかったら後悔する、と。どうせわからないなら、スケートを軸に新しいこともいろいろやって、そのうえで目標を決めようと帰国しました。すると、スケート以外にもニュース番組やスポーツ番組のキャスター、そしてダンスの舞台など新たな分野の仕事を頂く機会に恵まれました。とても難しく、忙しいですが新しい挑戦をする日々は充実しています。

 特に今は、ダンス。舞台に向けて練習中ですが、スケートと体の使い方が全く違い、苦労しています。やるからには「フィギュアスケーター高橋大輔がダンスをする」というレベルではなく、プロのダンサーと肩を並べるパフォーマンスがしたい。自分ではよくわからないですが、最近、現役時代の目の力が戻ったと周囲からよく言われるんです。そんな風に挑戦する日々の中、やはり自分が一番自信が持てるものはスケートであり、それが自分の強みとわかってきました。ニューヨークでの何もしない時期と、帰国後、多くの新たな仕事をさせて頂く両方の期間があったことで自分を見つめ直せたのはよかったと思います。

 現役のときは自分が試合で一番になることが目標でしたが、今後はアイスショーで、見てくださる方の心を一番つかむ演技がしたい。何より、応援してくださっている方たちが、僕の演技を見ていろんな思いを抱き、喜んでくれる。いろいろな時期を経験した今、それだけですごく幸せを感じます。応援してくださる方がいる限り、体が動くうちは、滑り続けるつもりです。

  

    ◇

たかはし・だいすけ フィギュアスケーター。

1986年岡山県生まれ。2002年世界ジュニア選手権で日本男子初の優勝。右ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂という大けがの後、2010年バンクーバー五輪で銅メダル、3月には世界選手権の金メダル、2012年のGPFの金メダルと日本男子初のみならず、アジア人男子初の戦績を築いてきた。2014年ソチ五輪6位、同年10月に現役引退を発表。現在はスケーターとしての活動を軸に、スポーツキャスターやニュース番組のキャスターにも挑戦中。

◆高橋大輔さんが、陸でのダンスに初めて挑戦する舞台、木下グループpresents 『LOVE ON THE FLOOR(ラヴ・オン・ザ・フロア)』が6月30日より、世界初演を迎える。アメリカのトップダンサー、シェリル・バークさんが構成・演出・主演をつとめ、米国の超人気番組「Dancing with THE Stars」で優勝した、トップフィギュアスケーターたちと作り上げる、世界初のダンスショーだ。物語のテーマは愛。ときめき、情熱、嫉妬といったさまざまな愛の感情を表現する。高橋さんは全編を通し語り部として登場。唯一無二といわれた氷上のパフォーマンスが陸の上ではどのように表現されるのか、目が離せない。

「スケート靴を脱いだパフォーマンスは、重心の取り方から違うし、パートナーと組んで踊ることも初めて。戸惑うことが多いですが、音楽にあわせて踊ることは何より楽しく、とてもやりがいのある挑戦です。陸の上の踊りのほうがバランスのとり方が難しく、普段使わない筋肉を鍛えられるので、スケートにもいい影響が出ていますね。現在は朝から晩までくたくたになるまで練習し、少し安心しては、次の瞬間に打ち砕かれるという連続ですが、とにかくがんばるだけ。不安が100%、楽しみが100%という気分かな(笑)」

会場:東急シアターオーブ(東京・渋谷ヒカリエ)
日程:2016年6月30日(木)~7月9日(土)
出演:シェリル・バーク、 クリスティ・ヤマグチ(フィギュアスケート女子シングル世界チャンピオン、オリンピック金メダリスト)、メリル・デイヴィス&チャーリー・ホワイト(フィギュアスケートアイスダンス世界チャンピオン、オリンピック金メダリスト)ほか米国トップダンサー、ゲストダンサー/高橋大輔(フィギュアスケート男子シングル世界チャンピオン、オリンピック銅メダリスト)

(聞き手:田中亜紀子)

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