今日からランナー

中年以上のランナーは「休むも練習」と心得る

  • 文 山口一臣
  • 2016年7月22日

写真:各社から発売されているサプリメント 各社から発売されているサプリメント

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 走り始めのランナーにとって、避けて通れないのが筋肉痛だ。この連載を読んでその気になって、自宅の近所を軽く走ってみただけでも、翌日もしくは翌々日にくるのが筋肉痛であろう。しかし、ここでめげてはいけない。なぜならこの筋肉痛こそ、ランナーとしての成長の証しだからだ。私が走り始めたころに教わったのがこのことだった。

 私にとって初フルのJALホノルルマラソンの関係で、ジャルパックが主催する練習会に参加したことがある。その時に、講師をしていた白戸太郎さんから聞いた話だ。筋肉痛のメカニズムについては、実は医学的にはまだ完全に解明されていないそうだが、白戸さんから教えてもらったことを多くのランナーは信じていると思う。

 ザックリ言うと、負荷の高い練習によって筋肉が損傷(細かい傷ができる)し、その筋肉を修復するために白血球やリンパ液が集まることで「炎症」が起こり、痛みを感じるという話だ。つまり筋肉痛とは、自分の体が一生懸命に筋肉の傷を直している(イメージとしては「治す」ではなく「直す」)最中のサインなのである。だから練習が終わった後には、意識してタンパク質を多く摂(と)るようにした方がいいと教わった。

 以来、単純な私は筋肉痛になるたび「おお、いま俺の体が一生懸命、筋肉修復のために働いてくれているんだな」と思うようにしている。そうして、自分ができるせめてもの手助けとして、高タンパクの食事や各種サプリメント(写真)を摂ったりする。ホノルルで初フルを完走できた時は、先生の教えに従ってワイキキの「ウルフギャングズ・ステーキハウス」で、ガッツリお肉をいただいた。

 サプリメントには、BCAAというアミノ酸により筋肉の修復に効果があるといわれているものがある。疲労物質の乳酸を分解する効果があるクエン酸も効くとされている。私は「アミノバリュー」を愛用しているが、各社から同様の商品が出ている。試してみるといいかもしれない。

 ここで重要なのが修復過程で「超回復」という現象が起きることだ。筋肉は鍛えれば大きくなることは知られているが、その秘密が超回復にある。高負荷トレーニングでダメージを受けた筋肉は、個人差はあるが48時間から72時間かけて修復される。そして、修復された筋肉は以前よりも強化しているという。これが、超回復だ。筋肉が強化されることで運動能力が上がり、走れなかった距離が走れるようになったり、より速く走れるようになるのだ。

 練習後の筋肉痛は嫌なものだが、そう考えるといとおしく思えてもくる。いずれにせよ、筋肉は練習によって損傷→修復→超回復→発達→成長を繰り返していると、頭に入れておきたい。ランニングを始めた時には500mも走れば息を切らしていたこの私が、フルマラソンを何度も完走できるようになった基本がこのメカニズムだ。

 最後にもうひとつ。「必要以上に頑張らない」という本連載の重要キーワードを思い出してほしい。筋肉痛がある時は、体が修復のお仕事中ということだ。ここで無理をしてさらに大きな負荷をかけると超回復が台無しになってしまう。一流のアスリートの中には、この超回復のタイミングを考慮した練習メニューを組んでいる人もいるというが、おやじランナーはそこまで厳密でなくてもいい。ただ、筋肉痛の時は無理をしない。これだけはしっかり守ってほしい。とくに中年以上のランナーは「休むも練習」と心得たい。

PROFILE

山口一臣(やまぐち・かずおみ)

1961年東京生まれ。ゴルフダイジェスト社を経て89年に朝日新聞社入社。週刊誌歴3誌27年。2005年11月から11年3月まで『週刊朝日』編集長。この間、テレビやラジオのコメンテーターなども務める。その後、朝日新聞出版販売部長、朝日ホール総支配人を経て14年9月からフォーラム事務局員。2010年のJALホノルルマラソン以来、フルマラソン17回完走! 自己ベストは3時間41分19秒(ネット)。

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