小川フミオのモーターカー

世界の名車<第126回>時代の夢だった「キャデラック・エルドラド」

  • 文 小川フミオ
  • 2016年8月1日

1959年型のエルドラド・ビアリッツは宝石のような輝きがあるグリル

写真:ジェット機の垂直スタビライザーを思わせるテールフィンにはノズルから吹き出すジェット噴射のような意匠のテールランプが付く
ジェット機の垂直スタビライザーを思わせるテールフィンにはノズルから吹き出すジェット噴射のような意匠のテールランプが付く

写真:「女性を喜ばせる方法をキャデラックはたくさん知っています」という当時の広告では女性(あるいは家族)を重要なターゲットにしていた 「女性を喜ばせる方法をキャデラックはたくさん知っています」という当時の広告では女性(あるいは家族)を重要なターゲットにしていた

写真:4ドアハードトップというボディー形式のブロアム 4ドアハードトップというボディー形式のブロアム

写真:6396ccV型8気筒エンジンに加えエアサスペンションなど新しい技術も盛り込まれていた 6396ccV型8気筒エンジンに加えエアサスペンションなど新しい技術も盛り込まれていた

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 アメリカ車で「これこそ名デザイン!」といえるモデルは意外に少ないのではないだろうか。そんな中、1959年型のキャデラック・エルドラドは、歴史に残るクルマである。全長5703mmもの長いボディーに、ジェット機の垂直スタビライザーのような巨大な“フィン”と噴射ノズルを思わせるテールランプ。ともに、クルマの機能とは関係ない装飾である。しかしそれゆえに、当時の人々が「より遠く、より速く」とクルマに寄せていた期待と「もしかしたら未来のクルマは飛ぶのではないか」という夢の表現として、今も大きな存在感を誇っているのだ。

 エルドラドは最高級に位置するグレードで、59年は2ドアクーペのセビル、フルオープンのビアリッツコンバーチブル、4ドアハードトップのブロアムという設定があった。テールフィンは60年代に入っても残るが、徐々に小さくなり65年になるとあまり目立たなくなる。

 59年のエルドラドのスタイリングを手掛けたのは、チャック・ジョーダンといわれている。キャデラックも傘下におさめるゼネラルモーターズのデザイン部門を後に統括することになる才能ある人物だ。フェラーリを深く愛したジョーダンにとって、スタイリング上のバランスがうまくとれないテールフィンは、実は自身の美意識に合わなかったのではないだろうか。80年代に本人にそのことを確かめたところ「あれは“時代の夢”だったから」と言われた。夢が売れる時代だったのだ。

PROFILE

小川フミオ(おがわ・ふみお)

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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