関口一喜 イチ押し週刊誌

紅葉狩りは熊にも要注意

  • 文 関口一喜
  • 2016年9月14日

写真:熊の出没にも要注意
熊の出没にも要注意

写真:週刊文春(文藝春秋)2016年9月15日号
週刊文春(文藝春秋)2016年9月15日号

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 空手有段者ともなると、素手で熊を撃退してしまうのか。9月1日、群馬県長野原で渓流釣りをしていた青木篤さん(63)は、気がつくと5メートルまでツキノワグマが近づいていて、目が合った直後に襲いかかられた。立ち上がった熊の背丈は、身長172センチの青木さんが見上げるほどだった。青木さんは頭を咬(か)まれたりひっかかれたりしながらも、空手の必殺技を繰り出すと、熊はひるんで逃げ、軽いけがですんだ。

 さぞ激しい格闘だっただろう。『週刊文春』(9月15日号)が青木さんの“武勇伝”を掲載している。「頭がデカくて、すごい形相で『ウワォワオワオ~』と吠(ほ)えながら覆い被(かぶ)さろうとするんだ」「体は木を叩(たた)いてるみたいに硬い。組み合ったら上から頭をガブッと咬まれ、離れると今度は右腕を咬まれた。腹も突いてみたが、ボヨンと跳ね返された。振り下ろしてくる手はグローブみたいにデカくて……」

 青木さんは沖縄正統空手道五段だが、もはやここまでと覚悟したときに、たまたま目の前に相手の丸い右目が見えた。「これが最後だと、フルパワーでやったよ。ズボッと指が第二関節ぐらいまで入って、相手が引き抜くまで入れ続けた」

 貫手(ぬきて)という技で、2本の指をそろえて相手の目をめがけて突き出す。熊は指を引き抜き、木にぶつかりながら走り去ったという。逃げた熊はまだ見つかっておらず、長野原警察署は「熊を見たら戦わず、そっと離れて通報してほしい」と注意を呼び掛けているが、戦おうなんて人はいないだろう。

 青木さんもそうなのだが、今年は春から熊の目撃や襲われる被害が例年になく多い。生息域に何か異変が起きているのか。富士山・山中湖近くの友人宅を訪ねたときも「熊が目撃されているので外出を控えるように」という有線放送が流れていた。近くに観光名所の忍野八海(おしのはっかい)があり、大型バスが何台も入ってくるところで、こんなそばまでと驚いていると友人はこう話した。

 「山によほどエサがないときに下りてくることはあったけど、熊もそこが自分のテリトリーだと思っていなかったからか、人を怖がった。最近は小熊のころから繰り返し下りてきていて、人里も自分のテリトリーだと思ってるんじゃないかな。人を警戒しなくなっているように思う」

 秋田では熊よけの鈴を鳴らしていても襲われた。こうなると、捕獲して山に帰してもまた戻ってくるから、これからも出没は増えそうだ。熊は冬眠に備えて秋にエサを大量に食べるので、活動域が広がる。紅葉狩りも要注意である。

PROFILE

関口一喜(せきぐち・かずのぶ)

1950年横浜生まれ。週刊誌、月刊誌の記者をへて76年に創刊直後の「日刊ゲンダイ」入社。政治、経済、社会、実用ページを担当し、経済情報編集部長、社会情報編集部長を担当後、統括編集局次長、編集委員などを歴任し2010年に退社。ラジオ番組のコメンテーターも10年つとめる。現在はネットニュースサイト「J-CAST」シニアエディター。コラムニスト。

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