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「イカの町」で百年続く朝市は変わらぬ素朴さが魅力

  • 呼子朝市
  • 2016年10月13日
毎日休みなく開かれる朝市では、今日もエプロン姿のおばちゃんたちの元気な声が
次々に飛んでくる。その様子をフォトギャラリーからも、どうぞ。

 「おねえさん、ちょっとこれ食べてみらんね」。昔なつかしい商店街を歩いていると、エプロン姿のおばちゃんたちの元気な声が次々に飛んでくる。露天に並べられているのは、ぴかぴかと光る真っ赤なアラカブ(カサゴ)やサザエ、そして町の「顔」ともいえるイカの干物。風光明媚(ふうこうめいび)な港のすぐそばで百年つづく、朝の風景だ。

呼子朝市

昔ながらの風情を残す石畳の通りに、品物が所狭しと並ぶ

呼子朝市

色鮮やかなアラカブ(カサゴ)。地元ではみそ汁で味わうのが一般的だそう

 佐賀県北部にある呼子はイカ漁で全国的に知られる町。辺りの食堂やレストランには「イカの活造(いきづく)り」ののぼりがはためく。そんな呼子のもう一つの名物が、元日を除いて毎日開かれる朝市。さかのぼること約300年前、江戸時代に捕鯨基地として栄えたことから人とモノが集まるようになり、大正の終わりごろに商店街に品物を並べて売る現在の形ができあがったという。

 朝市には新鮮な魚介類や干物をはじめ、野菜や果物など近隣の農産物も並ぶ。売り手の中心は漁師の夫などをもつ地元の主婦たち。平日は40人、週末は60人ほどが、約200メートルの通りの両脇に店を出す。「過去に雑誌のアンケートで上位に入ったことから『日本三大朝市の一つ』と発信してきましたが、『こんなに規模が小さいの』って言われることもありますよ」と、呼子朝市組合事務局の宅井文雄さんは笑う。  

呼子朝市

殻の中にはトロトロのウニがたっぷり。「これは当たりだねえ」とおばちゃん

 品物が並べられた台を見ると、「イカと魚の干物は焼いて食べてください」「すぐに新鮮なウニが食べられますよ」といった案内が英語や中国語、ハングルで書いてある。アジアの玄関口である福岡からアクセスしやすい呼子でも、ここ2、3年で香港や台湾、韓国などからの観光客が増加。さらに、佐賀は3年前から県をあげてタイから映画やドラマの撮影の誘致に取り組んでいて、人気作品の撮影が行われた朝市はタイ人のロケ地めぐりのスポットにもなっている。

 イカをフライにしたおつまみなど乾物のいっぱい入った袋を両手に持って歩いていたのは、香港から来た家族連れ。ネットで呼子のことを知って福岡から足をのばして来たそうで、「ウニがおいしかったです」と話した。買ったその場で食べられる新鮮なウニやアワビは、生ものを持って帰れない外国人観光客に人気。生きたまま桶(おけ)に並べられ、ウニは買うとおばちゃんが殻を割り、手にのせてくれる。また、昨年からは週末にバーベキューコーナーが開設され、干物なども焼いて食べられるようになった。

 「日本の原風景が残っていることが、呼子の一番の魅力」と宅井さんは話す。売っているもの自体はスーパーなどでも手に入るが、それでもわざわざ交通費をかけて人が集まってくるのは、地元のおばちゃんたちと直接やりとりしながら買い物をする朝市の「空間」にひかれるからだ。「お客さんと接している時が一番楽しいの。外国のお客さんも日本のお客さんも関係ないわね」。26年間、毎日休まず朝市で干物を売る原美智代さんは、人情味がある朝市の風景が大好きだという。

 道行く人に気さくに声をかけ、自慢の味を食べてみてと試食をすすめる。外国人が増えるといった客層の変化はあっても、迎える街や人は自然体のまま。港町の小さな路地には、いつ訪れても飾らない日常がある。

(文・写真 谷口絵美)


場所名:呼子朝市
住所:佐賀県唐津市呼子町呼子(松浦町商店街、通称朝市通り)
アクセス:唐津バスセンターからバス約30分「呼子」下車、徒歩3分(唐津バスセンターは唐津駅から徒歩6分)
電話:0955・82・0678(呼子朝市組合事務局)
メモ:元日を除き、毎日午前7時半~正午開催。バーベキューコーナーは土日祝日の午前8時半~11時半(雨天中止)。七輪や炭、食器、調味料など一式を貸し出す。4人までのグループは1人400円、5~10人は1組2000円、11人以上は同2500円。中学生以下無料。

マウスホイールのスクロールでも見ることができます
(Windows IE6以降・Mac Safari3以降推奨)
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