インタビュー

山田孝之が語る 「闇金ウシジマくん」とその先にあるもの

  • 2016年10月20日

「『ザ・ファイナル』ではようやく『ウシジマ』の中身をつくることができました」と語る山田孝之

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写真:映画「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」から (C)2016真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」製作委員会 映画「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」から (C)2016真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」製作委員会

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 人々が金に振り回され転落するさまや再生していく姿を描いた人気ドラマ・映画「闇金ウシジマくん」シリーズ。9月に公開した劇場版「闇金ウシジマくん パート3」に続き、22日には「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」が封切りされる。違法な金利で金を貸し付け、容赦のなく取り立てる闇金業者の社長丑嶋(うしじま)を俳優山田孝之が圧倒的な存在感で演じている。

――「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」の公開が目前です。映画2連作でのファイナル企画は山田さんが提案したそうですね。

 「ウシジマくん」をやるにあたって、大きな目標が二つありました。一つは、深夜ドラマで始まったこの作品を、漫画原作を含めて多くの人に知ってもらうということ。もう一つは、主人公の「丑嶋馨」を演じ、そのキャラクターを完成させるということです。

 映画のパート2が公開された時点で、その二つの目標はほぼ達成できたと実感できました。そこで、山口(雅俊)監督と続編の話をしたときに「かなりの回数をやって大きく育ったので、もうそろそろ終わってもいいのでは」と提案をしたんです。

――「ザ・ファイナル」では、原作でも人気の高い「ヤミ金くん編」を実写化しています。このエピソードを希望したのも山田さんだと伺っていますが。

 柄崎役のやべきょうすけさんから「ヤミ金くん編」がおもしろいと前々から聞いていました。丑嶋の学生時代を描いているなら、それは絶対にやるべきだろうと。

 それと、実は、シリーズが進む度に丑嶋の出番を少しずつ少なくしてもらっていたんです。それよりも、丑嶋にお金を借りに来る人の人生を中心に描いてほしいと。でも、学生時代を描くエピソードとなると、ただでさえ少なくなった現在の丑嶋の出番がもっと減ってしまう。それでシリーズを終わりにしてしまうと見る人は物足りないかと思い、2本同時にやりましょうとなりました。

――これまで人間らしい感情表現が一切なかった丑嶋ですが、「ザ・ファイナル」ではそこに変化が見えました。過去のシリーズと比べて、役作りの仕方に違いはありましたか?

 ありました。丑嶋って、何を考えているのかまったくわからないじゃないですか。そのキャラの行動や言動には「なぜ、そうしようと思うのか」という理由がありますよね。でも、丑嶋の場合はそれを一切考えずに、セリフを覚えてウシジマらしく発するという演技の仕方をしてきたんです。普通、キャラクターをつくる過程では、僕はまずその役の中身を絶対に考えるんですけど。

 「ザ・ファイナル」では、ようやく彼の中身をつくることができましたが、初めての試みでとても楽しかったです。幼なじみの竹本(永山絢斗)との一連のやりとりでは、機械っぽい丑嶋が少し崩れるんです。これまで見てきてくれた人は「あ、社長もちゃんと血が通ってるのかな」と安心できると思います(笑)。

――これまで丑嶋の中身をつくらなかったのは、どうしてなのでしょうか。

 機械っぽくというか、つかみどころのない感じにしたかったんです。行動や言動の「なぜ」という部分を考えるということは、32年生きてきた僕の感覚というフィルターを通すことになります。すると、僕らしさや人間らしさというのが丑嶋から出てしまう。それが嫌だったんです。丑嶋の外側だけをつくり込んできた、そんなイメージです。

――これだけシリーズが支持されてきた理由は、どうしてだと思いますか?

 みんな見たいんですよ。人がもう、ぐっちゃぐちゃになっていくのを(笑)。怖いもの見たさというか。あとは、それぞれの債務者を見て「自分はこうあってはいけない」という反面教師的に学べる部分もあると思います。登場人物が多く境遇も様々なので、見る人によって心に響く話は変わってくると思います。

――お金に振り回される人々の姿が、怖いほどに描かれていますね。

 お金には、人間の判断基準を簡単に変えてしまうほどの力があるじゃないですか。一方で、お金の力を過信しすぎている人が多いとも思うんです。お金ばかりを求めていったところで、その先に何があるのかを考えていない人が多いというか。何かやりたいことや目的を持っていれば、お金って絶対に後から付いてくるものなので、それを最終目標にしてはいけないと思っています。そこは、最初から伝えたかったですね。

――シリーズを「ファイナル」と銘打ったことへのさびしさはありますか?

 さびしさはまったくなくて、むしろワクワクしています。「ザ・ファイナル」を見たとき、ああ、ちゃんと終われたなと思いました。終わらすことができた、と。逆に、これで「もう一本やります」となったら、何をやればいいのかわからないですね。

 同じシリーズを続けていくこともすごいことですけど、たとえば山口監督と、次は別の作品でウシジマくん以上に多くの人に求められる人気作をつくれたら、もっといいですよね。そういうことに挑戦したいです。

――「パート3」では、「なぜそんな厳しい仕事をやっているのか」と聞かれた丑嶋が「食うためだ」と答えるシーンがあります。山田さんがこの仕事を続けている理由はなんでしょうか。

 うーん……楽しいからです。楽しいですね。楽しんでいるように見えませんか?(笑)。いろんなことやって、楽しいんですよね。いたずらみたいな感覚なんです、ずっと。びっくりさせたいというか。「次は何をやるんだろう」「そんなことやるんだ」みたいな。そういう、ドッキリを仕掛けているような感覚なんです。それって、ワクワクするじゃないですか。

 これからは演じることはもちろん、企画であったり、脚本であったり、制作面にも深く携わりながら、おもしろい映画をつくっていきたいです。

(聞き手・石川裕二 写真・山田敦士)

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山田孝之(やまだ・たかゆき) 1983年10月20日生まれ、鹿児島県出身。「WATER BOYS」(2003年)でテレビドラマ初主演。映画では「電車男」で初主演を果たした。その後も「クローズZERO」「十三人の刺客」「バクマン。」など数々の作品に出演。2016年はアーティスト・TEEのミュージックビデオの監督を務めたほかにも、赤西仁とのユニット「JINTAKA」を結成するなど、幅広く活動している。

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「闇金ウシジマくん」は、非合法な金利で金を貸し付ける金融業者「カウカウファイナンス」の社長・ウシジマを主人公に、金と欲望に翻弄(ほんろう)される人々の人生を描いた作品。原作は小学館漫画賞を受賞し、累計1000万部を突破した同名コミック(作:真鍋昌平/小学館)。実写版は、2010年にテレビドラマとしてスタート。「闇金ウシジマくん パート3」は、高額アフィリエイトによって何億円もの売り上げを生み出す男と、彼に心酔したフリーターの人生が金によって変わっていく様などを描いている。「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」は、これまで謎に包まれていたウシジマの学生時代を知る人物が複数登場。ウシジマの元に金を借りに来た旧友・竹本との再会や、過去に因縁のあった鰐戸(がくと)三兄弟との対決を描く。

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