ノジュール

<第41回>紅葉に彩られる焼き物の里「加賀温泉郷」

  • 文 田村知子(『ノジュール』編集長)
  • 2016年10月31日

秋には周辺が紅葉に染まる、鶴仙渓遊歩道のこおろぎ橋

写真:古九谷から現在の九谷焼が見られる石川県九谷焼美術館
古九谷から現在の九谷焼が見られる石川県九谷焼美術館

写真:夕食の器にも九谷焼が使用される「吉祥やまなか」 夕食の器にも九谷焼が使用される「吉祥やまなか」

写真:江戸後期に築かれた登り窯の跡(九谷焼窯跡展示館) 江戸後期に築かれた登り窯の跡(九谷焼窯跡展示館)

写真:定期購読誌『ノジュール』11月号は発売中。写真は長崎県平戸の寺院と教会の見える風景(写真 宮地 工) 定期購読誌『ノジュール』11月号は発売中。写真は長崎県平戸の寺院と教会の見える風景(写真 宮地 工)

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 日本には、さまざまな特徴をもつ陶磁器の里が各地にあります。これからの時季、紅葉も温泉も楽しめる焼き物の里、北陸の加賀温泉郷に九谷焼を訪ねる旅を紹介します。

 九谷焼は、その紅葉の艶(あで)やかさにも負けない、鮮やかな色彩と細やかな絵模様が特徴の優美な焼きものです。その歴史は古く、明暦元年(1655)に加賀藩の支藩・大聖寺藩を治めていた前田氏の命により、佐賀藩有田で磁器のつくり方を学んだ後藤才次郎が九谷村(現在の加賀市山中温泉の奥地)で開窯(かいよう)したことに始まります。

 しかし、わずか50年ほどで廃窯。その後、江戸後期に豪商の吉田伝右衛門が、自らの私財を投じて九谷焼を再興し、窯元や作家ごとの個性を出しながら発展・変遷してきたのです。まずは、そんな九谷焼の歴史から特徴まで全体像を学ぶために、JR大聖寺駅の近くにある、石川県九谷焼美術館へ。九谷焼の「青手」「色絵」「赤絵」のそれぞれの作品を見たり、窯元ごとに特徴がある江戸期の作品や、工房や作家ごとの個性が色濃く出てくる明治期以降の作品などを見比べたりできます。

 そして、宿泊は山中温泉へ。鶴仙渓(かくせんけい)とよばれる渓谷沿いにある山間の里は、例年11月中旬~下旬ごろには木々が色づき、川沿いにつくられた約1.3kmの遊歩道での紅葉散策がおすすめです。また、この渓谷に沿って続く山中温泉のメインストリート・ゆげ街道には、温泉宿やギャラリー、雑貨店などが集まり、漫(そぞ)ろ歩きが楽しめます。そんななか、九谷焼の器で食事が出される「蟹場」で昼食をとり、館内のそこかしこに九谷焼が飾られるほか、客室や食事処でも九谷焼が使用される「吉祥やまなか」に宿をとって温泉に浸かる……、九谷三昧(ざんまい)の滞在はいかがでしょうか。

 また、山中温泉からクルマで10分ほどの山代温泉は九谷焼再興の地。吉田伝右衛門が私財を投じて築いた登り窯の跡が残っています。現在、見られるのはその土台のみですが、つくり替えや修理を繰り返しながら、昭和15(1940)年まで使われ、九谷焼の歴史を支えてきた重要な窯跡として、国の史跡に指定されています。この窯跡がある「九谷焼窯跡展示館」では、九谷焼としては現存する最後の窯や当時の母屋や工房が見られるほか、工房の一角で絵付け体験も行っています(要予約)。

 作家の工房やギャラリーも訪ねて、お気に入りの陶器をぜひ探してみてください。

 『ノジュール』11月号の第一特集は「ひとり旅」。作家・平松洋子さんが、長崎県平戸に異国風情や鯨の街の面影を探す旅のほか、愛媛の小京都・大洲、夫婦ふたりが現地でひとり旅をする東北の旅など、ふらりと出かけたいひとり旅の情報が満載です。

■ノジュール:鉱物学の専門用語で硬くて丸い石球(団塊)のこと。球の中心にアンモナイトや三葉虫の化石などの“宝物”が入っていることがある。

 

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PROFILE

田村知子(たむら・ともこ)

1995年JTB出版事業局(現・JTBパブリッシング)入社。旅行ガイドブック『るるぶ』の編集ほか、旅行情報サイト「るるぶ.com」などデジタル媒体の企画制作・統括を担当。『るるぶ編集長』を経て、2015年から定期購読専門誌『ノジュール』編集長。

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