勝負師の一曲

高橋尚子さんのB’z「ultra soul」

  • 2016年11月17日

標高4350mのマウントエバンスに走って登ることもある「チームQ」。その頂上でマウンテンゴート(ロッキー白ヤギ)と写る高橋尚子さん

写真:コロラド州・ウィンターパークでトレーニングを行う高橋尚子さん コロラド州・ウィンターパークでトレーニングを行う高橋尚子さん

写真:ウィンターパークの足場の悪い厳しいコースを走る高橋尚子さん ウィンターパークの足場の悪い厳しいコースを走る高橋尚子さん

写真:高橋尚子さん 高橋尚子さん

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難度の高いコースでの練習中、私を鼓舞してくれた

 私にとって音楽はランニングに欠かせないすごく大切なアイテムですね。ゆっくりなジョギングの時はもちろん、ハードなスピード練習や40km走の後に行っていたプラス1時間のジョギングの時も、楽しく走るために流行の音楽を聴くようにしていました。現役時代はアメリカ・コロラド州のボルダーで合宿をすることが多く、年間で半年ぐらいいることもあり、その間はテレビやパソコン、携帯電話とも無縁の生活。海外のポップスやクラシックのピアノ曲を聴くこともありましたが、ここぞというときにはJ-POPを聴きたくて、はやりのものを何百曲も送ってもらい、リズムや歌詞でセレクトしていました。

 自分のテーマ曲は試合ごとに変わっていたのですが、2001年に「ultra soul」を聴いてからは、定番のテーマ曲に。「結末ばかりに気を取られ この瞬間(とき)を楽しめない」「祝福が欲しいのなら 悲しみを知り 独りで泣きましょう」といった歌詞が厳しいトレーニングの際の励みになり、“今日こそは乗り越えるぞ!”というとき、ゴールの先を頭の中に描きながら、何十回と繰り返し聴いていました。

 ボルダーから車で2時間のウィンターパーク。2700~3500mの高地トレーニングでは、夏場でも朝はマイナスの気温になります。24km上って、6.4km下るのですが、足場が悪く、ぼーっと走っているとけがをする危険もあります。しかも、少しでも苦しいと思うとタイムがガラガラッと崩れるし、弱い心や甘えにすぐに付け込んでくる。常に攻めの気持ちで臨まないといけないコースなんです。その練習を10日間に2~3回のペースで、試合のような形で行っていました。当時は批判もありましたが、監督は「非常識なことをやらないと駄目だ」という意見で、私も同じ思いでした。その年に世界記録が出せたのも、「ultra soul」に背中を押されたおかげかもしれませんね。

    ◇

たかはし・なおこ 元陸上競技選手(女子マラソン)。2000年のシドニー・オリンピックで優勝し、日本女子陸上選手初のオリンピック金メダリストとなった。同年、女子スポーツ界で初の国民栄誉賞を受賞。01年のベルリンマラソンでは、史上初めて女子で2時間20分の壁を破り、当時の世界最高記録を樹立した。現在はスポーツキャスター、マラソン解説者などで活躍している。

◆「ultra soul」(ウルトラ・ソウル)は、稲葉浩志と松本孝弘による音楽ユニット・B’zの31作目のシングル。2001年世界水泳選手権大会公式テーマソング。それ以降、テレビ番組のスポーツの企画やプロ野球選手の選手の登場曲などでもよく使用される。

(聞き手:神門駿兵)

B'z / ultra soul - B'z Official YouTube Channel

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