グッとくる鉄道・東京散歩

洗足池駅 昭和レトロ風情の駅近くにある超ミニマムなガード

  • 文・写真 鈴木伸子
  • 2016年12月27日

駅ホームは赤い三角屋根に木造の柱で可愛らしい (写真特集はこちら

写真:駅近くの、桁下があまりに低いガード。果たしてこれをガードと定義してよいのか?! 駅近くの、桁下があまりに低いガード。果たしてこれをガードと定義してよいのか?!

写真:あまりに低いガードの上を電車が通過していく。通過時にガード下を通る勇気は出なかった あまりに低いガードの上を電車が通過していく。通過時にガード下を通る勇気は出なかった

写真:洗足池駅近くの踏切から石川台駅方面を眺めると、笹丸橋をくぐって電車がやってきた。線路沿いの上り坂はかなり急だ
洗足池駅近くの踏切から石川台駅方面を眺めると、笹丸橋をくぐって電車がやってきた。線路沿いの上り坂はかなり急だ

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 東急池上線の起点と終点である五反田と蒲田のほぼ中間にあるのが洗足池駅。五反田から電車に乗ってこの洗足池駅で降りると、先頭車両方向は屋根がなくてバルコニーのようになっている。たいへん見晴らしがいい。

超ミニマムなガードの上を通る池上線

 ホーム側を見ると、赤い三角屋根、木造の柱とレトロな風合いがとてもステキ。この駅は昭和2年開業ということだが、もしかして開業時からこのままの駅舎なのか。ホームから階段の壁も木造。改札に至る通路の雰囲気にも昭和モダンの風情がある。

 五反田駅からの途中、やはりこのようなレトロな味わいがあって商店街の雰囲気とマッチしていた戸越銀座駅が、すっかりおしゃれに今風の木造駅舎にリニューアルされているのを見てショックを受けたばかりだった。この洗足池駅はこのままオリジナルの姿であり続けてほしい。

 駅を出て中原街道を渡った向こうには洗足池がある。東急には目黒線に洗足駅、大井町線に北千束駅があり、よそ者にとってはなかなかややこしいが、洗足池にもっとも近いのがこの駅となっている。

 今回この駅に来たのは、東京でもっとも桁下が低いと思われるガードを見るため。写真では見たことがあるのだが、そのガード下は、身長156センチの私でもかなり頭をかがめないと通行できないような低さ。実際にその場に行ってみなければ、本当にそこを通行できるのか信じられず、前々から一度来てみたいと思っていた。

 果たしてその超ミニマムガードは、駅からすぐの五反田寄りにあった。ガードにはふつう名称がついているし、桁下の高さが何メートルかも書いてあるものだが、ここにはそれが何もない。ということはこれはガードという定義外のものなのか。実際にその場を見ても衝撃を受けたのだが、下をくぐってみるとかなりの圧迫感がある。しかし、ここが常に通り抜けられるようになっているのは、地元の人たちの生活道路として古くから愛用されてきたからなのだろう。

 洗足池駅前では線路は桁下3.1メートルの高架上を走っていたのに、すぐそばでその桁下がこんなに低くなっているということは、線路ぎわの土地がそれだけ高くなっているということだ。その先ではさらに地面は上り坂となり、線路は地上を走り、そして切り通しを抜けてゆくようになる。坂を上って切り通しの上に架かる跨線橋(こせんきょう)から洗足池駅方向の線路を見下ろすと地形の高低差を実感する。

 駅前に戻り、今度は反対側の隣駅である石川台駅方向に歩いてゆくと、こちらもまた線路沿いに急な上り坂があって、地上を走っていた電車はその先で切り通しを抜けていくことになる。その線路上に架かっているのは笹丸橋というアーチ型の跨線橋。そのさらに向こうにも永久橋という橋があり、土手沿いには春には桜や菜の花が咲くので、池上線でも人気のある撮り鉄ポイントとなっている。今は冬枯れでちょっと寂しいが、カラフルな塗装の笹丸橋の下に青と黄色のリバイバルカラーの車両がやって来たのは斬新でなかなかいい風景だった。

 池上線は、五反田から蒲田まで線路まわりも駅舎も味わい深いところが多いが、この洗足池から石川台駅付近は地形の変化も激しく、ガード、跨線橋、踏切とグッ鉄ポイントがいっぱい。線路沿いを歩いてそれを味わうのが楽しい。

PROFILE

鈴木伸子(すずき・のぶこ)

東京生まれ。東京女子大卒業後、雑誌「東京人」勤務。1997年より副編集長、2010年退社。都市、建築、鉄道、町歩きなどをテーマに執筆活動を行う。著書に「大人の東京散歩 昭和を探して」「鉄道沿線をゆく 大人の東京散歩」「わたしの東京風景」「シブいビル 高度成長期生まれ・東京のビルガイド」など。

BOOK

写真

「グッとくる鉄道 見て乗って感じる、胸騒ぎポイントガイド」(リトルモア)鈴木伸子著

 鉄道にグッとくるとは? 雑誌「東京人」元副編集長、鈴木伸子が日々の通勤、通学電車で見つけることのできる「まずはココを見て 乗って楽しむべき!」というカーブや鉄橋を、ポイント別に写真と文章で解説。

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