小川フミオのモーターカー

世界の名車<第1回>メルセデス・ベンツ Aクラス

  • 文 小川フミオ
  • 2013年2月2日

写真:クルマの歴史はここから始まったといっても過言ではない、1886年のベンツのクルマクルマの歴史はここから始まったといっても過言ではない、1886年のベンツのクルマ

写真:ハリウッドのショールームを建設中(1950年代)ハリウッドのショールームを建設中(1950年代)

写真:54年ハリウッドのショールームにて。300SLは大きな話題を集めた54年ハリウッドのショールームにて。300SLは大きな話題を集めた

写真:サンドイッチ構造と呼ばれ、床下に電池などを収納しようとした初代Aクラスのコンセプトがわかるサンドイッチ構造と呼ばれ、床下に電池などを収納しようとした初代Aクラスのコンセプトがわかる

写真:2013年1月に日本発売が開始された新型Aクラス。3代目になる2013年1月に日本発売が開始された新型Aクラス。3代目になる

写真:新型Aクラスはロングルーフをもち、室内にはおとな4人が乗れるスペースを確保新型Aクラスはロングルーフをもち、室内にはおとな4人が乗れるスペースを確保

写真:ライバルのアウディ、BMWなどを意識してか室内の質感はぐっと向上ライバルのアウディ、BMWなどを意識してか室内の質感はぐっと向上

 昨今、クルマにバリエーションが増えてきた。ガソリンエンジンに加え、ハイブリッド、電気自動車など、この10年でクルマが大きく変わってきている感も。

 そこにあって世界初のガソリンエンジン(専門的にいうとオットーサイクル)搭載車を作ったのがカール・ベンツという、現在のメルセデス・ベンツの創始者。ほぼ同時期にやはり同様のクルマの開発に成功したゴットリープ・ダイムラーの会社と、やがて1924年に合併して、ダイムラー・ベンツができ上がった。

 現在社名はメルセデス・ベンツとなっており、クルマ好きにも高級車を代表する車名として知られているが、メルセデスは合併前のダイムラーが自社のクルマについたブランドネームだった。

 スリーポインテッドスターというクルマのなかでもっとも有名な企業エンブレムは、カール・ベンツが採用していたもので、矢印が指す3つの点は陸(クルマなど)・海(船舶用エンジン)・空(航空機エンジン)すべての領域を制覇しようという同社の意気込みを表すものとされる。いっぽう、錬金術においてすべてのものを黄金に変える幻の元素、リン(三角)を表現しているという説もある。

 同社が世界的に評価されるようになったのは戦前で、高性能エンジンを搭載した高級車、各種レースでの活躍、速度記録への挑戦など、あらゆる分野での活躍が大きく影響した。販売を大きく伸ばしたのは50年代に米国へと進出したことで「最善か無か」という伝説的なスローガンを掲げて富裕層への浸透が進んだ。

 ここで話題にしたいのは、あらゆる分野に挑戦してきたメルセデス・ベンツの企業姿勢だ。高級車の分野ではいまも圧倒的な技術力を示す同社が、90年代になって環境技術の確立を主目的に、小さなクルマの開発に力を入れるようになった。それが96年に発表されたAクラス。全長は短く、全高は高いという独特のデザインが大きく注目された。

 初代Aクラスで注目すべき点は、サンドイッチ構造とよばれた独自のシャシー構造にある。全高が高くなった理由はここにあるのだが、シャシーの下に、電池を入れられたりするスペースを大きくとっており、ガソリンやディーゼルといった伝統的なパワートレイン以外に、電気やハイブリッドや水素を燃料にする燃料電池といった新世代の技術への対応まで視野にいれたものだった。

 やがてメルセデス・ベンツの方針転換で、Aクラスは乗用車として洗練性を追求するように。2013年1月に日本で発売された3代目Aクラスは、大型車や中型車を得意としてきたメルセデス・ベンツがついにコンパクトカーの分野でも成功をおさめたといってもいい、完成度の高いできだ。

 日本に輸入されるのは、パワートレインから分類すれば「A180Blue EFFICIENCY(ブルーエフィシエンシー)」(284万円〜)と呼ばれる1.6リッターターボエンジン搭載モデルと、メルセデス・ベンツにあってスポーティな車両を開発する専門の部署AMGが開発段階から手がけた2リッターターボの「A250 SPORT(シュポルト)」(420万円)の2本立てとなる。

 4355mmのハッチバックボディで、ロングルーフによってより広い室内スペース確保を目指しているのが特徴で、内外装ともに質感の向上がはかられている。「アウディA3スポーツバック(308万円〜)やBMW1シリーズ(308万円〜)が直接のライバルになる」とメルセデス・ベンツ日本では話している。

 新型の最大の特徴は、専門用語を使わせてもらうとドライバビリティのめざましい向上ぶりにある。もうすこし平たくいうと、運転してとても楽しい。122馬力の出力を持つ1.6リッターエンジンには7段のデュアルクラッチ変速機が組みあわされていて、それが上手にパワーを引き出す設定だ。

 もうひとつビックリしたのは、乗り心地が驚くほどいいこと。A180には、ノーマルとスポーツの2種類があり、後者は足回りが少しかための設定。こちらは先に触れたアウディやBMW、それにフォルクスワーゲン・ゴルフといった強力なライバルに走りで迫るものだが、いっぽうノーマルのサスペンション設定は、このクルマにしかないキャラクターを生み出している。ふんわりやわらかめで、車体の動きがじつに気持ちいい。記憶をたどると1980年代までのフランス車が「魔法のじゅうたん」にたとえられる、こんな気持ちのいい乗り心地だった。

 いまはまだA180系しか発売されていないが、このあとスポーティなA250 SPORT、さらにそのさきにはA45 AMGが控えている。ゴルフならカリスマ的人気を誇るGTIや4輪駆動システムにパワフルな2リッターターボエンジン搭載のゴルフRなども比較対象になるだろう。

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PROFILE

小川フミオ(おがわ・ふみお)

クルマをはじめ、モノやグルメやファッションなどを対象とするライフスタイルジャーナリスト。6年前にドゥカティ・モンスターを手ばなして以来、モーターサイクルとは無縁だが、モーターサイクルがある生活はやはりいいなあと思う。欲しいのは、BMW R80(1984年)。

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