山口一臣 読み比べ週刊誌

政治家の女性スキャンダル

  • 文 山口一臣
  • 2013年7月4日

写真:西村康稔氏西村康稔氏

写真:佐田玄一郎氏佐田玄一郎氏

写真:週刊文春(文藝春秋)2013年7月4日号(6月27日発売)週刊文春(文藝春秋)2013年7月4日号(6月27日発売)Amazonで検索

写真:週刊新潮(新潮社)2013年7月4日号(6月27日発売)週刊新潮(新潮社)2013年7月4日号(6月27日発売)Amazonで検索

 週刊誌業界の両雄、週刊文春と週刊新潮(ともに7月4日号)がまるで示し合わせたかのように安倍政権幹部の“女性スキャンダル”を連打した。まるで巨人ON時代(古いッ!)のアベックホームランみたいである。

 週刊文春がターゲットにしたのは自民党の次世代エースとの呼び声高い、衆院議員で内閣府副大臣の西村康稔氏(50)だ。灘高から東大法学部、通産省のキャリア官僚を経て議員になった超エリートだが、同誌によると<女性関係の噂が絶えなかった>(永田町関係者の証言)のだそうだ。

 そんな西村氏が昨年7月、視察に訪れたベトナムで現地のホステスを買春していたというのである。しかも、同時に3人も。タイトルはズバリ、

<安倍側近 西村康稔 副大臣「ベトナム買春」スッパ抜き!>

 一方、週刊新潮は、

<衆議院No.3「佐田玄一郎」議運委員長 常習的買春の現場報告>

との見出しで、衆議院議院運営委員長の佐田玄一郎氏(60)が東京・上野のキャバクラで知り合った女子大生と湯島のラブホテルで1回4万円の援助交際を20回も繰り返していたという話を伝えた。「現場報告」の看板通り、こちらはグラビア連動でバッチリ写真も押さえてある。

 佐田氏は群馬の名門、佐田建設の御曹司で当選8回のベテランだが、やはり永田町では<「彼はあっちの方が好きでね」「とにかく、夜遊び、女遊びが大好き」>(同誌より)との噂が絶えなかったらしい。

 「英雄色を好む」という言葉もある。政治家は聖人君子たれとまでは言わないが、買春となると話は別だろう。自民党のサラブレッド2人が、揃いも揃ってなんともはや、だ。

 さて、前にもこのコラムで解説したが、この種のスキャンダルで同業者がまず気にするのは情報源だ。いったい誰がしゃべっているのかということだ。両誌に共通しているのが当事者女性の「告白」をゲットしていることである。女性の虚言でない限り、男にとってこれはアウトだ。

<「私みたいな小娘に、一生懸命になっているところが、面白かった。エッチの前や後に『好きだよ』と言われたりして」>(週刊新潮より)

<「私たちは彼とシャワーを一緒に浴びたわ。(中略)まるで“キング”のように振舞っていたわ。そういうプレイを楽しみたかったんじゃない?」>(週刊文春より)

と、閨房の秘話までバラされてしまう。最近では、橋下徹大阪市長が愛人女性に“コスプレエッチ”を暴露されたのが有名だ(これも週刊文春)。政治家にとっては、危機管理能力が問われることにもなりかねない。

 ところで、いまの若い人たちには信じられないと思うが、かつてはこうした政治家の女性スキャンダルは記事にできないといわれた時代があった。

 私自身も若いころ、業界の大先輩のベテラン政治記者から「政治家とは天下国家を論じるもので、へその下のことは書くものではない」と教わった。女性関係の話は記事にするのではなく、政治家から相談されるくらいの信頼関係を築けという意味だった。

 この業界の不文律というか、あえて言うと「掟」を破ったのが1989年、当時、鳥越俊太郎さんが編集長をしていたサンデー毎日だ。 当時首相だった宇野宗佑氏(故人)の愛人だった神楽坂芸者の告発記事を掲載したのだ。当初、日本のマスコミは「掟」に従い黙殺したが、米ワシントンポストがキャリーしたため国内でも話題となり、宇野内閣は直後の参院選で惨敗し、首相も史上最短の在任期間で退陣となる。

 このスキャンダルの5カ月後にベルリンの壁が崩壊した。ふたつの出来事には何の関連もないが、新たな時代の幕開けを予感させるものだった。大げさに聞こえるかもしれないが、当時、鳥越さんは血の小便が出るほどプレッシャーとストレスを感じたという。それほどのことだったのだ。

 以後、週刊誌を中心に政治家の女性スキャンダル記事は“解禁”された。手元に昔つくった各誌が報じた「政治家女性スキャンダル一覧表」があるが、ダントツで強いのが週刊文春で、次いで週刊新潮、フライデー、週刊ポストと続く。やはり女性の告白がある方が政治家にとってのダメージが大きく、役職辞任や落選などにつながっている。

 今回、週刊新潮が書いた佐田氏は議運委員長を辞任するという。一方、週刊文春の西村氏は、記者団に囲まれた際に「事実ではないので、弁護士と対応を相談している」と述べているが、7月3日現在、提訴した形跡はない。記者をベトナムにまで派遣した週刊文春のことだから、第2弾、第3弾を仕込んでいると考えるべきだ。西村氏の強気の姿勢がいつまで続くか、注目だ。

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PROFILE

山口一臣(やまぐち・かずおみ)

1961年東京生まれ。ゴルフダイジェスト社を経て89年に朝日新聞社入社。週刊朝日の記者として9.11テロを、編集長として3.11大震災を経験する。週刊誌歴3誌27年(週刊ゴルフダイジェスト→朝日ジャーナル→週刊朝日)。2006年11月〜11年3月まで週刊朝日編集長。この間、テレビやラジオのコメンテーターなども務める。13年4月から有楽町と浜離宮にある朝日ホールの総支配人。

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