週刊現代(8月10日号)がちょっと面白いことをやっている。みなさんにとっては「なぁ〜んだ」と思われるかもしれないが、元同業者のわたし的には思わず「ニヤリ」とさせられる。表紙の上段にこんなコピーが刷られていたのだ。
<じぇじぇじぇ! 開けてビックリ[史上初の快挙]「アノ声が出る袋とじ」を作りました>
こりゃ、スゴイ! 巻末の袋とじを開くとグラビアに出ている女性モデルの「アノ声」が飛び出すのかと思ってドキドキしながら切り開いたら、まあ予想されたことではあるが、何のことはない。中にQRコードが貼ってあって、アクセスするとそのモデルさんが誌面に掲載された官能小説の一節を朗読してくれるという仕掛けだった。
袋とじを開けながら、9割9分はそんなことだろうと思いつつ、1分は見たこともない何か画期的なアイデアが施されているかもしれない、と思って期待した自分がバカだったことを思い知らされる。でも、こういう「だまし、だまされ」羊頭狗肉ギリギリを味わうのも、実は「正しい週刊誌の楽しみ方」といえるのだ。
実際にバーコードリーダーをかざすと、発売3日目で再生回数が4491回と出た。せっかくの挑戦も、販売に大きく結びついたとはいえなそうだ。しかも、モデルさんの朗読が平板でイマイチ物足りなかった。ただ、こういう遊び心はおおいに大事にしてもらいたい。
週刊現代といえばかつて、これも「業界初!」と銘打って「3Dグラビア」を掲載したことがあった。綴じ込んである赤と緑のメガネをつけると、グラビアが飛び出して見えるのだ。石川遼のスイングや浅尾美和の美しい肢体、当時、話題になっていた小向美奈子のヌードなんかも3Dで見せていた。
かくいう私も週刊朝日の編集長時代にいろいろバカなことを考えたものだ。世間をアッと驚かせたいというのは、編集者の「性」でもある。
まず、本から本当に音が出せないか? 子どものころに「ソノシート付き雑誌」が流行ったことを思い出して、表紙に音源を刻み込めないかとか、ソノシートをおまけに付けられないかとか(もう、ソノシートを知らない世代も多いんだろうなぁ)。匂いの出る絵本があると聞いて、じゃあ土用のうなぎに合わせて「匂いの出るグラビア」はできないか、とか。
いずれもアイデア倒れで実現しなかった。定価の安い週刊誌では、かけられるコストが限られているからだ。
QRコードが出始めたころには、電車の中吊りにQRコードを貼って、特集記事のさわりだけ読めるようにならないか、とか。これはJRに拒否され断念したように記憶している。確かに、満員電車で中吊りにバーコードリーダーをかざすのは危険行為になりかねない。
実現したけど、結果は失敗だったのが抗菌印刷だ。そんなものあるのかと思われるかもしれないが、あるのである。特殊インクを使うことで、抗菌効果の出る印刷技術が。世の中の清潔ブームに乗じてPRもしてみたが、売り上げにはほとんど結びつかなかった。ちょっとは話題になると思ったんだけどねぇ……。
週刊誌に限らず雑誌はもちろん内容で勝負するのが王道だが、こういうバカバカしい努力にも気づいていただけるとありがたい。

1961年東京生まれ。ゴルフダイジェスト社を経て89年に朝日新聞社入社。週刊朝日の記者として9.11テロを、編集長として3.11大震災を経験する。週刊誌歴3誌27年(週刊ゴルフダイジェスト→朝日ジャーナル→週刊朝日)。2006年11月〜11年3月まで週刊朝日編集長。この間、テレビやラジオのコメンテーターなども務める。13年4月から有楽町と浜離宮にある朝日ホールの総支配人。
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