欧州モダン&クラシック(5)

建築デザイン都市ベルリンが語るドイツの歴史

  • 2013年10月21日
世界遺産に登録された、馬蹄形のモダニズム集合住宅群(ジードルング)(写真提供:Berliner/UNESCO)

  • 世界遺産に登録された、馬蹄形のモダニズム集合住宅群(ジードルング)(写真提供:Berliner/UNESCO)

  • 全面ガラス張りのベルリン中央駅

  • ニコライ協会

  • シンケル設計、新古典主義の旧博物館(1824〜30年建造)

  • 東ドイツの集合住宅(1968〜70年建造)。ブーメランの形をしており高級感・特別感がある。政府の役人たちが住んでいたとされる

  • 市街の集合住宅。1900年前後の建造で、中は改装ずみ。アルトバウ(古い建物)と呼ばれるこのタイプの集合住宅は人気が高い。写真の建物は当時人気があったユーゲントシュティール様式(ドイツのアールヌーヴォー)装飾が施されている

  • イーストサイドギャラリー。東西統一後にアーティストたちがベルリンの壁にペイントした部分が、文化財として残っている

 印象的な建築から、その土地に惹かれることがある。波乱に富んだ道のりを歩んできたドイツの首都ベルリンがまさにそうだ。そこにたたずむ様々な建造物のデザインは多様性に満ちている。

ドイツ建築を巡る写真特集はこちら

新旧建築物が間近に

 ベルリンの陸の玄関ともいえる中央駅に降り立つと、全面ガラス張りのモダンな建物に圧倒される。地下2階から地上3階までが吹き抜けとなった中を、ガラスの円筒形エレベーターが上下する様子は、まるで未来都市に来たかのような錯覚を覚える。躍動するドイツの首都・ベルリンだけに、街は近未来的な建築で溢れているという第一印象は、しかし、いい意味ですぐに裏切られる。

 中央駅から東へ3駅目のアレクサンダー広場駅近くには、ベルリン発祥の地であるニコライ地区がある。ランドマークは、1223年に建設が始まったとされるニコライ教会だ。その後増築を重ねるが、重厚なレンガ造りの建物は、この地方の典型的な様式だ。

 そこから10分程度歩くと、有名な博物館島がある。その中の一つである旧博物館は、19世紀の最も偉大な建築家と言われ、当時の王室に仕えていたカール・フリードリヒ・シンケルの設計によるものだ。正面には、古代ギリシア建築で見られる様式の18本の柱が整然と並んでいる。シンプルで安定感がある、美しい新古典主義の建物だ。そのほか博物館島には、シンケルの弟子であるフリードリヒ・アウグスト・シュトゥーラー設計の新博物館と、旧ナショナルギャラリーもある。

 さらに東へ足を伸ばすと、まったく異質な光景が見えてくる。旧東ドイツ時代に建てられた大規模集合住宅だ。その多くは低コスト・短期間でできるプレハブ工法によるものだ。小さな窓が画一的にずらっと並ぶ姿に、衝撃を受けるかもしれない。外壁に一般市民や鳩などの壁画が描かれていることもあり、このエリアがかつて社会主義国だったことを思い起こさせる。

 このように、約8世紀に渡る年月と、東西2つの国に分かれていた歴史をそのまま映し出すように、ベルリンの建築は幅広く、それぞれが独自の魅力を放っている。

モダンデザインが息づく街

 ベルリンの建築デザインというと、モダニズム集合住宅群(ジードルング)を思い浮かべる人も多いだろう。現在ユネスコ世界遺産に登録されているベルリンの6つのジードルングは、住宅供給が需要に追いつかない当時の状況を受け、労働者のための集合住宅として1913年から31年までに郊外各地で建設された。ベルリン市街の多くの集合住宅は、1900年前後に造られている。高さ3mを超える高い天井と広い室内が特徴で、当時流行だったユーゲントシュティール様式(ドイツにおけるアール・ヌーヴォー)を随所に取り入れた、優美な建物だ。

 それに比べてジードルングはコンパクトかつシンプルな点が特徴だ。豪華でなくとも家族単位で住める住宅を、という意図がある。1919年に創立した芸術・建築総合学校バウハウスの機能的・合理的な理念も反映されている。その理念に基づいたデザインは、当時の工業化・大量生産化と結びつき、今日のドイツデザインの礎になっているとも言えるだろう。バウハウスは、ナチス・ドイツ政権によって閉校に追い込まれてしまったが、その考えは現代でも世界中に大きな影響を与え続けている。(文・写真 久保田由希)

参考文献:『図説 西洋建築の歴史』佐藤達生著(河出書房新社)、"Berlin Architektur" Guido Brendgens, Norbert König著(Jovis社)(ドイツ語)

<欧州モダン&クラシック記事一覧>
(1)夢の高速列車ICEがつなぐダイナミックな鉄道旅
(2)のんびりごとごと、ドイツローカル線の旅
(3)素朴であったかい、ドイツおふくろの味
(4)ドイツが誇る食文化、ビールとヴルスト
(5)建築デザイン都市ベルリンが語るドイツの歴史
(6)色あせないドイツモダンデザインの魅力

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