“優しさ”と“操る歓び”が備わる「ロータス・エヴォーラ」に試乗

  • 2014年2月18日
  

写真:2014年モデルから追加された「スポーツレーサー」は、アルパイン製HDDナビや大径の鍛造アルミホイールなどが標準装備された「エヴォーラS」の上級グレードである2014年モデルから追加された「スポーツレーサー」は、アルパイン製HDDナビや大径の鍛造アルミホイールなどが標準装備された「エヴォーラS」の上級グレードである

写真:インテリアでは随所にスエード調の素材を採用。シートは、黒のレザーに赤のステッチとパイピングを施したものと、ベノムレッドの表皮に黒のパイピングとステッチを施したものの2種類を用意しているインテリアでは随所にスエード調の素材を採用。シートは、黒のレザーに赤のステッチとパイピングを施したものと、ベノムレッドの表皮に黒のパイピングとステッチを施したものの2種類を用意している

写真:「スポーツレーサー」に装備される、グロスブラックの鍛造アルミホイール。フロントが19インチ、リアが20インチの前後異径サイズとなっている「スポーツレーサー」に装備される、グロスブラックの鍛造アルミホイール。フロントが19インチ、リアが20インチの前後異径サイズとなっている

写真:ハロップ社製のスーパーチャージャーを装備した3.5リッターV6エンジンは、350psの最高出力と40.8kgmの最大トルクを発生ハロップ社製のスーパーチャージャーを装備した3.5リッターV6エンジンは、350psの最高出力と40.8kgmの最大トルクを発生

写真:ドライバーズシートの足元はタイトで、ブレーキペダルとアクセルペダルがかなり近い位置にレイアウトされているドライバーズシートの足元はタイトで、ブレーキペダルとアクセルペダルがかなり近い位置にレイアウトされている

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 「ロータス・エヴォーラ」に追加された新グレード「スポーツレーサー」に試乗。ドイツのライバルとも、同門のライトウェイトスポーツモデルとも異なる「4人乗りのロータス」ならではの魅力に触れた。

■少数派の中の少数派

 日本で販売されたスマートフォンの7割はiPhone。昨年秋の調査で、そんな結果が出た。他の主な先進国はいずれも5割を切っていて、アンドロイドのほうがシェアが大きいという。

 理由のひとつに挙がっているのは「嫌韓」。海外でのアンドロイドの主力格であるサムスンやLGが、日本ではさっぱりらしい。でも僕はもうひとつ要因があると考えている。この国のユーザーはとにかく、他人の評価に流されやすいということだ。まわりがiPhoneだから自分もiPhoneというパターンは多い。

 クルマの世界にも圧倒的なシェアを誇る軍団がある。輸入乗用車におけるドイツ車で、昨年の登録台数では約72.5%に達している。もちろんiPhoneと違って複数のブランドを合算した結果だが、残りの国が嫌われていることはないし、もっと売れていい。

 ロータスもそのひとつ。2013年の登録台数は305台と、ポルシェの16分の1だ。ちなみに、ポルシェ以外のすべてのスポーツカーブランドの登録台数を合算しても、ポルシェ(4869台)の半分に満たない。たしかにポルシェには「カイエン」などの車種もあるけれど、驚異的な寡占ぶりである。

 実際、東京の街でポルシェはフツーに見かけるのに対し、ロータスを目にできたらラッキーという状況。しかも多くは「エリーゼ」で、2+2でパワーステアリングが付きオートマチックも選べることから、敷居が低いと思われる「エヴォーラ」にはなかなか遭遇しない。

■“4人乗りのロータス”という選択肢

 なぜここまでポルシェに人気が集まるのか。冒頭で書いた理由も当てはまりそうだけれど、あまりこの傾向が極端になると、クルマ好きが減るような気がしてならない。

 ロータスの主役はたしかに、エリーゼのような小型軽量の2シータースポーツだ。しかしエヴォーラのような2+2のキャリアが浅いかというとそうではない。1967年発表の「エラン+2」以来、いくつもの車種を送り出し、豊富な経験を身につけてきた。

 だからクルマそのものでは、ポルシェに大差は付けられていないはず。ひさしぶりになるエヴォーラの取材は、それを確認する場にもなった。

 デビュー5年目のエヴォーラは、2014年モデルへの移行に際して改良を受けた。日本仕様はスーパーチャージド3.5リッターV6エンジンを搭載する「S」に統一され、従来Sには設定がなかったIPS(インテリジェント・プレシジョン・シフト)と呼ばれる6段ATも、6段MTともども設定されることになった。従来どおりリアシートの有無が選べ、うち2+2仕様には「スポーツレーサー」という新グレードが用意された。

 取材車はそのスポーツレーサー。名前のとおり、スポーティーかつレーシーな雰囲気を施したエヴォーラで、エクステリアはブラックルーフ、フロント19インチ/リア20インチと1インチずつアップしたグロスブラックのアルミホイールが特徴。おかげで2014年モデルから採用した赤いブレーキキャリパーが目立つ。

■「エリーゼ」「エキシージ」とは違う

 エヴォーラのアルミ製スペースフレームは、「エリーゼ」や「エキシージ」とは基本設計からして異なる。パッと見て分かるのはサイドシルが低く幅が狭いことで、乗り降りはポルシェ並みに楽だ。

 キャビンに入ると、グレーのスエードに赤いステッチのトリムと、厚みを増したプレミアム仕様のレカロ製シートに目を奪われる。かなり低めの座面に腰を下ろすと、見た目から予想するよりはるかに快適な掛け心地だ。機能的だけれど事務的ではない、シンプルかつクールなインテリアの仕立ては、同じ英国生まれのマクラーレンやアストン・マーティンに通じる。ウッドパネルがなくてもイギリス車だとひと目で分かる。

 後席は大人が座るにはつらいけれど、エリーゼやエキシージに乗った経験から言えば、背後に荷物を置くスペースがあるのはやっぱり助かる。エンジンルーム後方のトランクは熱の影響を受けやすいので、なおさらこの空間は大事だ。

 V6スーパーチャージドエンジンは350ps、40.8kgmを発生する。別の取材で少し前に乗った「エキシージS」と共通のスペックだが、スタート後の印象はエキシージSとは天と地ほどの差がある。音が抑えられているうえに、試乗車がATだったこともあって、とにかくジェントルだ。

 でも高速道路に入ってアクセルを踏み込めば、強烈なダッシュが体感できる。シフトスイッチの手前にあるスポーツモードのボタンを押すと、レスポンスが鋭くなるとともに、パドルシフトがギア固定になって、4000rpm以上での心地よいサウンドを積極的に堪能できる。トヨタエンジンとトルコンATのコンビとは思えない切れ味だ。

■“優しさ”と“操る歓び”が同居している

 インチアップということで懸念された乗り心地の悪化については、結果から言えばロータスらしい、つまりスポーツカーらしからぬしなやかさを保っていた。それでいて運動性能はスポーツカーを飛び越えて、レーシングカーを思わせるほどだった。

 試乗の舞台となった横浜では、ハンドリングの限界などはチェックできなかったけれど、たとえ限界のはるか手前でも、重心の低さと身のこなしの軽さは、並のクルマとは別次元。街乗りでも操る歓びがしっかり満喫できる。

 それはしなやかな乗り心地からも、車両重量1440kg、ホイールベース2575mmという数字からも想像できない世界だ。たぶんデータに表れない部分の設計に、ロータスならではの技が込められているのだろう。

 スポーツレーサーというたけだけしい名前が加わっても、エヴォーラはエヴォーラのままだった。日常的なシーンでは、数あるスポーツカーのなかでも1、2を争うほど優しいのに、ひとたび鞭(むち)を入れ、非日常領域に入れば、実用車派生のスポーツカーでは味わえない感動が押し寄せる。

 だから興味を持った人は、他人の評価に左右されず、その感動を味わってみて、欲しければ頑張って手に入れてもらいたい。それこそクルマ好きが目指す正しい道だ。

(文=森口将之/写真=荒川正幸)

■テスト車のデータ

ロータス・エヴォーラS スポーツレーサーボディーサイズ:全長×全幅×全高=4380×1850×1230mm

ホイールベース:2575mm

車重:1460kg

駆動方式:MR

エンジン:3.5リッターV6 DOHC 24バルブ スーパーチャージャー付き

トランスミッション:6段AT

最高出力:350ps(257kW)/7000rpm

最大トルク:40.8kgm(400Nm)/4500rpm

タイヤ:(前)235/35ZR19 91Y/(後)275/30ZR20 97Y(ピレリPゼロ コルサ)

価格:1055万円/テスト車=1100万円

オプション装備:IPS<インテリジェント・プレシジョン・シフト>(45万円)テスト車の年式:2014年型

テスト車の走行距離:780km

テスト形態:ロードインプレッション

走行状態:市街地(−−)/高速道路(−−)/山岳路(−−)

テスト距離:−−km

使用燃料:−−リッター

参考燃費:−−km/リッター

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