〈ハタラク〉をデザインする salary編

<21>キャンプで年齢、肩書き、性別を超える

  • 2014年10月10日
  

 〈キャンパー〉 10年目 中島昭聡 29歳

「自分はなんで生きてるんだろう?」
 中学生の時、毎日のように考えていました。人間関係がうまくいかず、学校に行くのが苦痛でした。孤独感の中で、よく仮病を使って保健室に逃げていました。僕は、安心できる居場所を探していました。

 大学生になり、僕は子どもたちと一緒に山遊びやキャンプをするサークルに入りました。山と川を見るのが好きでした。街にいる時よりもゆったりと流れる時間はとても居心地がよくて、何より自然体験を仕事にしている人達はみんな温かくて優しい人ばかりで、一緒にいると存在を受け入れてくれているような気になりました。「ここにいてもいいんだ」って。キャンプとの出逢いは、僕の人生が変わった大きなひとつの体験です。

 自然には人を優しい気持ちにする力、素直にする力、元気にする力があるんだな。自然の中でキャンプをすると、肩書きや年齢を超えて、心でつながれる友達ができるんだな。この感覚をみんなにも体験してもらいたいな。将来、必ず自然体験を届ける仕事をしようと決めました。

 卒業後、まずは社会勉強を、と東京のベンチャー企業に就職。始発と終電に乗る日々の繰り返しを2年半続けました。そのせいもあってか、僕の自然体験への思いはますます強くなり、3年前、大人向けのキャンプやトレッキングを企画運営する「僕らの家」という会社を設立しました。

 初めてのキャンプは山梨県。参加者は、インターネットで応募してきた20代の社会人12人とスタッフ4人の計16人。三つだけ、ルールもつくりました。ニックネームで呼び合うこと。敬語を使わないこと。互いを受け入れること。

 土手すべりをしたり、自然のツタを使ってターザン遊びをしたり、ドラム缶風呂に入り、夜には将来の悩み事を話し合ったりしました。そこには、普段参加者のみなさんが働いたり生きたりしている場所とは違う、新しい居場所が生まれていました。

 先日、キャンプに参加してくれた方から1通のメールが届きました。その方も「自分を変えたい」という思いで参加してくれたそうです。そして、「こんなにも優しい人がいるんだ」「私も大丈夫だって思えた」「みんなと出逢えてよかった」って。会社を立ち上げてよかったと思いました。絶対に続けていくぞ、と心の底から思いました。

 大人になっても日々の生活、笑顔いっぱいで送れたら幸せだと思うけれど、中学生の頃の僕のように「自分はなんで働くんだろう?」と考えてしまうこともあると思います。会社員時代の僕がそうだったように、大小はあれど、悩んだりモヤモヤを抱えながら生きていると思います。

 そんな時に、自然の中でひと時でも癒(いや)されることは、どれだけ幸せなことか。男とか女とか、年齢とか肩書きとか、そんなのどっかに置いといて、人と人として心でつながれる友達がいたら、どれだけ幸せなことか。その日その場所のことを思い出し、ちょっとでも幸せな気持ちになったり、明日も頑張ろうと前向きに思えたりする人が増えたら、うれしい。

 What is your salary? 働く対価がお金になり、社会に足りなくなってしまった自然を。居場所を。友達を。元気を。あなたの明日の生きる力になる、「僕らの家」がそんな場所であることが、僕らの夢です。

(次回は10月17日に&wで「臨床心理士」を掲載する予定です)

    ◇

 何のために働くのだろう。あなたにとっての「salary(給料・報酬)」とは何でしょうか? 働く人々がそんな問いかけに答える『あたらしい働く理由をみつけよう』(いろは出版)から、男女24人それぞれの「salary」を紹介する。
『あたらしい働く理由をみつけよう』はこちらから>>

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