わたし遺産

人生の宝物、探す時間を楽しんで 大平一枝さん

  • <PR特集>
  • 2015年10月21日

写真:撮影:安部まゆみ 撮影:安部まゆみ

 人類が未来へと引き継いでいく世界遺産のように、私たち一人ひとりにとってかけがえのない「人、モノ、コト」を後世に伝えていく……。そんな「わたし遺産」の受付が始まった。今年で3回目の募集となる。どんな視点で題材を考えればいいのか。前2回に引き続き、今回も選定委員を務めるライターの大平一枝さんに語ってもらった。

――「わたし遺産」も今回で3回目。これまでの作品の感想をお聞かせください。

 第1回大賞作品は「命をつなぐ十円玉」という、一枚の十円玉がつないだ先生と生徒たちの信頼の物語。歌手の八代亜紀さんが歌にするなど大きな反響を呼びました。第2回受賞作は「手巻き腕時計」。戦後のまだ豊かとは言えない時代の中での、夫から妻への心温まる贈り物の物語でした。どちらも本当にいい話でした。これはいいなと思う作品に共通しているのは、常に移り変わっていく時間の中でも永遠に残っていくもの、変わらないものがあるということを気づかせてくれること。たとえば、親の愛だったり、一期一会の出会いだったり、甘酸っぱい記憶をよみがえらせてくれるモノの話だったり。泣きながら読ませていただくこともたびたびです。

――大平さんにとっての「わたし遺産」とは何でしょうか?

 あらためて考えてみると、リビングにある大きなちゃぶ台でしょうか。直径は120センチで、大人二人がかりでやっと持ち上がるくらいの重さです。購入したのは17年前。夫婦で実家のある長野県に3歳の息子を連れて帰省していたとき、行きつけのインテリアショップで見つけたものです。当時はまだ駆け出しのフリーライターで、お金もなくて、広い部屋に住んでいたわけでもありませんでした。でも、これは迷いなく買いました。そのころ、おなかの中には二人目の子どもがいたと思いますが、家族4人でちゃぶ台を囲んでいる光景が目に浮かび、夫に「買おうよ」と言ったら、「そうだね」と。値段は17万円くらいで、家計的にもかなり勇気のいる買い物でしたが、即決でした。今振り返れば「よく買ったなあ」と思いますね(笑)。

――その日からご家族に大きな変化が生まれたのでしょうね。

 当時の賃貸マンションには不釣り合いなくらいの大きさだったのですが、「家族の新しい歴史が始まるなあ」という感慨がありました。食卓として使っているので、どんな時でもここに家族が集まるんです。今は息子が彼女を連れてきて一緒にご飯を食べたりとか、京都の親戚合計10人がお正月に遊びに来た時には、炊き出しのように60尾のエビフライを揚げ、50枚のお餅を焼き、机の上に並べてみんなでワイワイ言いながら食べたり。上座も下座もないので自然とリラックスできるのもいい。使えば使うほど味わいが出て、傷ができても乱暴に扱っても大丈夫で、気がつけば自分のモノを持つ「物差し」の基準になっていました。それに、この机の前ではとりつくろったり、きれいにしていなくてもいい。そういう意味では、家族の朝昼晩を見守り続けてきた相棒であり、我が家のシンボル。暮らしや身の回りの道具もこうありたいという象徴のような存在です。

――応募を検討されている方へのアドバイスなどありましたら。

 「自分にとっての『わたし遺産』って何だろう」と考える時間を楽しんで欲しいですね。人生のいろんなシーンを思い返しては手にすくいとり、ながめる時間からもう応募が始まっているのではと思うのです。すぐにパッと思い出せないからこそ、宝物のような記憶がどこかに眠っているのかもしれないし、今回の応募をきっかけに掘り起こせるかもしれません。ご家族みなさんで思い出話に花を咲かせながら、ぜひ一筆、チャレンジしていただきたいと思います。

(聞き手・千代明弘)

    ◇

大平一枝(おおだいら・かずえ)

長野県生まれ。大量生産、大量消費の社会からこぼれ落ちるもの・こと・価値観をテーマに、雑誌や新聞に執筆。著書に『東京の台所』『ジャンク・スタイル』『もう、ビニール傘は買わない。』(平凡社)、『信州おばあちゃんのおいしいお茶うけ』(誠文堂新光社)、『日々の散歩で見つかる山もりのしあわせ』(交通新聞社)、『日曜日のアイデア帖~ちょっと昔の暮らしで楽しむ12か月』(ワニブックス)など多数。ホームページ「暮らしの柄」 http://kurashi-no-gara.com/

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