矢島里佳の暮し手への案内

「子ども×伝統産業品」の市場に気づかせてくれた職人さん

  • 文 矢島里佳
  • 2015年12月11日

砥部焼で作った子ども向けの器

写真:職人さんの工房にて
職人さんの工房にて

写真:      「愛媛県から 砥部焼の こぼしにくい器」の商品詳細はこちら

[PR]

 今年最後の2回は、「0から6歳の伝統ブランドaeru」を立ち上げる大きなきっかけとなった、愛媛県の砥部焼の職人さんとの出会いをご紹介させていただきます。

 私が20歳の頃、大手旅行会社の会報誌の連載で、砥部焼の職人さんを取材させていただきました。その職人さんの工房に行くと、大人向けの商品の片隅に、子ども向けのお茶わんや器が並べてありました。珍しかったので、なぜ子ども向けの商品を作っているのか聞いてみると、幼稚園のお父さん、お母さん友達から、「子ども用の良い器がないから作ってほしい」と言われて作り始めたのだそうです。子どもにホンモノを使わせたい。当時30代前半でお子さんが3人いらっしゃった、パパ職人ならではの商品だなあと思い、とても興味を持ちました。

 その後、東京に帰ってからも、ずっと気にかかっていました。各地へ取材に行くたびに、子ども向けの商品を作っている人がいないかと探してみましたが、なかなかいらっしゃいません。「どうしてみんな、子ども向けにつくらないのだろう」と不思議に思い、行く先々の職人さんに理由を尋ねてみました。

 すると、「今まで考えたこともなかった!」や、「お父さん、お母さんが、伝統産業品を子どもに使わせるとは思えない」など、様々な声があがってきました。職人さんに子ども向けの伝統産業品を作るという発想自体がなく、ましてや求められているとも思っていないからこそ、子ども向けの伝統産業品という市場がないことに気がついたのです。

 私自身は、幼少期に日本の伝統産業品に触れることがほとんどなかったので、日本に生まれ、日本で育ちながらも、自国の伝統を知らずに育ちました。けれども、大学生になり、伝統産業の職人を取材し始め、日本の伝統産業を知れば知るほど、その魅力にすっかりほれてしまいました。いつしか、もっと早く知ることができたらよかったなと思うようになり、幼少期から日本の伝統に触れられる暮らし方を提案できないか、それを当たり前の文化にしたい、と考えるようになりました。そして、私の挑戦が始まったのです。

    ◇

「愛媛県から 砥部焼の こぼしにくい器」の詳しい説明はこちら

    ◇

 22歳で「0から6歳の伝統ブランドaeru」を立ち上げた株式会社和(あ)える代表の矢島里佳さんが、全国の職人とともにつくった製品の物語をご紹介します。モノを消費する生活から、モノとともに心豊かな生活を築く「暮し手」へ、皆さまをご案内します。

PROFILE

矢島里佳(やじま・りか)

株式会社和(あ)える代表取締役。1988年東京都生まれ。2011年慶応義塾大学法学部政治学科卒業、13年同大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。「21世紀の子どもたちに、日本の伝統をつなげたい」という想いから、大学4年生の時に「和える」(http://a-eru.co.jp)を設立。子どもたちのための日用品を全国各地の職人とともにつくる「0歳から6歳の伝統ブランドaeru」を12年3月に立ち上げる。『和える-aeru- 伝統産業を子どもにつなぐ25歳女性起業家』(早川書房)を14年7月に刊行。

&Mの最新情報をチェック


&Mの最新情報をチェック

Shopping