森秀光 お金のセオリー

資産運用をしないリスク

  • 文 森秀光
  • 2016年7月13日

写真:     

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 「日本人は預貯金好き」と言われます。2016年3月末の日銀統計によると、日本の個人金融資産は1,700兆円(世界第2位)にのぼり、その構成比率は半分以上が現預金で、株式・投資信託の割合は14%程度となっています。これに対し米国の場合は、45%が株式や投資信託などのリスク性資産です。実はこの構成比率の違い、今に始まったことではなく、数十年前からあまり変わっていません。結果として、日本に比べ米国の個人金融資産は長い間に大きく増えました。

 マイナス金利が導入されてから、日本でも株式や投資信託といったリスク性資産を保有しようと考える人が増えています。今後は米国型の構成比率に近づいていくかもしれません。これまで「運用とは無縁」と思っていた人でも、もはや預金だけでは資産は守れないと気づき始めているのではないでしょうか。資産運用を始める動機は、「リスクを取って資産を増やそう」という積極的な理由だけでなく、「インフレや円安で価値が目減りするリスクから資産を防衛しよう」という保守的な理由もあるのです。

 資産の大半が現預金という人は、長い目で見て資産の価値を維持しようと思うなら、インフレの可能性に備えて、ある程度リスク性資産を保有しておく必要があります。インフレに強いリスク性資産(インフレヘッジ資産)の代表例は、株式と不動産です。仮に、マイナス金利効果が浸透して株価や不動産価格が上昇する「資産インフレ」になった場合は、現預金の相対的価値が大きく低下してしまいます。

 また、資産が円建て金融資産のみという人は、外貨建て資産を保有している人に比べ、大きく見劣りしてしまう可能性があります。例えば日本の10年国債は、米国およびユーロ圏の10年国債利回りと比較して、歴史的に2~3%低い傾向にあります。2~3%の複利運用の効果は、20年の間に元本の6~10割もの差になります。さらに今後、マイナス金利効果によって円安が進んだ場合、円資産の価値が目減りする可能性があるため、価値保全の手立てを考えておく必要があります。

 例えば、円建て安全資産を7割から8割、リスク性資産や外貨建て資産を2割から3割といった資産配分にしておけば、インフレ、デフレ、円安、いずれの局面でも資産価値をおおむね維持できるのではないでしょうか。

 資産防衛の戦略と行動力の違いが、信じられないほどの差をもたらす時代に突入したといえるでしょう。

PROFILE

森秀光

森秀光(もり・ひでみつ)

キャピタル・ソリューション(株)代表取締役。1990(平成2)年大手証券会社に入社後、個人富裕層向けの資産運用アドバイス、上場法人向けのコンサルティング業務等に従事。2014年より現職。有価証券だけでなく、不動産、自社株、相続・事業承継等、多様な側面から顧客資産の分析を行い、最適な解決策を提供することを目指している。資産運用のプロフェッショナルとして、幅広く講演、研修、セミナー等を行っている。キャピタル・ソリューション(株)公式HP:http://www.c-solution.jp/

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