森秀光 お金のセオリー

外国債券は本当に高利回り?

  • 文 森秀光
  • 2016年8月24日

写真:     

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 「外国債券」の魅力は、「国内債券と比べて利回りが高いこと」と考えている方が多いのですが、表面上の利回り(名目金利)だけで投資判断をするのは危険です。外債を検討する場合は、投資する国のインフレ率を考慮した「実質金利」に着目するのがセオリーです。

 「実質金利」とは、名目金利からインフレ率を引いた金利のことです。

実質金利 = 名目金利 - インフレ率

 この式の意味するところは、「いくら名目上の金利が高くても、インフレ率が高い国の場合、実質的なお金のリターン(実質金利)はそれほど高くない」ということです。債券のチラシなどに記載されている金利は、インフレを考慮していない「名目金利」の方です。

 例えば、ブラジルの国債を購入するケース。2016年8月現在、ブラジル5年国債の利回りは約12%です。販売用のチラシでは、「期限5年」「利率12%」などと表示されるため、長期的な期待リターンも当然12%程度だと考える方がいますが、これはよくある初歩的な誤解です。直近のブラジルのインフレ率が約10%であるため、上式にあてはめると、「実質金利」は12%-10%=2%に過ぎず、この実質金利が長期的な期待リターンに近いと考えるべきなのです。別の言い方をすると、ブラジルレアルの通貨価値は、円ベースで見て、長期的にインフレ分だけ減っていく傾向が強いということです。

 また、ブラジルはワールドカップやオリンピックが開催されて成熟した投資先のように思えますが、近年の高インフレと深刻な景気後退のため、昨年から今年にかけて、国債の格付けが投資不適格水準に引き下げられました。米国などの先進国とは異なり、依然として新興国特有のカントリーリスクが存在します。投資する場合は、こうした経済的背景も考慮しなければなりません。

 新興国債券への投資については、資産のバランスを考えて、過度な投資は避けておきましょう。保有割合が大きくなりすぎると、為替・金利・債務不履行リスクの割に期待リターンが小さくなりがちです。また、外債の売買手数料を考慮すると、短期的な実質リターンがマイナスになることも多々あります。

 特に高齢世代において、外債のリスクを十分理解しないで過度に投資しているケースが多いように思われます。このご時世で、簡単にもうかるうまい話はありません。親世代が過度なリスクをとっていないか、子世代が目を光らせておくことも必要かもしれません。

PROFILE

森秀光

森秀光(もり・ひでみつ)

キャピタル・ソリューション(株)代表取締役。1990(平成2)年大手証券会社に入社後、個人富裕層向けの資産運用アドバイス、上場法人向けのコンサルティング業務等に従事。2014年より現職。有価証券だけでなく、不動産、自社株、相続・事業承継等、多様な側面から顧客資産の分析を行い、最適な解決策を提供することを目指している。資産運用のプロフェッショナルとして、幅広く講演、研修、セミナー等を行っている。キャピタル・ソリューション(株)公式HP:http://www.c-solution.jp/

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