森秀光 お金のセオリー

税金対策として有効な「暦年贈与」

  • 文 森秀光
  • 2016年11月2日

写真:     

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 2015年から相続税の基礎控除額が引き下げられています。「自分は普通のサラリーマンだから関係ない」と考えている方が多いのですが、親に財産がある、都市圏に自宅を所有している、あるいは数千万円の退職金や生命保険金を受け取る予定がある、という方は相続税の課税対象者になる可能性が高いことに注意が必要です。

 まずは概算でかまわないので、家族(親も含めて)の財産の相続税評価額と、基礎控除額を確認しておきましょう。課税対象となるのは、金融資産、不動産、保険金などすべての財産です。基礎控除額は、例えば4人家族で法定相続人が3人の場合、3000万円+600万円×3=4800万円となります。財産評価額が基礎控除額を超えている方は要注意です。特に注意しておきたいのが、通常住宅ローンの条件となっている、「団体信用保険」付きローンで住宅を購入している場合、ローンの残債が債務控除の対象とならないため、単純にその自宅が相続財産として評価されてしまうことです。

 相続税が増税となったのに対し、贈与税は減税となりました。この税制改正の背景には、高年世代から若年世代への資産移転を促し、教育や住宅などへの消費につなげて経済を活性化しようという国の狙いがあるものと思われます。

 「相続税増税・贈与税減税」によって、税金対策としての「生前贈与」が有効性を増しています。生前贈与とは、生きている間に子や孫などに財産を贈与し、相続財産を減らしておくというシンプルな対策です。扶養義務者からの生活費・教育費など通常必要なものの贈与(都度贈与)については非課税とされています。他方、通常必要ではないものの贈与については贈与税の対象となります(暦年課税)が、「暦年贈与」は基礎控除額(年110万円)以下であれば申告の必要がありません。このほか、教育や結婚・子育て資金については一定金額まで贈与税が非課税となる「一括贈与」の制度もあります。

 手続きが簡単で使い勝手がいいのは「暦年贈与」です。贈与者・受贈者の関係や資金使途に制限がなく、基礎控除額の範囲内で毎年コツコツ贈与する方法であれば、面倒な手続きなくすぐにでも実行できます。留意点は、相続開始前3年以内の贈与財産については相続財産に加算されることです。実行にあたっては、本コラム「意外と知らない名義預金」(6/1)で記載したように、「贈与の事実」を証拠として残しておきましょう。

PROFILE

森秀光

森秀光(もり・ひでみつ)

キャピタル・ソリューション(株)代表取締役。1990(平成2)年大手証券会社に入社後、個人富裕層向けの資産運用アドバイス、上場法人向けのコンサルティング業務等に従事。2014年より現職。有価証券だけでなく、不動産、自社株、相続・事業承継等、多様な側面から顧客資産の分析を行い、最適な解決策を提供することを目指している。資産運用のプロフェッショナルとして、幅広く講演、研修、セミナー等を行っている。キャピタル・ソリューション(株)公式HP:http://www.c-solution.jp/

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