森秀光 お金のセオリー

贈与にもセオリーがある

  • 文 森秀光
  • 2016年11月16日

写真:     

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 相続税対策としての贈与の考え方は、「財産の一部を生前に子供や孫に贈与しておけば、相続税の負担を軽くすることができる」ということです。具体的な方法として活用しやすいのが「暦年贈与」です。

 暦年贈与とは、1年間(暦年)に贈与を受けた金額が110万円(基礎控除額)以下なら、贈与税の申告が不要な制度のことです。何年でも繰り返し利用できることに加え、受贈者の人数や対象に制限がありません。例えば、祖父母からその子供や孫だけでなく、子供の配偶者、親族でなくても単にお世話になった人など、他人に対しても贈与できます。贈与する期間が長ければ長いほど、そして贈与する人数が多ければ多いほど節税効果が大きくなります。

 仮に長い期間がとれない、あるいは受贈者数を増やせないという場合は、必ずしも110万円にこだわらず、多少贈与税を払っても贈与額を増やした方が有利となることがあります。例えば、贈与額310万円の場合の贈与税は20万円となりますが、税負担率は6・5%なので、この税率が相続税の税率より低い場合は、贈与の方が有利ということになります。

 この考え方から、相続税と贈与税の合計額を最も少なくする毎年の贈与額を求めることができます。相続税を減らすには毎年の贈与額を増やせばいいわけですが、贈与額を増やしすぎると、こんどは贈与税が大きくなりすぎてしまいます。いろいろなパターンを計算して、最も少なくなる贈与額を求めるのです。この計算をするためには、相続財産額、法定相続人数、受贈人数、贈与期間、の四つの要素が必要です。実際に、こうした計算をして計画的な贈与を実行している方もいらっしゃいます。

 暦年贈与の注意点は、「相続開始前三年以内に贈与を受けた財産については、相続税の課税財産に加算される」ことです。この規定があるため、贈与する側ができるだけ若く健康なうちから始めることが大切なのです。

 また、贈与で覚えておきたいもう一つのポイントは、「値上がりしそうな財産から優先的に贈与すること」です。通常は、祖父母が先に相続を迎えるため、生前に祖父母の財産が増えると、それと同時に課税対象となる財産も増えることになります。つまり、祖父母の財産が値上がりするほど相続税も増えることになってしまいます。従って、有価証券や不動産など、将来値上がりしそうな財産は早めに祖父母からその子供や孫に移転しておくことが得策なのです。

PROFILE

森秀光

森秀光(もり・ひでみつ)

キャピタル・ソリューション(株)代表取締役。1990(平成2)年大手証券会社に入社後、個人富裕層向けの資産運用アドバイス、上場法人向けのコンサルティング業務等に従事。2014年より現職。有価証券だけでなく、不動産、自社株、相続・事業承継等、多様な側面から顧客資産の分析を行い、最適な解決策を提供することを目指している。資産運用のプロフェッショナルとして、幅広く講演、研修、セミナー等を行っている。キャピタル・ソリューション(株)公式HP:http://www.c-solution.jp/

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