森秀光 お金のセオリー

「不動産で贈与」という選択肢も

  • 文 森秀光
  • 2016年11月30日

写真:     

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 これまで、相続税対策の基本パターンは、「(祖父母から)財産を毎年コツコツ贈与してもらうこと」と述べてきましたが、財産の中でも、金融資産でなく「不動産で贈与」してもらうと税額を大きく軽減できるケースがあります。

 これは、相続税や贈与税の申告で用いる財産の評価方法が「財産評価基本通達」で定められており、土地については「路線価」、建物については「固定資産税評価額」という、一般に取引されている価格よりも低い価格で評価を行うこととされているからです。

 例えば、祖父母から1000万円の現預金を受贈すると評価額は1000万円のままですが、1000万円の現預金で土地価格500万円、建物価格500万円のマンションを購入し、不動産という形で受贈すると、土地は約8割、建物は約半分などとなり、合わせて約650万円の評価額になる、といった具合です。通常、土地よりも建物の方が「評価減割合」が大きいため、「建物割合が大きい」不動産の方が、取引価格(時価)と評価額の乖離(かいり)が大きくなり、節税効果が大きくなる傾向にあります。

 さらに、購入した土地建物を他人に貸して「貸家建付地」とすると、自用地より評価が下がることとなっています。前述の例では、650万円の評価がさらに2~3割下がって約500万円(評価減割合50%)になるイメージです。建物割合が大きく、かつ貸家建付地である不動産の代表例は、都心の高層マンションですが、評価減割合が70%程度になる物件も珍しくありません。

 また、これまで「不動産での贈与」は、分割して贈与するのが難しく、管理が面倒といった問題点がありました。しかしながら最近では、不動産の所有権を多数の持ち分に分割した「不動産小口化商品」が登場しています。不動産投資商品といえばREIT(不動産投資信託)ですが、REITは時価との乖離をねらった評価引き下げ効果は期待できません。例えば時価500万円分のREITを受贈した場合、現預金と同じように約50万円の贈与税がかかります。これに対し、時価500万円分の「不動産小口化商品」を受贈した場合、評価額は約160万円などとなって、贈与税は約5万円に減額される、といったケースがあるのです。

 こうした贈与時の不動産評価の仕組みを知っているのと知らないのでは大きく差が出ることがありますので、考え方だけでもしっかり記憶にとどめておきましょう。

PROFILE

森秀光

森秀光(もり・ひでみつ)

キャピタル・ソリューション(株)代表取締役。1990(平成2)年大手証券会社に入社後、個人富裕層向けの資産運用アドバイス、上場法人向けのコンサルティング業務等に従事。2014年より現職。有価証券だけでなく、不動産、自社株、相続・事業承継等、多様な側面から顧客資産の分析を行い、最適な解決策を提供することを目指している。資産運用のプロフェッショナルとして、幅広く講演、研修、セミナー等を行っている。キャピタル・ソリューション(株)公式HP:http://www.c-solution.jp/

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