安藤俊介のアンガーマネジメント

高齢になると怒りがコントロールできなくなる?

  • 文 安藤俊介
  • 2016年12月5日

写真:     

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 高齢者の怒り、暴力事件などがここ2、3年くらいとくに話題にのぼるようになったと感じている人は多いのではないでしょうか。今回は高齢になると怒りっぽくなるものなのか、どのように向き合えばよいのかをアンガーマネジメント的な視点から考えてみます。

 少し前の放送になりますが、NHKの番組で高齢者(65歳以上)の傷害事件がこの20年間で9倍、暴力事件の検挙者は48倍になったと紹介されていました。最近の高齢者が特に怒りっぽくなったということなのでしょうか。

 肉体的に考えれば、加齢とともに脳は徐々に萎縮していくので、感情のコントロールが苦手になる人が増えるのはある意味自然なことではあります。ただ、ここ最近のことから考えると、別の問題が浮かび上がってくるように思います。

 筆者は最近の高齢者の怒りの問題は、社会やコミュニティーとの接点の少なさが大きな要因になっていると考えています。

 退職する前、社会で働いている頃であれば、会社、取引先、家族、関係者などが「たが」となって、怒りが暴発するのを防いでいました。どんなに頭にくることがあっても、ここで自分が怒ってしまえば仕事がダメになる、会社に迷惑がかかる、家族を心配させてしまう等々、ブレーキとして効きました。

 ところが社会から離れ、核家族化が進む中で家族とも離れ、近所付き合いもないような暮らしをしていると、現役時代にあった「たが」がほとんどなくなります。そこで、少しでも怒りを感じたりすると、極端な言い方をすれば、「それで誰かを困らせるわけではない」とブレーキがききづらい状態になっていることが考えられます。

 総務省統計局の調査によると、平成27年には高齢者(65歳以上)が人口に占める割合は26.7%に達し、人口、割合ともに最高になりました。そして、65歳以上の男性のうち8人に1人、65歳以上の女性のうち5人に1人が一人暮らしとなっています。

 今後ますます進む高齢化社会の中で、私たちが社会全体として高齢者の怒りと向き合うためには、高齢者を一人にしない、コミュニティーとの接点を作っていくことが必要です。

 高齢者と言っても今は本当に元気な人が多いです。高齢者の再雇用、コミュニティーづくりへ積極的に参画してもらう、ワーク・ライフ・バランスを実現するために手伝っていただく等の仕組みづくりなど社会全体の取り組みとして考えていくことが求められます。

PROFILE

安藤俊介

安藤俊介(あんどう・しゅんすけ)

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事。怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」の日本の第一人者。怒りの感情のプロフェッショナルとして、教育現場から企業まで幅広く講演、企業研修、セミナーなどを行い、社会にある怒りの課題解決に取り組む。著書に「怒りに負ける人、怒りを生かす人」(朝日新聞出版)、「『怒り』のマネジメント術」(同)、「アンガーマネジメント入門」(同)など。日本アンガーマネジメント協会公式HP:https://www.angermanagement.co.jp

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