森秀光 お金のセオリー

ひとごとではない「争族」問題

  • 文 森秀光
  • 2016年12月14日

写真:     

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 以前、テレビで遺産「相続」ならぬ遺産「争族」というドラマが放送されていました。10億円の相続財産をめぐって家族が骨肉の争いをするという内容でしたが、「遺産分割で争うなど、ごく一部の大富豪の話で、しょせん映画やドラマの世界」と思っている方が多いのではないでしょうか。

 じつのところ現実はまったく異なり、「争族」問題はもはや一部のお金持ちの話ではなくなっています。司法統計によれば、家庭裁判所の調停と審判を合わせた遺産分割事件の件数は、最近50年の間に4倍近くに増加し、約1万5000件となっています。調停成立件数は約9000件で、そのうち75%が遺産5000万円以下、じつに32%が遺産1000万円以下となっています。つまり、家族内で遺産分割の話し合いがまとまらず、裁判所のお世話になっている事案の多くが、わずか数百万円の取り分をめぐっての争い、という実情なのです。

 昔は「長男が家を継ぐもの」という考え方が一般的でしたが、時代の変化とともに、「相続財産は兄弟姉妹で平等に」という考え方に変わってきていることが背景にあります。また、昨今の雇用環境の変化で収入が不安定になってきていることから、「もらえる分はもらっておきたい」と考える人が増えていることもあると思われます。

 遺産分割については、「うちの家族は問題ない」と思い込んでいる方が多いのですが、以下は「よくある思い込み」と「もめるパターン」です。

■「財産は自宅だけ」→自宅を分けられず、財産分割をめぐり兄弟ゲンカに発展

■「兄弟みな仲がいい」→仲が良かったが、相続時に配偶者の入れ知恵により、兄弟争いに発展

■「もめるほど財産はない」→「隠し財産が発覚した」「借金があった」「同居の兄弟が生前に贈与を受けていたことが発覚」

■「すでに話がついている」→「株価や土地の評価が変わり、前提条件が変わった」

■「祖父母は元気だから大丈夫」→「数年後、認知症になり、相続対策は何もできなかった」

 遺産分割問題は、相続税がかからなくても生じうる、より身近な問題といえます。裁判所の調停や審判まで至ってしまうと、兄弟姉妹が一生口をきかなくなる、という事態になりかねません。祖父母が生きているうちに、遺産相続について話し合いの機会を持ち、できれば遺言など書面を残しておいてもらうなどして、「争族」にならないようにしておきたいものです。

PROFILE

森秀光

森秀光(もり・ひでみつ)

キャピタル・ソリューション(株)代表取締役。1990(平成2)年大手証券会社に入社後、個人富裕層向けの資産運用アドバイス、上場法人向けのコンサルティング業務等に従事。2014年より現職。有価証券だけでなく、不動産、自社株、相続・事業承継等、多様な側面から顧客資産の分析を行い、最適な解決策を提供することを目指している。資産運用のプロフェッショナルとして、幅広く講演、研修、セミナー等を行っている。キャピタル・ソリューション(株)公式HP:http://www.c-solution.jp/

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