話題の「遺品整理」。パイオニアに聞くオモテとウラ

  • 2013年3月14日

写真:    

 近年、「遺品整理」という言葉をよく耳にする。亡くなった人の持ち物を遺族に代わって点検し、貴重品や形見分けの品、その他の遺品を仕分け。処分等を代行する仕事だ。

 「孤立死」が後を絶たない高齢化社会において、故人の遺品の取り扱いに頭を悩ませる遺族は少なくない。こうしたサービスや活用方法について、日本初の遺品整理専門会社「キーパーズ」代表の吉田太一さんに聞いた。

■遺品が「ゴミ」として扱われていた10年前

 「遺品はゴミではない!」

 こう語るのはキーパーズ代表の吉田太一さん。他人からみれば特別な価値をもたない品々にも、そこには故人の生きざまや想いが詰まっているという。

 遺品整理業というサービスがなかった10年前、こうした代行業はいわゆる「便利屋」の領域。依頼主の求めに応じて粛々と処分を遂行するのが彼らの仕事であり、故人が愛用していた大切な遺品も単なるゴミとして捨てられるだけだった。

 「たとえ今は疎遠になってしまった家族や親戚でも、故人の大切にしていた遺品がゴミのように扱われ、投げ捨てられるのは忍びないという人は大勢います。遺品に込められた故人の想いを大切に『天国へのお引越し』をお手伝いするのが私たちの仕事です」(吉田さん)

 キーパーズでは国内各地の拠点に「遺品供養」専用の式場を設けている。遺品を処分する際には僧侶を招き、丁寧な「供養」を行うことで、故人への配慮だけでなく見送る側の心の整理にもなるという。

■遺族に「ゆとり」を。仕事は絶対に断らない

 それだけでなく「貴重品や形見分けの品、処分品の仕分けと梱包」、「リサイクル品の買い取り」、「不要な家財道具の引き取り業者手配」、「形見分けの全国配送」。さらには「不動産の売却・解体・リフォーム」、「乗用車やバイクの廃車手続き代行」や「本人確認のもと生前に持ち物を整理しておくサービス」まで、サービスの内容は幅広い。大家などの求めに応じ、死臭の残る部屋の消毒や清掃を行うこともあるという。生前の準備から死後のケアまで、ワンストップでオーダーできる頼もしい存在だ。

 「遺品整理の仕事を始めたとき、自分が遺族だったら何をしてほしいかをひたすら考えました。その結果、突然のことで途方にくれている遺族に“ゆとり”を提供するために『何を言われても絶対に断らない会社にしよう』と思ったんです」(同)

 費用は1件当たり平均30万円ほど。自ら方々の業者を手配する時間的、精神的な負担を思えば、コストに見合う価値を見出す人も少なくないだろう。

■さまざまな事情を抱える依頼主

 とはいえ、もちろん現実は映画や小説のように美しい話ばかりではない。遺品整理業者に頼る背景にはキレイごとでは済まない事情もある。

 「古い木造アパートの一室で一人の老人がひっそりと亡くなっていたことがありました。このとき、遺品整理を依頼してきたのはご親族ではなくアパートの大家さん。聞けば故人の肉親である息子さんは電話でただ一言『放棄します』と言い放ち、その後は大家さんが連絡しても居留守を決め込まれているとのこと。そこで私が電話をかけてみると『三十年前に浮気して勝手に家を捨てて出て行った親父の後始末なんか、するつもりはありません。勝手に処分でも何でもしてください』と恐ろしく冷たい声でおっしゃったんです」(同)

 その後連絡は途絶え、吉田さんは弁護士許諾のもと遺品を整理。費用は全て大家が負担した。ほかにも、誰にも言えない事情を抱えて、遺品整理業者に救いの手を差し伸べる人は多いという。

 「寂しいとは思いますが、遺族が薄情なのは故人に原因があるケースが多い。でも遺品を整理しているとケンカ別れした息子への手紙が見つかるなどして、生前は言えなかった故人の想いに気づく遺族もいる。たとえ疎遠になったとしても、家族を想う気持ちは誰もが持っているんですよ」

 これまでに1万以上の「死」と向き合ってきた吉田さんの言葉は重い。

■玉石混交の遺品整理業界。ニセ業者も

 2002年にキーパーズが遺品整理業を始めてから10年、後発の類似業者も続々と参入してきた。注目度も高まり、やや乱立ぎみの感もある。今や100社以上に及ぶ遺品整理業者は玉石混交。遺品整理業者をかたり、遺族の弱みにつけこんで法外な料金を請求する「ニセ業者」も存在するという。

 「遺品整理業者に頼む際には、信頼のおけるメディアなどの“第三者”が客観的な判断のもと評価している会社を選びましょう。値段の安さだけにとらわれず、本当に信頼のおける会社なのかを自身の目で見極めることも大事です。料金だけで比較して安いところを選ぶなら従来の便利屋や引越し屋に頼めばいい話。我々の仕事で最も重要なのは、どこまでも故人や遺族の想いに寄り添うことだと思っています」

 もちろん同社に限らず、誠意をもって取り組んでくれる業者もあるだろう。今後ますます需要が高まっていくと思われる遺品整理業。いざ利用する立場になったときには、遺品と真摯に向き合ってくれる業者を選ぶことが故人への供養になるのかもしれない。

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