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【DieByForty、scatterbrain、Jessy’s Elegy インタビュー】3組のオルタナロックバンドが共同で全18曲入りのアルバムをリリース。彼らが企てる“完璧な計画”とは?

  • 記事提供:OKMusic
  • 2017年10月20日
  • 写真:アルバム『THE PERFECT PLAN』 (okmusic UP's)

    アルバム『THE PERFECT PLAN』 (okmusic UP's)

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90’sオルタナの申し子であることを自負するDieByForty、scatterbrain、Jessy’s Elegyの3バンドが集結し、“THE PERFECT PLAN”というタイトルのもと、各バンドがミニアルバムを想定した6曲を1枚にまとめたアルバムをリリース。Ben(DieByForty/Vo&Gu)、桜木健太(scatterbrain/Vo&Gu)、Tommy Fukuyama(Vo&Gu/Jessy’s Elegy)、それぞれのバンドのフロントマンが本プロジェクトに込めた想いを語る。

──『THE PERFECT PLAN』はスプリットアルバムと言ってもいいのでしょうか?

桜木

「一応、スプリットアルバムとしていますが、世に言うスプリットアルバムとはまったくコンセプトが違っていて。1枚のCDにミニアルバム3枚を入れたものを作ろうというのがもともとのコンセプトだったんです。だから、“どういう作品にしよう?”という打ち合わせなどは一切せずに、純粋にそれぞれの新しいミニアルバムを3枚入れた作品になっています。一応、“THE PERFECT PLAN”というタイトルにはなっていますが、DieByFortyは『Like An Ocean of Stars』、scatterbrainは『in the nowhere land』、Jessy’s Elegyは『Filtering Lights From the Projector』というふうに、それぞれのミニアルバムとしてタイトルが付いているんですよ。」

Ben

「アルバムでも30分とか35分とかの作品が多いと思うんですよ。それももったいないし、CDを買ってくれるお客さんのために曲を目いっぱい入れたくて。僕ら3人はThe Smashing Pumpkinsというバンドが大好きで、彼らも4枚目の『Adore』というアルバムで、目いっぱい曲を入れたんです。『Adore』の最後の「17」という曲は17秒で終わるんですけど、それも意識しました(笑)。」

──でも、それって自分のバンドだけでもできるじゃないですか。なぜ、3バンドでやろうと思ったのですか?

Ben

「みんな仲が良いんです。結構昔から対バンしてきましたし。だから、一緒に作りたいと思いました。それにバンドが3つ集まったら、それぞれのバンドのファンも3倍に…3倍にはならないかもしれないですけど、他のふたつのバンドのファンにも自分のバンドの曲を聴いてもらえるじゃないですか。もちろんそれぞれに違うバンドなんですけど、オルタナティブロックだから、全然違う世界ではない。だから、他のふたつのバンドのこともきっと気に入ってもらえると思います。」

桜木

「世界観を共有できる3バンドだと思うので、そういう化学反応も期待していて。それが化学式をイメージしたジャケットのデザインにも反映されているんです。曲を入れるにあたっても、2~3曲ではなくミニアルバムというかたちにしたのも、それぞれのバンドの魅力が十分に伝わるようにしたかったからというのもあるんです。」

Ben

「早速、『THE PERFECT PLAN』を買ってくれたDieByFortyのファンからメールが来て、“DieByFortyにしか興味がなかったけど、scatterbrainもJessy’s Elegyもとてもいい。買って良かったです”って。」

──仲が良いという話が出ましたが、3バンドはどんなふうに出会ったのでしょうか?

桜木

「DieByFortyとscatterbrainはイベントで一緒になったのがきっかけでした。」

Tommy

「横浜のスタジオライヴだったんじゃないかな。」

Ben

「その時、カッコ良いと思って、ライヴが終わったあと“カッコ良いですね。The Smashing Pumpkinsは好きですか?”って声をかけたんです。そしたら、“好きです”って(笑)。」

桜木

「ライヴを観て、お互いに惚れ合ったんです(笑)。」

Ben

「Jessy’s ElegyとDieByFortyはもっと長いです。mixiにThe Smashing Pumpkinsのコミュニティーがあって、Tommyと私はそこに参加してたんですよ。」

Tommy

「The Smashing Pumpkinsの「Mayonaise」をカバーした動画を、そのコミュニティにアップしたら、Benから連絡が来たんです。」

Ben

「そしたら“Jessy’s Elegyというバンドをやっているんだけど、良かったらライヴを観に来てください”って返事が来て、2回ぐらい観に行きました。」

Tommy

「それから仲良くなったんですけど、DieByFortyからギターとベースが抜けた時、活動できなくなるのはもったいないと思って、ベースとして参加することにしたんです。」

Ben

「今回のアルバムでもTommyはDieByFortyに参加しています。」

──知り合ってどれぐらいですか?

Tommy

「7~8年ぐらい経ちますね。」

桜木

「Benと僕は2~3年。」

──この3バンドで一緒にライヴをやることも多かったのですか?

Ben

「結構やります。」

桜木

「昨年はDieByForty とscatterbrainがそれぞれ10周年だったので、10月10日に記念イベントをやったんですよ。そういう流れもあって、今回のプロジェクトを思い付いて、Benに提案したら賛同してくれて、Jessy’s Elegyも参加してくれることになったんです。」

──3人共通してThe Smashing Pumpkinsが好きという話が出ましたが。

桜木

「そうですね。The Smashing Pumpkinsはもちろん、90年代初期のNirvanaとか。」

Ben

「Radioheadとか。」

桜木

「その辺は共通して大好きです。Tommyさんはもともとアメリカに住んでいて、Benは当時まだフランスにいて、僕は日本にいて。それぞれ違う場所で同じ音楽に影響を受けた3人のバンドが、今回こうやって1枚のアルバムをリリースするっていうのも面白いなぁって、さっき気付きました(笑)。」

Ben

「音楽ってすごいね(笑)。」

──3人にとって、90年代のオルタナティブロックの魅力ってどんなところなのですか?

Tommy

「僕はもともとバイオリンを弾いていたんですけど、Nirvanaを観てバイオリンを辞めて、独学でギターを弾き始めました。その流れでThe Smashing Pumpkinsのアルバム『Siamese Dream』に出会って、“カッコ良い! こういう音楽をいつかやりたい!”と思いました。」

──どんなところが良かったですか?

Tommy

「静と動がはっきり分かれているところが好きなんです。歌が上手いというよりは、ちょっと弱さがあるというか、力強い歌ではないところに共感できたんですよ。グッとくるものがあった。歌が上手いバンドって全然興味なかったから、こういう表現があるんだって結構衝撃でした。」

桜木

「僕もきっかけはNirvanaだったんですけど、テクニックではなく感情を一番前に出しているところに当時共感しました。Nirvanaの痛み、Radioheadの苦しみ、The Smashing Pumpkinsのファンタジーさやフロントマンのビリー・コーガンの天使と悪魔が共存しているような歌い方も魅力的で。感情が一番前に出ているってところには今も影響を受けていると思います。」

Ben

「私はもちろん音楽も好きですけど、一番魅力的だと思っているのは歌詞。特にThe Smashing Pumpkinsの歌詞を読んだら、すごい感動します。誰も使わないような言葉を使っているんです。ティーンエイジャーの頃、CDを聴きながら歌詞を覚えてました。ビリー・コーガンのマインドは、どこか別の世界に行っているんですよ(笑)。でも、歌詞にすることで、それを聴いた人は理解できる。私も自分の思っていることを歌詞にしたら、誰かに伝えられるかなと思ったんです。たまに伝えられないことがある。でも、歌詞にしたら届く可能性がある。それにビリーの言葉を聴いて、多くの子供たちが救われたと思います。ティーンエイジャーってアンバランスでしょ? 自殺したくなったりすることもある。でも、彼の言葉を読んだら、“私だけじゃないんだ”って思て。ビリー・コーガンは神様です。すっかりおじさんになったけど(笑)。」

──今回、『THE PERFECT PLAN』を聴いて、3バンドそれぞれにオルタナティブロックの影響を受けていると感じる一方で、それぞれに違う魅力があるとも思いました。それはやっぱりオルタナ以外の音楽の影響も受けているからではないでしょうか?

Tommy

「勉強だと思って結構いろいろ音楽を聴いているんですけど、Jessy’s Elegyはメンバーが全然違う個性を持っていて。リードギターのOno Starは見た目もジョー・ペリーみたいな感じで(笑)。ドラムのTakayuki Yamasakiはメタル、ベースのDaisuke Katsumataはジャズが好き。全曲僕が作っていくんですけど、それをスタジオでみんなでやるとああいうかたちになるんですよ。」

──すごくロックンロールの要素を感じましたが。

Tommy

「メンバーそれぞれの個性がオリジナリティーにつながっていると思います、DieByFortyでも僕は曲を作っているんですけど、それとは全然違う雰囲気になるんですよ。」

──scatterbrainからは80’sのポストパンク/ニューウェイブの影響も感じました。The Cureとか、New Orderとかも好きなんじゃないですか?

桜木

「大好きです(笑)。その他、古いのも好きなんですよ。モータウンや、その影響が曲に出ているかどうかは分からないけど、The Beatlesも好きなんです。シューゲイザーからもかなり影響を受けていますね。RIDEとか、My Bloody Valentineとか。今回はどちらかと言うとポップ寄りの曲を集めたと思っているんですけど、前回作った尖がった感じのアルバムには、もっとシューゲイザー要素が入っていました。」

──DieByFortyはドリームポップあり、パワーポップあり、フォークありと曲が多彩で、一番いろいろな音楽の影響を受けているんじゃないかと感じましたが。

Ben

「今までは私が曲も歌詞も作っていたんですけど、TommyさんもドラムのYuさんもカッコ良い曲を作れる人なので、DieByFortyにはその色もありますよってことを見せたいと思って、実は今回の6曲は3人で2曲ずつ作ったんです。だから、ちょうどいい完璧なバランスになりました。個人的にはオルタナティブロック以外だったら、フレンチロック、ブリットポップ…Blur、Oasis、Ashも好きだし、高校生の頃まではスケートパンクもよく聴いていました。NOFXとか、Millencolinとか。」

──フレンチロックって、ごめんなさい。日本ではそんなに馴染みがないんです。

Ben

「歌詞が一番大事なんです。歌詞がカッコ悪いバンドは評価されない。一番有名なのはNoir Désir。日本でもちょっと人気あった。彼らには結構影響を与えられています。」

──今回の6曲を作るにあたっては、それぞれにどんなテーマがあったのでしょうか?

Tommy

「今回の作品でリセットして再始動しようという意味で、今まで10年ぐらい活動してきた中で1度レコーディングした曲もあるんですけど、それを現在のメンバーで録り直した4曲に新曲2曲を加えて、ここから新たな方向に行こうっていう感じで作りました。」

──新曲というのは?

Tommy

「「telephone」と「残光」です。「telephone」は“今のJessy’s Elegyはこれです!”っていう曲になっています。うちはとにかく感情、衝動を吐き出すという感じなんですけど、「telephone」は今ライヴでやる時、一番パワーがある曲です。「残光」は今まで日本語のタイトルを付けたことがなかったんですけど、初めて日本語を付けました。ロックの中でもキャッチーであることを意識した曲です。静と動をこれまで以上に使い分けた曲なんですけど、今後こんな感じでも曲を作っていきたいということで、今回入れることにしました。」

──scatterbrainはポップ寄りの曲ということでしたが。

桜木

「前作はかなり尖った曲を集めていて、全曲同じ曲と思われてもいいぐらい初期衝動を詰め込んだアルバムになっていたんですけど、今回はそれとはまた違うアプローチの…例えば「tiny shiny」だったらオールディーズ感だったり、「twin rabbits」だったらリバーブがガッとかかった感じだったり、そういうことを意識したアプローチの作品です。そういう作品に、“どこにも存在していない世界の中にいる”という矛盾を含んだ“in the nowhere land”というタイトルを付けたんですけど、今回の6曲は居場所がなかったり、戻る場所を失ってしまった人たちの物語になっているんです。聴く側が抱えている孤独、疎外感、自分の存在のなさに寄り添えるような作品にしたかったというのも想いとしてあります。」

──DieByFortyは3人で2曲ずつ作ったそうですが、歌は全曲Benさんが歌っているのですか?

Ben

「Tommyもコーラスを加えているんですけど、「A Loud Song」は半分歌ってくれました。」

桜木

「ツインヴォーカルみたいな感じなんだよね。」

Ben

「そうです。スケートパンクが好きだった頃、Blink-182も好きで、彼らもマークとトムのふたりが歌っているでしょ。それも面白いと思って、今回、一緒に歌ってみたかったんです。」

Tommy

「自分のバンドでも歌っているのにDieByFortyの1曲目でも歌うって、いいのかな?ってちょっと複雑な気持ちがありました(笑)。」

Ben

「でも、それを見せたかったんですよ。日本とフランス、仲良いよ(笑)。中には、“なんでBenが最初から歌ってないの?”っていうファンもいるけど、そう言われることは想像していた。DieByFortyはBenだけじゃない。YuとTommyもいるオールマイティーなバンドだってことを見せたかった。他のふたりもそれぞれに自分の色を加えているってことを。The Smashing Pumpkinsはビリー・コーガンひとりになっても続けたけど、DieByFortyはYuとTommyがいなくなったらもう終わりです(笑)。」

──“THE PERFECT PLAN”というタイトルには、実は前後に“(It may not be)”と“(but it’s the only one we got)”というサブタイトルが加えられていて、“完璧な計画ではないかもしれないけれど、自分たちにはこれしかなかった”という意味になっているところが興味深いなと。

Ben

「お客さんにとってもCDの収録時間目いっぱい楽しめるし、新しい2バンドを知ることもできるし、僕らにとってもファンが3倍になる。これって完璧なプランって思いました。私たちにとっては完璧なプランなんですけど、他の人にとっては完璧じゃない。私たちはオルタナティブロックの子供だからこれしかないんです。」

桜木

「それもあるけど、僕的には遊びを含んでいるというか、ユーモアのニュアンスもあります。いろいろな取り方ができますよね。前後のサブタイトルについては、歌詞を読みながら聴く側にいろいろ想像してもらいたいです。」

Tommy

「提供する側としては“自分らにできるベスト”という意味で、これは完璧なものです。」

Ben

「そう。それは一番伝えたいところです。」

──このプロジェクトはリリース後、どんな発展するのでしょうか?

桜木

「ツアーをやります。10月15日に渋谷club乙-kinoto-で、そのリリースパーティーをやって、そこから各バンドバラバラにツアーしたあと、来年の1月25日にツアーファイナルを下北沢CLUB Queで3バンドでやります。」

Ben

「その間にもうひとつイベントがあって、12月2日に神田神保町BAR三月の水で3バンドでアコースティックライヴもやる予定です。アコースティックも楽しい。CDは結構ロックでしょ。それをアコースティックバージョンにするという面白さがある。それをお客さんにも楽しんでもらいたいです。」

取材:山口智男

アルバム『THE PERFECT PLAN』

2017年10月4日発売

Natural Hi-Tech Records

NHCR-1155

¥2,160(税込)

『THE PERFECT PLAN Tour 2017/18』

10/22(日) 東京・渋谷HOME(DieByForty)

11/23(木) 大阪・三国ヶ丘FUZZ(DieByForty)

11/24(金) 兵庫・Art House(DieByForty)

11/25(土) 大阪・para-dice, Osaka(DieByForty)

12/03(日) 茨城・つくばParkdiner(DieByForty)

12/16(土) 東京・赤坂 Club Tenjiku(DieByForty、scatterbrain)

[ 2018年 ]

1/23(火) 東京・下北沢 Club Que

DieByForty

ダイバイフォーティー:フランス人のBen(Vo&Gu)、日本人のYu(Dr)、Tommy(Ba)を中心に2006年に結成された日仏混合バンド。歌詞は日本語、フランス語、英語、その楽曲にフィットする言葉で綴られている。結成から100回以上のライヴを行なっており、多数のアーティストと共演している。

scatterbrain

スキャッターブレイン:2006年、東京を中心に活動を開始。グランジ、シューゲイザー、90’sオルタナティブロック等の影響を受けながらも独自の世界観を展開。内省的かつファンタジックな歌詞を人懐っこくポップなメロディーに乗せ、誰の心にも共通するひとつの“物語”として紡ぐバンド。

Jessy’s Elegy

ジェシーズエレジー:2005年に前身となるバンドを結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、現在の4人編成となる。11年にJessy’s Elegyに改名。楽曲は重厚サウンドを劇的に展開させ、唯一無二のグルーブに仕上げている。印象的なメロディーを生み出すオルタナティブロックバンド。

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