1933年のオリジナルを受け継ぐ『ラコステ』の定番ポロシャツ「L1212」。豊富なカラーバリエーションは大きな特徴。発売される色と色数はシーズンごとに変わるが、2013年 春・夏シーズンは21色が展開されている。画像はカラーイメージポロシャツは男の夏には欠かせない。衿があるためTシャツよりもきちんとして見え、なにかと重宝するのである。その名の通り、ポロ競技用のシャツとして1880年代に誕生したのだが、1920年代にはテニス用としても着られるようになり、流行に敏感な人々の間に広まった。生地はカシミヤやシルクのニット製で、色は白だったという(『男の服飾辞典』堀洋一)。
そんな上流階級向けのシャツを、誰もが着やすい普段着にしたのが、フランス人テニス選手のルネ・ラコステである。20年代後半に、4大大会で合計7度優勝するほど活躍したが、病気のため25歳で引退を余儀なくされた。そして4年後の33年、フランス・トロワに大きなニット生地製造工場を持っていたアンドレ・ジリエ氏と共同で「シュミーズ・ラコステ社」を立ち上げてポロシャツを作り、テニスやゴルフをする際に着るシャツとして売り出した。
そのとき使われたのは、それまで一般的だったカシミヤやシルクのニットではなく、丈夫で伸縮性があって、動きやすいコットン・ピケ(綿の鹿の子織り生地)だった。また、胸には小さなワニが刺しゅうされていた。ワニは、しぶとい戦い方をする彼の現役時代のニックネームであり、それを友人が巧みにデザインしてくれた。「綿の鹿の子生地」と「胸のワンポイント刺しゅう」は、その後、多くのブランドに採用され、現在ではポロシャツの特徴となっている。
そんな33年のオリジナルを正統に受け継いだのが「L1212」である。適度に余裕のある身幅とやや長めの着丈というシルエットは、多少の微修正は加えられてきたが、ほとんど変わっていない。また「フレンチ・スリーブ(ちょうちん袖)」と呼ばれる曲線を描いた袖と、両裾に小さく開いたスリットは、このポロシャツの大きな特徴である。そして色とサイズの豊富さはラコステならではだろう。特に色は、50年代の初めまで、テニスコートで着ることを許された白のみだったのだが、用途が広がり、人々の要望にも応える形で増えてきた。発売される色と色数はシーズンごとに変わるが、2013年 春・夏シーズンは21色が用意されている。
この「L1212」は、生地の織りから染色、縫製まで一貫して日本で行われた、日本製である。その品質の高さはフランス本国からも一目置かれるほどで、かつて本国からの要請でフランスに50万枚輸出した実績もあるという。そもそも綿の鹿の子生地は、ざっくりとした編み目のため通気性があり、表面に凹凸があるため肌にはりつきにくく、湿気の多い日本の夏にふさわしい生地といえるだろう。その素材にはスーピマ・コットン(高級ピマ綿)を使用しており、吸湿性の高さや、しなやかさ、光沢感などを備えた生地に仕上がっている。
一方、染色には「スレン染め」という方法が一部採用されている。技術的に難しくコストも掛かる染色法ではあるが、色落ちしにくく、日光や汗による変色も少なくなっている。さらに縫製には、日本製ならではの正確さと美しさが表れており、前立ての下にある長方形の縫い目(ボックス縫い)を見ればよくわかる。前立てがしっかりと衿を支えることで、美しいフォルムを生み出しているのである。
このように優れた日本製に加えて、フランス製の「L1212」フレンチ・ラコステ(通称「フレラコ」)が、ブランド創設80周年にあたる今年、復活生産され、セレクトショップなどで販売されている。日本製とほとんど違いはないといわれているが、それでも「フレラコ」に思い入れのある世代にはうれしい。

大学卒業後、男性誌『MEN’S CLUB』でファッションページを担当。独立後『AERA』、『Gainer』、『MEN’S CLUB』、『MEN’S EX』、『MONO Magazine』、『UOMO』ほかで、原稿執筆、スタイリング、企画立案等を担当する。また『MEN’S CLUB』で「ベストセラーよりロングセラー」、『AERA』で「ビジネスマンのためのスタイルブック」、『日刊ゲンダイ』で「男のおしゃれ」等の連載を執筆。得意分野はトラッド系/アメカジ系ファッション。その一方、アロハシャツの歴史を研究し、原稿執筆や展覧会開催も行う。著書に『ヴィンテージ・アロハシャツ』(エイ出版)、『アロハシャツの真実』(ワールドフォトプレス)がある。
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