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7月4日から7日の4日間、「ジャパン・エキスポ」がパリ郊外の見本市会場で開催された。「ヨーロッパ最大の日本文化とエンターテインメントの祭典」とうたわれる同イベントは、2000年に始まり、第14回の今年は20万人以上を動員するモンスターイベントに成長した。
カバーされるジャンルは、マンガやアニメ、ビデオゲームはもちろん、ファッション、音楽、食、伝統芸能や工芸、スポーツと多岐にわたる。広大な会場では、カンファレンスからコスプレ大会まで多様なプログラムが毎日用意されている。日本をテーマにした無数の売店もまた、日本好きにはたまらないショッピング天国となっている。
来場者の7割以上は、10代から20代半ばの若者。パリ近郊からの来場者が半数を占めるが、夏休みを利用してフランスの地方やヨーロッパ各国から足を運ぶ人も多い。お気に入りのキャラクターに扮した「コスプレイヤー」たちが集結し、お祭り気分を盛り上げる。写真を撮られることももちろん承知で、カメラの前でここぞとばかりポーズを決めてくれる。
コスプレとまでいかなくても、非日常的なフェイス・ペインティングやアクセサリーを楽しむ姿も多く見かけた。女性の間では「ネコミミ」装着率が高い。ぬいぐるみの耳のようなものや、ラインストーンをちりばめた金属製のカチューシャなど、さまざまなバリエーションがあるようだ。
「昨日、最後の一つを手に入れたのよ!」と話すのは、25歳の「ユキ・メロディ」さん。彼女の頭には、脳波の状態によって動く「necomimi(ネコミミ)」が誇らしげに乗っている。ネコミミは2011年に日本に登場してから、世界各国へと広がった。「シッポ・バージョンも出たみたいね!まだヨーロッパでは手に入らないから、誰か日本に行って買ってきてくれないかなぁ」と悔しそうだ。
甘い砂糖菓子のような色のふわふわなスカートの「ロリータ」たちも、数は多くなかったものの、ひときわ目を引いていた。ドイツからやってきた4人組のロリータは、ショッピングが目的でやってきたという。
来場者調査によると、イベントへの来場目的は「ネットでつながっている友人らと会うため」という人が多いそうだ。それでも現地を訪れてみて興味深かったのは、見知らぬ人たちとも交流するために、「フリーハグしよう」とプレートを掲げる人が多かったこと。フリーハグとは、通りすがりの人とハグ(抱擁)を交わすことで、温かな気持ちや安らぎ、連帯感などを生み出す行為で、2000年初頭に一人のアメリカ人がフロリダの海岸ではじめ、その後インターネットの情報とともに世界中に広まっていった。イベント最終日には名残惜しそうにハグする人たちがいた。
15カ国から参加している出展者はみな思い思いに日本をアレンジし、ビジネスチャンスにしている。だからといって、日本文化が正しく伝わっていないのではないか? と憤慨するのはお門違いだろう。日本文化が、ここまで長続きし、大人数を動員するお祭りの着火剤になれるという事実にまず注目すべきだと思う。
「フリーハグだって、発祥は日本でしょ?」
そういう人には、正しい情報を伝えてもよかったかもしれないが……。

1973年、京都府生まれ。ライター、翻訳者。『コンポジット』編集部を経て2001年よりフリーランス・ライター、翻訳者。ファッション、デザインなど文化や暮らしにまつわる人物や企業のインタビュー、ルポタージュを担当。寄稿書に『ファッションは語りはじめた』(2011年/フィルムアート社)、『ハイファッション デザイナーインタビュー』(2012年/文化出版局)、訳書に『Feel and Think: A New Era of Tokyo Fashion』(2011年/Prestel )。2004年よりフランス在住。
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