てんらん・はくらん

ミッフィーは大人の男性をも魅了する

  • 文・森山葉月
  • 2016年6月30日

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ミッフィー展の魅力がギュッと詰まったカタログの装丁は、ミッフィーの絵本のブックデザインも手掛けてきた祖父江慎さん。真っ白な上質なクロス貼りが印象的な製本

  • カタログの中身を少しだけご紹介。1955年から1963年にかけて、洗練されたデザイン画風に変化した様子がわかる。題して、「CHANGES OF “nijntje”」(ミッフィーはこんなふうに変わった!)

  • 2015年、ミッフィーの誕生60周年をお祝いするため、生まれ故郷オランダと日本のクリエーターが180cmの真っ白い巨大ミッフィーにペイントや装飾を施して、世界に一つだけのオリジナル・ミッフィーを作った。真っ赤なカーディガンを着たミッフィーは、「気仙沼ニッティング&ほぼ日刊イトイ新聞」の作品

  • 展覧会会場と朝日新聞SHOPでは、限定グッズも販売中。「メディコム・トイ UDFミッフィー6体セット」は、年代を追って少しずつ変化するミッフィーの姿から、厳選の6ポーズをピックアップした精巧なフィギュア。眠っている1955年のミッフィーの立体フィギュアは、世界初登場!

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 ウサギのミッフィー(うさこちゃん)は、オランダの絵本作家ディック・ブルーナ(1927年~)が生み出したキャラクターだ。子どもに人気があるのはもちろん、実は大人の男性ファンも少なくない。

 その一人が一昨年に亡くなった、イラストレーターの安西水丸さんだった。

 かつて安西さんにミッフィーの魅力を聞きにいったことがある。うさこちゃん(ミッフィー)のことならと、ニコニコと取材に応じてくれた。

 安西さんは美大生のときにこの絵本に出合い、シンプルに表現するのはいいことなのだと感じた。それが自分の絵を作る一つのきっかけになったという。

 確かに太い線と点だけで描かれたウサギはシンプルそのもの。

 「余分なものをそぎ落とし、かわいさのエッセンスをぎりぎりまで残している。だれにでもできることじゃない。丸をかいてオレンジ色に塗ればみかんに見えるけど、手にとって酸っぱさを感じて描くのとはちがう。彼はウサギをだっこして見つめているのでは」

 と安西さん。

 単純に見える線は、ブルーナがスケッチをくり返して微妙な表情の違いを探り、ようやくたどり着いたものなのだ。安西さんはこうも語っていた。

 「ブルーナさんの絵はセンスがいい。見ていると、気持ちが無の状態になる。そこが他の絵との大きな違い。だから子供にも、大人にも愛されるんです」

 ミッフィーは2015年に誕生60年を迎えた。それを記念した「ミッフィー展」がいま全国を巡回している。

 初公開されているのが、最初のミッフィーの絵本の原画。ちょっと武骨な感じもあって、今の姿とはずいぶん違っている。その変化を知るだけでも面白い。

 ほかにも絵本の原画、スケッチなどが展示され、6色の色紙と透明フィルムを使ったブルーナの絵本の作り方も紹介されている。

 図録のアートディレクターは祖父江慎さん。シンプルな白い布張りの表紙には初期のミッフィーが、背表紙にも小さなミッフィーがちょこんとついている。

 ちなみに「ミッフィー」と「うさこちゃん」の呼び名は絵本の版元によって異なっている。もともとのオランダ語の名前はナインチェ・プラウス。ナインチェ=うさちゃん、プラウス=ふわふわ、といった意味だそうだ。

 筆者は初めて読んでもらった絵本が『ちいさなうさこちゃん』だった。石井桃子さんの名訳もあいまって一冊丸ごと暗唱するほど好きだったから、今もうさこちゃんは他人とは思えない。夏休みは会場の横浜赤レンガ倉庫1号館に向かいます。

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 本展のカタログ「誕生60周年記念 ミッフィー展」が、朝日新聞SHOPで販売中です。

 家族やお友達など「ミッフィーの大切なもの」をコンセプトにえりすぐった絵本作品7タイトルや、ブルーナさんの初期作品など、原画やスケッチ、制作資料など約300点が出品された展覧会の見どころを凝縮しています。

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「誕生60周年記念 ミッフィー展」

おかやま未来ホール(岡山市北区・イオンモール岡山5階):2016年7月2日(土)-7月24日(金)

公式サイトはこちら

今後は、横浜赤レンガ倉庫1号館(7月30日-8月24日)、島根県立石見美術館(9月17日-10月31日)を巡回する。

Illustrations Dick Bruna(c)copyright Mercis bv,1953-2016 www.miffiy.com

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