スポーツMONO語り

Bリーグと音楽と歓声は共にある。プロスポーツ選手のテンションを上げるもの

  • バスケットボール・満原優樹選手
  • 2017年3月15日

(C)SUNROCKERS SHIBUYA

 バスケットボールと音楽は切り離せない。2016年に開幕したプロバスケットボールリーグ「Bリーグ」の試合は、選手登場から試合後の勝者を称えるシーンまで様々な音楽が流れる。約2時間のバスケットボールの試合は、息つく間もなく繰り広げられる豪快なプレーとそれを彩る音楽で、エンターテインメントショーのように観客を楽しませる。

 そこでプレーする選手も音楽と共にある。 「チームのメンバーは日本人も外国籍選手も音楽が好きで、移動中はみんなヘッドホンをして聴いています。僕は、移動中や遠征先のホテルの部屋でいつも聴いています。試合前は、アップテンポなテンションの上がる洋楽を聞いて気分を上げています」。と、サンロッカーズ渋谷の満原優樹選手。

サンロッカーズ渋谷 0番 満原優樹選手

外国人と間違われることも

 今回話を聞いたのは、Bリーグに所属するサンロッカーズ渋谷のパワーフォワード/センターの満原優樹選手(27歳)。198センチ・102キロ、初めて目の当たりにした満原の体格を、なんと評したらいいのか。見上げても顔はさらに先にあり、肩幅も胸板も手も足もすべてが大きい。

 「周りが(バスケットボール)選手ばかりなので自分が大きいと意識することはありませんが、たまに満員電車に乗ると乗客の後頭部を見渡していて、そういうとき自分は大きいと感じます。年配の方が背比べで並んできたり、外国人と間違われて親切にされることもありますね(笑)」。

 高校3年で198センチと恵まれた体格の満原は、バスケットボールのエリートコースを歩んできた。

「外国人と間違われて、おばあちゃんがエレベーターのボタンを押して待ってくれたりします(笑)」と満原

自分で選んできたバスケットボールの道

 満原がバスケットボールに出会ったのは5歳のとき。兄と一緒にミニバスケットボールチームを見に行ったのが最初だった。「僕もバスケットボールをやりたいと言ったそうです。自分では(言ったことは)覚えていないけれど。そこからバスケを始めて、夢中で練習しました。子どもの頃の思い出はバスケが楽しかったことしかありません」。

 小学校入学後もミニバスケットボールチームに通い続けた。「この頃からプロ選手になりたいと思っていました。中学でもバスケをする環境にいたくて、中学受験を考えて勉強しました」。

子どもの頃から練習に夢中だった

 満原はバスケットボール専用体育館のある東海大学付属相模高校中等部に進学し、中学2年で16歳以下の全日本代表に選ばれる。そのときの心境をこう語る。

 「JAPANってユニフォームを着るのがすごく嬉しかったです。その気持ちは今でも覚えていますね。周りのメンバーは中学3年で僕はひとつ下だったけれど、正直、2年生でも僕が選ばれるのは当たり前だなと思っていました」。

 インタビューで、満原は何度も自信にあふれる強気な言葉を口にした。バスケットボールにかける情熱の強さと意識の高さの表れなのだろう。

一番好きなことが仕事になった。今は幸せ

 神奈川県出身の満原だが、高校はバスケットボールの強豪校として知られる秋田県立能代工業高校へ進学する。「もともと、親元を離れて、強い学校に行きたいと思っていました。親は自分のことは自分で決めなさいと言ってくれていたので、自分で進学先を決めました」。

 父親が料理人で、子どもの頃の親からのプレゼントは包丁だったという満原選手。今では料理が好きで得意料理はハヤシライス。「そのへんの女子よりできると思う」とのこと。高校で親元を離れることを考えていた満原選手にとって、料理ができることも自立を促す一歩だったのかもしれない。

高校は親元を離れて、バスケットボールの強豪校へ進学したかった

 強豪校での熾烈なレギュラー争いを経て、満原は1年からレギュラーとして活躍する。このころに満原のプレースタイルの基礎ができあがったようだ。

 「能代は走るスタイルのバスケなので走れるようになったし、体が強くなったと思います。体が大きかったからゴール付近のポジションでしたが、シューターやポイントガードなどいろんなポジションの要素をやらせてもらえたので、全てのポジションをできることが自分の強みになっていきました」。高校の練習は厳しいものだったようだが、「練習だから楽ではないです。でも、厳しさに慣れました」と話す。

 高校卒業後、東海大学へ進学する。「勉強と練習を両立できる環境を選びました。大学は練習だけでなく、トレーニングで自分を追い込みたかった」。目標を決めて主体的に進路を決めてきた満原らしい大学の選び方だ。

 2012年、大学卒業後にオファーを受けてサンロッカーズ渋谷へ加入し、小学生の頃に立てたプロ選手になる目標を達成した。2016年には日本代表候補重点強化メンバーに選ばれている。「バスケが一番好きだから、辛いと思ってもやめたいと思ったことはありません。今は仕事で一番好きなことをやっているので、すごく幸せです」。

一番好きなことが仕事になった。
(C)SUNROCKERS SHIBUYA

バスケットボールと音楽の日々

 Bリーグのレギュラーシーズンは年間60試合ある。遠征の多い満原が持ち歩くのが、Beatsのポータブルワイヤレススピーカーだ。

 「Beatsが好きで、ヘッドホンも持っています。このスピーカーは持ち運びしやすいのでどこでも持っていきます。音楽は特定のアーティストではなくてBillboardチャートで気に入った曲をiTunesでダウンロードします」。

「Beats Pill+ポータブルワイヤレススピーカー」。軽量ながらパワフルなサウンドと、無駄を省いたデザインが人気のスピーカーだ

 サンロッカーズ渋谷は、Bリーグ発足に合わせて、ホームタウンを東京体育館や代々木第二体育館と“バスケットボールの聖地”といわれる東京都渋谷区にした。クラブチーム化するための条件のひとつとして5000人を収容するホームアリーナの設置が義務付けられたため、青山学院大学の体育館(青山学院記念館)に置いた。表参道駅から徒歩3分という好立地のホームアリーナと、渋谷に誕生した初のプロスポーツチームとして、サンロッカーズはバスケファンの増加にも貢献している。

 「お客さんがたくさんいる環境で試合ができるのは嬉しいし、楽しいです。コートに出る直前は、マークする相手やフォーメーションについて考えています。緊張はしません。いつも、やってやるぞという気持ちでいます」。

 満原が音楽を聴くのは試合会場に入るまで。そこから先は、声援と会場で流れる音楽がBGMだ。

5000人を収容する青山学院記念館が満席になることもある。サンロッカーズ渋谷は、渋谷区初のプロスポーツチームとしても、注目度が高い。
(C)SUNROCKERS SHIBUYA

198センチでも、小さい

 満原のポジションは、ゴール下での得点と守備・リバウンドなどパワフルなプレーが求められる。日本代表として他国と試合する時は、満原がマッチアップするのは2メートル以上の選手ばかりだ。

 「海外の選手は、どのポジションでも日本選手よりかなり大きいので、フィジカルの強さは日本の課題だと思っています。特にサイズが影響するのが自分のポジションなので、大きな選手でもゴール下から追い出すことができるように、トレーニングをしています」。

他国との試合では、身長198センチでも小さい

 まだ27歳、バスケットボール選手としてこれから成熟期という年齢だが、長くプレーをするためには能力を磨くだけではだめだという。

 「どんな場面でも、頭をつかって判断して、勝利に貢献できる人になりたいです。勝つためのやり方はいろいろあるので、その全てを高いレベルで安定して発揮できるようにトレーニングをしています。3年後の東京オリンピックまでに、日本人でパワーフォワードとセンターと言えば満原だと思われたいです」。

 ゴール下だけでなく、外からのシュートで得点を狙えるプレーの幅の広さが満原の持ち味だ。中学から日本代表を務めた経験から、ひとつがだめでも次の手段を考え続け、戦う方法を身につけてきた。

外国人選手に勝つために必要なのはサイズだけではない。頭を使って知恵を絞る戦法もある。
(C)SUNROCKERS SHIBUYA

 2017年1月、サンロッカーズ渋谷に昨年までNBAでプレーしていたセンターのロバート・サクレ選手が加入した。「同じポジションのチームメイトはライバル」と話す満原とのポジション争いは熾烈だ。試合によっては、満原の出場時間が短くなることもある。最後に、ベンチで試合を見守るときの心境を聞いた。

 「早くコートに立ちたいと思っています。素直に、早く自分を出場させろと。じっと出番を待っていますね」。

(文中敬称略)

文:石川歩 編集:スケロク

取材後記

 ハヤシライスはデミグラスソースに入れる赤ワインがポイントで、「めちゃくちゃ簡単」とのこと。体が大きいのでキッチンが狭いそうで、頭が換気扇に当たりながら腰よりも低い調理台で料理をする満原選手を想像すると…ちょっと可愛いです。

 じっと目を見て話してくれる満原選手に向き合って、この人が発する力強さはどこから来るのか知りたくて、ぐっと話に引き込まれていきました。自信を持って言える言葉だけを選んで話す、誠実な人だと感じました。

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PROFILE

石川歩 編集者・ライター

写真

モータースポーツ系出版社出身、スポーツが好き。スポーツのほか、暮らし・不動産・建築系のメディアで執筆中。
身長160センチ、バレーボールの傳田選手とはこの身長差! 見上げながらのインタビューでした。

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