男の調理道具

匠の技で作られたカーボングラファイト鍋

  • 文・栗山琢宏
  • 2017年11月28日

商品画像をクリックすると外部サイトへ移動します

「アナオリ カーボンポット」の「VOL」は炊く、煮る、焼く、炒めるなどの多機能な使い方ができる。

  • VOLはオーディオのボリュームをイメージした特徴的なデザインで、フタの切り欠きの位置によって蒸気の通りを調整できる。

  • ごはんの炊き上がりは見事。米が一粒ずつきちんとわかり甘みもしっかり感じる。冷めてもおいしかった。

  • 鶏手羽元を使った無水カレー。野菜の甘みが凝縮されておいしい。煮込みの効率もよく短時間で肉もほろほろに。

  • 焼くのも得意で、表面もむらなくしっかり焼き付けられる。ハンバーグはオーブンで焼き上げたような、ふっくらしたできあがり。

  • 白身魚のブレゼは、焼く、炒める、蒸す、煮るを使った料理。デザインがいいのでそのままテーブルに持っていってもいい。

  • 蓄熱性の高い鍋なので、テーブルに置いていても冷めにくい。魚はふわりとした口当たりで、野菜もおいしくできあがった。

[PR]

 「アナオリ カーボンポット」は、カーボン(炭素)を原料にした調理器具。熱伝導性が高く、遠赤外線効果が高く、食材をむらなく加熱できる。この素材が広く知れわたったのは、高級炊飯器の草分けとなった三菱電機の炭釜だ。実はこの炭釜を共同開発していたのが、本製品の製造元である穴織カーボンだった。アナオリ カーボンポットは、炊飯がおいしくできるだけでなく、焼く、煮る、炒めるなどにも活用できるという多機能鍋。その実力を検証してみよう。

職人による削り出しで作られる鍋

 穴織カーボンは1962年に創業し、モーター用のカーボンブラシ製造から開始し、工業用カーボングラファイトの精密加工などを行ってきた企業。カーボンの遠赤外線効果に着目し、炊飯用にカーボン釜を作って飲食店などで使われていた。それに注目したのが三菱電機で、電気炊飯器に採用して大ヒット、やがて高級炊飯器ブームを引き起こした。

 本製品の素材であるカーボングラファイトは、強力な加圧と最高3000度におよぶ焼成を繰り返して、約100日かけて材料を作り上げている。溶かし固めたりするプレス加工ができないので、この材料を削り出して作られている。0.01mm単位の切削加工技術が用いられ、職人による匠の技術が欠かせないという製品なのだ。大量生産には向かない分、価格も高くなる。

 アナオリ カーボンポットには、「OVAL(オーバル)」と「VOL(ボリューム)」の2種類がある。OVALは、米の対流が起きやすいように、底面が丸みを帯び盛り上がっていて、「炊く」「煮る」に強いモデル。VOLは、底面が平らになっているので、「炊く」「煮る」に加えて、「焼く」「炒める」といった用途にも適している。今回はこのVOLを使って、いろいろ試してみた。

炊飯と煮込みでは本領発揮

 VOLはオーディオのボリュームをイメージした特徴的なデザイン。2016年のグッドデザイン賞も受賞している。フタの部分のカラーはオレンジのほか、レッドやグリーンなどほかの色も用意されている。フタに2カ所の切り欠きがあり、ここを本体のマークと合わせると蒸気の通り道ができる。蒸気の通り道をクローズすることで、無水調理も可能になる。

 まずはごはんを炊いてみた。マニュアルに沿って進めると、米3合に対して、水は650mlと少し水分は多め。沸騰したら、中火で5分、その後中弱火にして8分で火を止める。10分蒸らしたら完成だ。炊き上がったごはんは、粒が一粒一粒しっかりわかる、しゃっきりしたごはん。香りが強く、甘みはしっかり感じられる。ごはん本来の味が楽しめる。冷めてからもおいしく食べられた。短時間で炊けるうえに、なによりおいしいのがうれしい。

 つぎに無水チキンカレーを作ってみた。はじめにタマネギを炒めてから、ホールトマトや鶏手羽元などを入れ、スパイスとカレー粉を入れて煮込んだ。30分程度煮込んだら、最後にココナッツミルクを入れて、塩で味を調えて完成。野菜の濃厚な味にスパイスのきいた、インド風のカレーになった。辛みのスパイスを抑えれば子どもでもおいしく食べられる。鍋の素材が肉厚なので、蓄熱性が高く、煮込みの効率もいい。短時間で素材の味がしっかり引き出されている。

使い勝手がよく用途も多様

 そのつぎはハンバーグを焼いてみた。付属レシピに沿って、中火でフタをして2分焼き、焼き色がついたら裏返してフタをして弱火で5分、火を止めてそのまま3分余熱で火を通した。熱効率がいいので、焼き色にむらがなくきれいに焼ける。表面はかりっと焼けつつ、中は火が入りすぎていないので、ふっくらと仕上がっている。オーブンで焼き上げたようなできあがりだ。ステーキなど、肉を焼くのにもとても適している鍋だ。

 さらに白身魚のブレゼを作った。焼く、炒める、蒸す、煮るが一体になった料理で、この鍋の特徴が生きるだろう。はじめにオリーブオイルで魚を皮目から焼いて、一度取り出す。キャベツやニンジンなどの野菜をさっと炒めて、アサリやトマトを入れて、白身魚を戻したら、白ワインを入れて蒸し煮する。20分ほどでアサリの口が開いたら完成だ。鍋の蓄熱性が高いので、そのままテーブルに持っていって、取り分けてもいい。白身魚はふわりと仕上がり、魚介のうまみがしみこんだ野菜もおいしく食べられる。

 この鍋は内側部分がセラミック加工されているので、肉などを焼いても焦げ付かず、後の手入れもさっと洗えばよく手軽。決して軽い鍋ではないが、鋳物ホーロー鍋に比べれば使いやすい。熱源もガスやIH、オーブンと使い勝手がよく、用途も多様で、料理の仕上がりは文句ない。問題は約4万円という価格だろう。しかし高級炊飯器に10万円かけることを考えたら、炊飯だけでなく多彩な用途で使えるこの製品はかなりお買い得であるともいえる。

この記事を気に入ったら
「いいね!」しよう

PROFILE

栗山琢宏ライター

パソコンや家電製品などのほか、調理器具やベビー用品などモノ全般を得意とする雑食ライター。調理家電のレビューを行ううちに料理に目覚め、料理道具への偏愛もはじまる。料理道具は実際に料理してみた、リアルな使い勝手を重視する。Windows以前からパソコンを使いはじめ、デジタル機器や家電の動向を追い続けている。商品を買うときに比較検討しているときが至福。

今、あなたにオススメ

Pickup!